大福 りす の 隠れ家

小説を書いたり 気になったことなど を書いています。
お暇な時にお寄りください。

僕と僕の母様 第146回

2011年08月10日 15時05分22秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
第21回第22回第23回第24回第25回第26回第27回第28回第29回第30回
第31回第32回第33回第34回第35回第36回第37回第38回第39回第40回
第41回第42回第43回第44回第45回第46回第47回第48回第49回第50回
第51回第52回第53回第54回第55回第56回第57回第58回第59回第60回
第61回第62回第63回第64回第65回第66回第67回第68回第69回第70回
第71回第72回第73回第74回第75回第76回第77回第78回第79回第80回
第81回第82回第83回第84回第85回第86回第87回第88回第89回第90回
第91回第92回第93回第94回第95回第96回第97回第98回第99回第100回
第101回第102回第103回第104回第105回第106回第107回第108回第109回第110回
第111回第112回第113回第114回第115回第116回第117回第118回第119回第120回
第121回第122回第123回第124回第125回第126回第127回第128回第129回第130回
第131回第132回第133回第134回第135回第136回第137回第138回第139回第140回


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僕と僕の母様 第146回



学校から帰って そのままリビングのドアを開けると テーブルの上に 大きな封筒と小さな封筒が 並んで置いてあった。 母様はソファーに座って こっちを見ている。

「合否発表きたわよ、開けてないわよ」 母様は僕を 見ているようだが 僕は封筒だけを 見ていた。

「見れば分かる。 開けなくても 内容は分かる」 そう言いながら リビングの中に入り テーブルまで 歩いて行った。

大きい封筒なら 色んな案内書が 入っていて 合格。 小さい封筒なら「不合格」 と書いた紙一枚が 入っていて 不合格。 まさにその2パターンの封筒が 目の前にあるのだ。

その上封筒には その学校のパンフレットと同じように それと一目で分かる 学校名の書き方、学校色があるので 遠目から見ても どちらの学校が 大きい封筒で どちらの学校が 小さな封筒か分かるのだ。

しっかりと 第一希望が 小さな封筒だった。 早い話第一希望が すべって第二希望・・・いや、滑り止めが 合格したのだ。

これが逆だと 喜べたし あの通学時間のことで 嬉しい悩みも持てたのに・・・全く喜べない自分が ここにいる。 封筒を開けた。 やっぱり思った通りだった。

「一つ受かって 良かったじゃない」 覗き込んでいた母様が そう言ったが きっと母様も 封筒の大きさで 分かっていたのだろう。

「良くない」 だってそうだろ。

「何言ってんの、これで二つとも落ちてたら それどころじゃないのよ」 呆れたように 言ったきたが 簡単に 納得できるものじゃない。

「それはそうだけど」 納得できない。 頭の中で 納得できる方法を 探していた。

「でしょ。 はい、喜んで喜んで」 僕を盛り上げようとするが それは無理な話だ。

「ここにチェーンメールを 送ってやろうか・・・」 小さい封筒に 書いてあるアドレスを 見ながら言った。

「バカじゃない、完全な逆恨みじゃない。 ああ、情けない」 せっかく 納得できる方法を 探したのに バカと言われてしまった。

僕は何日か 落ち込んでいた。



翌日、学校から返ってきた僕に 母様が言った。

「陵也、先生にちゃんと報告した?」 昨日、学校に行ったら担任に 合否の報告をするように 言われていたのだ。

「聞いてこないから 言ってない」 正確には 言いたくない。 まだ落ち込んでいるんだ。

「なんでよ ちゃんと滑りましたと 受かりましたって 言わなきゃ」 その言葉 すごくキツイんですけど。

「先生は 今就職の方で 頭が一杯だから 進学の方まで 気にかけていられないの」 本当なんだ。 毎日廊下を 走ってるんだ。

それからも しょっちゅう母様に言われたので 仕方なく 廊下を走っている先生と すれ違いざまに 後頭部に叫んだ。

「先生、試験結果 出ましたから」 少し大きめの声だ。

「おおそうか、どうだった」 

「一つ落ちて 一つ受かった」

「何だその報告の仕方? それよりお前 何処受けたっけ?」 なんて担任だ。 そんなにクラスの人数も いるわけじゃないのに ちゃんと覚えておけよ。 これ以上滑った、滑ったって 言いたくないのに バカ! 

でも仕方のないことだ キチンと報告しておこう。 第1希望が何処で 第2希望が何処でと 学校名も言ってから

「第一希望が滑って 第2希望が受かりました」 そう言ったら

「そうか、あれ? えっと 結局どっちが落ちたんだ?」 2つのことも 覚えられないのか! それに落ちた方を 聞くんじゃない! あと一度言うが もう二度と言わないからな。 ちゃんと書いておけ!



