第1作 『僕と僕の母様』 全155回 目次ページ
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彼女達 第10回
就職・進学とある毎日、授業なんてあってないものだ。 自習や先生が来ていても 特に授業が進められるわけでもない。
しかしお気楽な毎日と引き換えに 次は自分の番だと ドキドキする毎日でもある。
真紗絵の受験の日が近づいてきていた。 そうなると 友達の様子が気なってくる。
秋美の席へ行き
「秋美 書類選考どうなったの?」
「うん、まだだよ。 まだ出してないもん」 椅子に座っている秋美は 立ったままの真紗絵を見上げてそう言った。
「いつ出すの?」
「そろそろよ。 もう先生から書類の合格もらってるから あとは受付の日が始まるのを待つだけ」
「いいなぁ」 真紗絵はかなり切羽詰っているようだ。
「だから専門学校がいいって言ったじゃない。 と言っても 専門学校が全部書類選考じゃないだろうけど」
「真紗絵はいつだっけ?」
「来週」
「頑張りなよ」
週が明け 真紗絵の受験の日がやって来た。
「あれ? 今日真紗絵いないの? お休み?」 予鈴が鳴ったのを聞いて 志乃が教室を見渡して言った。
「真紗絵は今日受験よ」 相変わらず 賑やかな仲間とお喋りをしていた 秋美が答えた。
「あ・・・そういえばそう言ってたっけ」 クラブ員は全員引退をしている。 真紗絵が居なくても クラブ員同士で話が弾むから 今日一日、日中は一人寂しくといったことはないが 放課後は退屈だ。 クラブ員たちはみんな後輩の指導にあたっていて 志乃の相手をするものは居ない。
放課後になり
「仕方ないな 退屈だし部活に行ってみようかな」
久しぶりに顔を出した部活だ。 顧問は無言。 同期の3年は 後輩の指導にあたっている。 志乃も同期に紛れて 後輩を指導していた時 就職担当の先生が 志乃を見て大声で叫んできた。
「おい! 志乃! ここに居たのか! お前事務で就職だからな。 A会社だからな」
まだあれから一回も 就職指導に行っていない。
「家に帰って親と相談します」 急に言われたものだから 咄嗟に志乃も大声で返事をした。
「何が親だ。 いつまでも親なんて言っててどうするんだ。 お前だけがまだ何も決まってないんだ。 もう決定だ いいな」 するとその会話を聞いていた顧問が
「A会社だったら 有名だからいいんじゃないか」 ポツリと言ったが 志乃にしてみれば 何事に対しても肯定をするどころか 否定をすることが多かった顧問だ。 不自然さを感じた。
「今日は帰ります」 顧問にそう告げて家に帰った。
家に帰ってA会社の話をすると 父親は大喜びだ。
「A会社なんて有名な所に行くって お父さんは鼻が高いぞ」 父親の喜ぶ顔だが 志乃はそんなことはどうでもよかった。 ただ、顧問の台詞と 何の腹括りも無かっただけに 不安であった。
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彼女達 第10回
就職・進学とある毎日、授業なんてあってないものだ。 自習や先生が来ていても 特に授業が進められるわけでもない。
しかしお気楽な毎日と引き換えに 次は自分の番だと ドキドキする毎日でもある。
真紗絵の受験の日が近づいてきていた。 そうなると 友達の様子が気なってくる。
秋美の席へ行き
「秋美 書類選考どうなったの?」
「うん、まだだよ。 まだ出してないもん」 椅子に座っている秋美は 立ったままの真紗絵を見上げてそう言った。
「いつ出すの?」
「そろそろよ。 もう先生から書類の合格もらってるから あとは受付の日が始まるのを待つだけ」
「いいなぁ」 真紗絵はかなり切羽詰っているようだ。
「だから専門学校がいいって言ったじゃない。 と言っても 専門学校が全部書類選考じゃないだろうけど」
「真紗絵はいつだっけ?」
「来週」
「頑張りなよ」
週が明け 真紗絵の受験の日がやって来た。
「あれ? 今日真紗絵いないの? お休み?」 予鈴が鳴ったのを聞いて 志乃が教室を見渡して言った。
「真紗絵は今日受験よ」 相変わらず 賑やかな仲間とお喋りをしていた 秋美が答えた。
「あ・・・そういえばそう言ってたっけ」 クラブ員は全員引退をしている。 真紗絵が居なくても クラブ員同士で話が弾むから 今日一日、日中は一人寂しくといったことはないが 放課後は退屈だ。 クラブ員たちはみんな後輩の指導にあたっていて 志乃の相手をするものは居ない。
放課後になり
「仕方ないな 退屈だし部活に行ってみようかな」
久しぶりに顔を出した部活だ。 顧問は無言。 同期の3年は 後輩の指導にあたっている。 志乃も同期に紛れて 後輩を指導していた時 就職担当の先生が 志乃を見て大声で叫んできた。
「おい! 志乃! ここに居たのか! お前事務で就職だからな。 A会社だからな」
まだあれから一回も 就職指導に行っていない。
「家に帰って親と相談します」 急に言われたものだから 咄嗟に志乃も大声で返事をした。
「何が親だ。 いつまでも親なんて言っててどうするんだ。 お前だけがまだ何も決まってないんだ。 もう決定だ いいな」 するとその会話を聞いていた顧問が
「A会社だったら 有名だからいいんじゃないか」 ポツリと言ったが 志乃にしてみれば 何事に対しても肯定をするどころか 否定をすることが多かった顧問だ。 不自然さを感じた。
「今日は帰ります」 顧問にそう告げて家に帰った。
家に帰ってA会社の話をすると 父親は大喜びだ。
「A会社なんて有名な所に行くって お父さんは鼻が高いぞ」 父親の喜ぶ顔だが 志乃はそんなことはどうでもよかった。 ただ、顧問の台詞と 何の腹括りも無かっただけに 不安であった。