大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第28回

2011年02月27日 01時06分16秒 | 小説
僕と僕の母様 第28回



「あ、ごめん当分土曜日、日曜日は 家の用事で外に出られないんだ」 ごめんっていう顔で そう言ってかわした。

「ふーん、そうか」 順平はそう言って 今見てきた教室の話をしだしたので 特に何度もお願いされる事がなかった。 心の中で「良かった」 と、ホッと胸を撫で下ろした。

そんな風に 順平も僕も それなりに自分のやりたい事に 少しずつ歩いて行く事になった。 



僕は朝がとても苦手だ。

毎朝 母様は「陵也!起きなさい」 と何度も叫んでいる。 そのせいか 朝の母様はとっても不機嫌だ。

そして起きてきた僕に向かって 毎朝凝りもせず

「何度呼ばせれば起きてくるの! いい加減にしなさい」 とプンプンしているので こっちも気分が悪くなって 話をする気にもなれず 目を合わせないで「お早う」「いただきます」「ごちそうさま」 の三つの言葉だけを言う。

でもリビングを出るときに 例外を除いては きちんと母様の方を向いて「行ってきます」 と言う。

何故かというと 母様は必ず これも例外を除いて 玄関まで見送りに来てくれるからだ。

そのことが分かっているので やっぱり僕もちゃんとしなくちゃ と思うからだ。

そして僕の「行ってきます」 の声に「はーい」 とか「行ってらっしゃい」 とか言いながら母様も立ち上がり 玄関まで出てきてくれて もう一度「行ってらっしゃい」 と言ってくれるのだ。

こういう事ってすごく偉いと思う。 どこの家庭にでもある光景なのかもしれないが こういうのってすごく大切と言うか、何と言うのか分からないけど こういうことを続けてするという事は 大変なことだと思う。

これを中学の時からずっとやってくれている。

小学校の時は僕の家の前で 近所の小学生同士とひとかたまりになって 学校へ行っていた。 だから母様は家の前まで出て 姿が見えなくなるまで見送っていてくれた。

低学年の時にはしょっちゅう振り返って 手を振っていたけれど さすがに中学年、高学年になると 恥ずかしくて手を振るどころか 振り返ることさえ出来なくなった。

でも心の中では まだ立っていてくれてるかな、見送っていてくれてるかな、振り返って手を振らなければ悪いかな、母様寂しくないかな、なんて思ったりしていた。 僕もカワイイやつだった。 

まあ、今でも何かあると 母様寂しくないかな、なんて思うことがある。 これは僕がカワイイのではなくて 大人として母様をいたわっているのだ。

そしてその例外という事を説明すると これは絶対僕が悪いのではない、母様が今時を知らないから悪いのだと思うのだが 早い話が携帯電話の料金なのだ。



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