ある日唐突に キッチンに立っていた母様が

「陵也、言い忘れてたけど あなたアルバイト探して 始めなさいよ」 洗物をしながら そう言い出した。

「何で? あんなに今まで やっちゃいけないって 言ってたじゃない」 夕飯を食べ終わったばかりの僕は 今食べたものが 口から出てきそうなくらい 驚いた。

「何言ってんの。 あんなに やりたい、やりたいって言ってたじゃない。 やりなさいって言うんだから 嬉しいでしょ。 それに もう進学も決まったんだし 自分のお小遣いくらい 自分で稼ぎなさい」 話の展開が早すぎる。

「いや、やれって言われたら そんな気が失せるって言うか・・・」

「何をウダウダ言ってんのよ 早く探して始めるのよ。 わかった? ああ、それとそのお給料で 原付の免許も 取りに行くのよ」 そんなに次々と 言われても・・・ あんなにバイトも 原付の免許を取る事にも 反対をしていたのに 今までと正反対のことを 当たり前に言われて 僕の気持ちの収集が 出来ないじゃないか。

次の日から 商店街の中を 歩きながら 求人募集に 仕方なく 目をやっている僕がいた。






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僕と僕の母様 第145回

2011年08月09日 16時40分10秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
第21回第22回第23回第24回第25回第26回第27回第28回第29回第30回
第31回第32回第33回第34回第35回第36回第37回第38回第39回第40回
第41回第42回第43回第44回第45回第46回第47回第48回第49回第50回
第51回第52回第53回第54回第55回第56回第57回第58回第59回第60回
第61回第62回第63回第64回第65回第66回第67回第68回第69回第70回
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第111回第112回第113回第114回第115回第116回第117回第118回第119回第120回
第121回第122回第123回第124回第125回第126回第127回第128回第129回第130回
第131回第132回第133回第134回第135回第136回第137回第138回第139回第140回


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僕と僕の母様 第145回



「ちゃんと 行けたのね良かった」 座っていたソファーに 前屈みになって聞いていた 母様の姿勢が ドンと背もたれに もたれたかと思うと

「違うじゃない、それで落ち着いて どうするの」 イヤ、僕は立ってます。 落ち着いていません。

「試験どうだった? ってこれ聞かないで どうするのよ」 そんなこと言われても 僕は聞かれたことに 返事をしているだけです。 溜息が出るけど 仕方ないな 母様だもんな。 よし、では 話してあげよう。

そして 今日あったことを 話したのだが ふと、このときに気付いた。 不思議なことに あれだけ痛かった頭痛が 取れていたのだ。

もしかしたら 風邪じゃなくて 試験による プレッシャーとか、ストレスで 頭が痛かったのだろうか。

ちなみに丸で囲った「起・承・転・結」 の話をしたら

「今頃採点してる先生も「これ何だ?」 とか言いながら きっと笑ってるわよ」 と言いながら お腹を抱えて笑っていた。 ああ、別の意味で頭が痛い。

翌日は 普通に学校に行き 授業を受けた。 授業と言っても 毎日誰かが入試とか、入社試験とかで 休んでいるので たいした授業内容ではない。

そしてまた その翌日は 隣の市にある大学に 入試を受けに行った。

この日は 母様の仕事が休みだったので 車でつれていって貰った。

正門の前で 僕が車を降りると その後に また一台同じように 多分、母親であろうと思われる おばさんの運転でやってきた 奴がいた。 そいつと目は合ったが お互い知らない顔をして 歩き出した。

大学の中に入ってみた。 

オープンキャンパスに 来ていないから どんな学校の作りだろう と思ったのだが 僕の高校と たいして変わらない感じだ。

受験生も一昨日と比べると 全然比較にならないほど 少ない。 閑散としていると言って いい程だ。

それにあの時に感じた 緊迫した空気なんてものも 感じない。

そのおかげと言っては 何なのだが みんなが気楽にしているからなのか 僕もあの時のように 時間が短く感じるなんて事は なかった。 気持ちが ゆったりとしていた。

そして始まった試験。 ここも小論文だ。 テーマにそって考える。

今度は結構考えられた。 あの時のように 要らないことを書かずとも スラスラと書けていったし 自分の思ったことを 納得のいける表現で 書き上げられた。 時間配分も上手くいき 心に余裕だ。

