大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第132回

2011年07月21日 13時19分31秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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僕と僕の母様 第132回



そして 数分間のその場面が終わると

「どう? これがミキシング作業なんだけど 興味ある? あるならやってみない?」 そう言いながら もう一度その場面の最初に戻して 流し始めた。 僕ももう一度画面を見ながら 気もそぞろに

「いや、興味があるっていえば あるけど」 やはり 画面から目が離せない。

話そうと、返事をしようとする 口を動かす動作なんて事が 今僕の頭の中に無い。 全神経が 目に集中しているようだった。 画面をずっと見続けていると 二度目も終わってしまった。 もう一度母様が 最初に戻しながら

「どう?」 僕の顔を覗き込んで 聞いてるようだが 僕は呆然としていた。

「やってみたい気はするけど・・・」 また目は画面を 追っているが さっきとは違う。 会話が出来る。 少し考えて

「これは無理だよ 僕には出来ない。 こんなのって 持って生まれた才能だよ」 そう言いながらも きっとこの時の僕は まるで順平のキラキラ目のように なっていただろう。 それ以上だっただろう。 いや、それ以上だったに違いない。

「無理って やる前から誰が決めるのよ。 それに そんなことはどうでも良いの 無理でも何でも良いの やってみたいか どうかを聞いてるの。 見てみてどう?」 僕は自分の思ったことを 頭の中で考えようとした。

その画面を見ながら 何度も何度も 考えてみたのだが 考えというものが 出てこない。 その代わりに

「やってみたいかもしれない」 そんな言葉が 小さく口から出てきた。

すると その言葉がきっかけのように 自分の感じたことが 見えだしてきた。 考えではないのだ。 感じたのだ。

「やりたい、やってみたい。 出来ないかもしれないけど やってみたい」 心がワクワクとしてきた。

「じゃ 決定ね」 そう言って 母様はDVDを止めた。

「何が?」 ワクワクしたままの顔で聞く。

「音楽制作のある大学を探すわ」 大切な宝石でも 片付けるかのように DVDを片付けながら そう言った。 

「そんなところあるの?」 大学のことを 何も知らない僕が ここに居た。

「もう幾つかは ピックアップしてるけど もっと細かく探すわ。 その方向で良い?  他にやりたいことある?」

「いや、無いけど」 他のことと言われても 今までと同じように何もない。 ただこの音楽制作を やりたいという 心のワクワクはあるものの 順平と違って 本当に出来るだろうかという 不安があるだけだ。

「でも僕に本当に出来るかな」 そのセリフに反するように 顔はワクワクの感情が モロに出て ニヤついてる。

「何ニヤついてんのよ。 合格するかしないか わかんないのに 落ちるかもしれないのよ」 やらせたいのか やらせたくないのか どっちなんだ。



取り合えず 僕の方向は音楽関係に 決まったようだ。

そしてその日から また母様は インターネット漬けに なったようだった。






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