『僕と僕の母様』 目次
第 1 回・第 2 回・第 3 回・第 4回・第 5 回・第 6 回・第 7回・第 8 回・第 9 回・第10回
第11回・第12回・第13回・第14回・第15回・第16回・第17回・第18回・第19回・第20回
第21回・第22回・第23回・第24回・第25回・第26回・第27回・第28回・第29回・第30回
第31回・第32回・第33回・第34回・第35回・第36回・第37回・第38回・第39回・第40回
第41回・第42回・第43回・第44回・第45回・第46回・第47回・第48回・第49回・第50回
第51回・第52回・第53回・第54回・第55回・第56回・第57回・第58回・第59回・第60回
第61回・第62回・第63回・第64回・第65回・第66回・第67回・第68回・第69回・第70回
第71回・第72回・第73回・第74回・第75回・第76回・第77回・第78回・第79回・第80回
第81回・第82回・第83回・第84回・第85回・第86回・第87回・第88回・第89回・第90回
第91回・第92回・第93回・第94回・第95回・第96回・第97回・第98回・第99回・第100回
第101回・第102回・第103回・第104回・第105回・第106回・第107回・第108回・第109回・第110回
第111回・第112回・第113回・第114回・第115回・第116回・第117回・第118回・第119回・第120回
第121回・第122回・第123回・第124回・第125回・第126回・第127回・第128回・第129回・第130回
以降は カテゴリ 又は 最近記事より お入り下さるようお願い致します。
************************************************************************
僕と僕の母様 第132回
そして 数分間のその場面が終わると
「どう? これがミキシング作業なんだけど 興味ある? あるならやってみない?」 そう言いながら もう一度その場面の最初に戻して 流し始めた。 僕ももう一度画面を見ながら 気もそぞろに
「いや、興味があるっていえば あるけど」 やはり 画面から目が離せない。
話そうと、返事をしようとする 口を動かす動作なんて事が 今僕の頭の中に無い。 全神経が 目に集中しているようだった。 画面をずっと見続けていると 二度目も終わってしまった。 もう一度母様が 最初に戻しながら
「どう?」 僕の顔を覗き込んで 聞いてるようだが 僕は呆然としていた。
「やってみたい気はするけど・・・」 また目は画面を 追っているが さっきとは違う。 会話が出来る。 少し考えて
「これは無理だよ 僕には出来ない。 こんなのって 持って生まれた才能だよ」 そう言いながらも きっとこの時の僕は まるで順平のキラキラ目のように なっていただろう。 それ以上だっただろう。 いや、それ以上だったに違いない。
「無理って やる前から誰が決めるのよ。 それに そんなことはどうでも良いの 無理でも何でも良いの やってみたいか どうかを聞いてるの。 見てみてどう?」 僕は自分の思ったことを 頭の中で考えようとした。
その画面を見ながら 何度も何度も 考えてみたのだが 考えというものが 出てこない。 その代わりに
「やってみたいかもしれない」 そんな言葉が 小さく口から出てきた。
すると その言葉がきっかけのように 自分の感じたことが 見えだしてきた。 考えではないのだ。 感じたのだ。
「やりたい、やってみたい。 出来ないかもしれないけど やってみたい」 心がワクワクとしてきた。
「じゃ 決定ね」 そう言って 母様はDVDを止めた。
「何が?」 ワクワクしたままの顔で聞く。
「音楽制作のある大学を探すわ」 大切な宝石でも 片付けるかのように DVDを片付けながら そう言った。
「そんなところあるの?」 大学のことを 何も知らない僕が ここに居た。
「もう幾つかは ピックアップしてるけど もっと細かく探すわ。 その方向で良い? 他にやりたいことある?」
「いや、無いけど」 他のことと言われても 今までと同じように何もない。 ただこの音楽制作を やりたいという 心のワクワクはあるものの 順平と違って 本当に出来るだろうかという 不安があるだけだ。
「でも僕に本当に出来るかな」 そのセリフに反するように 顔はワクワクの感情が モロに出て ニヤついてる。
「何ニヤついてんのよ。 合格するかしないか わかんないのに 落ちるかもしれないのよ」 やらせたいのか やらせたくないのか どっちなんだ。
取り合えず 僕の方向は音楽関係に 決まったようだ。
そしてその日から また母様は インターネット漬けに なったようだった。
最後まで読んで頂きまして有難う御座います。
参加しております。クリックのご協力をお願い致します。
にほんブログ村
第 1 回・第 2 回・第 3 回・第 4回・第 5 回・第 6 回・第 7回・第 8 回・第 9 回・第10回
第11回・第12回・第13回・第14回・第15回・第16回・第17回・第18回・第19回・第20回
第21回・第22回・第23回・第24回・第25回・第26回・第27回・第28回・第29回・第30回
第31回・第32回・第33回・第34回・第35回・第36回・第37回・第38回・第39回・第40回
第41回・第42回・第43回・第44回・第45回・第46回・第47回・第48回・第49回・第50回
第51回・第52回・第53回・第54回・第55回・第56回・第57回・第58回・第59回・第60回
第61回・第62回・第63回・第64回・第65回・第66回・第67回・第68回・第69回・第70回
第71回・第72回・第73回・第74回・第75回・第76回・第77回・第78回・第79回・第80回
第81回・第82回・第83回・第84回・第85回・第86回・第87回・第88回・第89回・第90回
第91回・第92回・第93回・第94回・第95回・第96回・第97回・第98回・第99回・第100回
第101回・第102回・第103回・第104回・第105回・第106回・第107回・第108回・第109回・第110回
第111回・第112回・第113回・第114回・第115回・第116回・第117回・第118回・第119回・第120回
第121回・第122回・第123回・第124回・第125回・第126回・第127回・第128回・第129回・第130回
以降は カテゴリ 又は 最近記事より お入り下さるようお願い致します。
************************************************************************
僕と僕の母様 第132回
そして 数分間のその場面が終わると
「どう? これがミキシング作業なんだけど 興味ある? あるならやってみない?」 そう言いながら もう一度その場面の最初に戻して 流し始めた。 僕ももう一度画面を見ながら 気もそぞろに
「いや、興味があるっていえば あるけど」 やはり 画面から目が離せない。
話そうと、返事をしようとする 口を動かす動作なんて事が 今僕の頭の中に無い。 全神経が 目に集中しているようだった。 画面をずっと見続けていると 二度目も終わってしまった。 もう一度母様が 最初に戻しながら
「どう?」 僕の顔を覗き込んで 聞いてるようだが 僕は呆然としていた。
「やってみたい気はするけど・・・」 また目は画面を 追っているが さっきとは違う。 会話が出来る。 少し考えて
「これは無理だよ 僕には出来ない。 こんなのって 持って生まれた才能だよ」 そう言いながらも きっとこの時の僕は まるで順平のキラキラ目のように なっていただろう。 それ以上だっただろう。 いや、それ以上だったに違いない。
「無理って やる前から誰が決めるのよ。 それに そんなことはどうでも良いの 無理でも何でも良いの やってみたいか どうかを聞いてるの。 見てみてどう?」 僕は自分の思ったことを 頭の中で考えようとした。
その画面を見ながら 何度も何度も 考えてみたのだが 考えというものが 出てこない。 その代わりに
「やってみたいかもしれない」 そんな言葉が 小さく口から出てきた。
すると その言葉がきっかけのように 自分の感じたことが 見えだしてきた。 考えではないのだ。 感じたのだ。
「やりたい、やってみたい。 出来ないかもしれないけど やってみたい」 心がワクワクとしてきた。
「じゃ 決定ね」 そう言って 母様はDVDを止めた。
「何が?」 ワクワクしたままの顔で聞く。
「音楽制作のある大学を探すわ」 大切な宝石でも 片付けるかのように DVDを片付けながら そう言った。
「そんなところあるの?」 大学のことを 何も知らない僕が ここに居た。
「もう幾つかは ピックアップしてるけど もっと細かく探すわ。 その方向で良い? 他にやりたいことある?」
「いや、無いけど」 他のことと言われても 今までと同じように何もない。 ただこの音楽制作を やりたいという 心のワクワクはあるものの 順平と違って 本当に出来るだろうかという 不安があるだけだ。
「でも僕に本当に出来るかな」 そのセリフに反するように 顔はワクワクの感情が モロに出て ニヤついてる。
「何ニヤついてんのよ。 合格するかしないか わかんないのに 落ちるかもしれないのよ」 やらせたいのか やらせたくないのか どっちなんだ。
取り合えず 僕の方向は音楽関係に 決まったようだ。
そしてその日から また母様は インターネット漬けに なったようだった。
最後まで読んで頂きまして有難う御座います。
参加しております。クリックのご協力をお願い致します。
にほんブログ村