帰りはまたまた母様が 迎えにきた。 きて貰わないと 僕の足がない。

すると偶然にも 来た時と同じように 母様の車の後ろに 朝見かけた車がやってきて 僕が車に乗った後に そいつも同じように 車に乗り込んでいた。

「朝と同じ人ね」 母様も気付いていたようだ。

「うん。 試験の時 同じ部屋だったかな? 覚えてないや」

「お友達になったら 付き合うの大変じゃない?」 バックミラーを チラチラ見ながら そう言った。

「なんで?」 話したこともないのに。

「だってアレ、あの車ベンツよ。 お金持ちじゃない? うちとは偉い違いよ」 ベンツって聞いたことがある。

「ふーん」 確かにうちのワゴンとは 趣が違う。

その後は 試験の話をしながら 車に乗っていたのだが 今回は前回と違って 上手くいったような気がする と話していた。



そして二週間が経ち 偶然にも 2校とも合否結果の発送が 同じ日だから 今日辺りに着くだろう という日がついにやってきた。






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僕と僕の母様 第144回

2011年08月08日 12時44分30秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
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僕と僕の母様 第144回



やはり駅前にいた うじゃうじゃの人間は 全員受験生らしく バスターミナルに 大学関係者がいて すぐにやってきた 何台かのスクールバスに 誘導し全員が分乗した。

僕も満員のスクールバスに乗り 学校に着いたが もう既に大勢の受験生が 来ていた。

受付をすませて 辺りを見渡すと みんな楽譜を広げていたり、小論文の本を読み返していたり、歌を口ずさんでいる人もいた。 この人は 多分声楽科を 受けるのだろう。

空気が緊迫している。

僕は筆記用具以外は 何も持たずに 来たのだが「しまった、小論文の本を 持ってくれば良かった。 後一時間近くも 何をしていようか」 と後悔した。

仕方なく 受験をする教室を確認し その後人気の少ない所に行き 椅子に座って あと少し残っている 頭痛は取れないものかと ボーっとしながら 人間観察をしていた。

でも やはりどこかで 緊張しているのか 時間は短く感じられ 後30分で 入試が始まるという 一度目の放送が流れた。

教室へは10分もかからない。 まだここに居よう。 そして それから10分経った頃 二度目の放送が流れた。 後20分で 入試時間となる放送だ。 そろそろ教室へ向かおう 僕は歩き出した。

さっき確認した教室に戻り もう一度机に貼ってある 受験番号を確認して 席に着いた。

ドヤドヤと 他の受験生も 席に着いた。 

最後の放送になるのだろうか 試験は後10分で始まるので まだ教室へ入っていないものは 今すぐに教室へ入るようにという 放送が流れた。

多分もうみんな 教室へ入っているだろう。 迷子になりようがないほど 大学関係者や在学生が いたるところに居て 少しでもキョロキョロしていると 声をかけていたのだから。

少しして教室の前のドアから 試験管が入ってきた。 後ろのドアからも 教師か在校生か分からないが 多分、見張り人だろう 数人入ってきた。

試験管が注意事項を話した後 試験管と見張り人から 問題用紙と答案用紙が うつ伏せに配られた。 始まるんだ。

試験開始の放送が流れた。



入試は 小論文。

テーマにそって考え 起承転結を考えながら 自分の頭の中で 流れを考える。

ダメだ、頭痛が邪魔をする。

仕方なく 答案用紙を自体を四分割して「起・承・転・結」 と書いて その文字を丸で囲った。 この文字配分で 考えていこう。

考えれば考えるほど 頭が痛い・・・でも今やらなくちゃ後がない。 

そう思いながら 何とか文字は 埋められたものの 納得のいくものでは なかった。 いくら考えても 頭痛が邪魔をして 僕の思うことが 上手く書けなかったのだ。

書き直しをしようにも もうそんな時間はない。 取りあえず もう仕方がないと思い シャーペンをおいたのだが あと少し時間が余る。

ちょっと落書きのつもりで 問題用紙に「頭が痛い・・・風邪かな」 なんて事を書いて 時間を潰していた。 まさか この問題用紙も 回収されるとは 知らずに・・・。

その上 そんな要らないことを していたものだから 答案用紙を 四分割して書いていた 丸で囲った「起・承・転・結」 を消すのも忘れてしまっていた。 帰りの電車で 思い出したのだ。 ドツボだ。 



家にはゆっくりと 帰りたかったのだが 電車を乗っている時間を考えると 気が遠くなる。

それに一日おいて 今度は隣の市にある 大学の入試だ。 さっさと帰って寝よう。 乗り継ぎの駅で 寄り道することなく帰った。

家に帰ると 既に母様が 仕事から帰っていた。

「お帰り どうだった? 迷わないで行けた?」 最初に試験のことを 聞かないんだ。

「うん、行きも帰りも 迷わなかったよ」 あれだけ 詳しく書いてあった 紙を持たせたじゃないか。 子供じゃないんだから 行けるに決まってるでしょ。

「そう、よかった。 ちゃんと間に合ったのね」 だから 幼稚園じゃないって言うの。

「ちゃんと間に合いました。 時間も お母さんの言った通り 早く着けました」 電話をしただろう。





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僕と僕の母様 第143回

2011年08月05日 13時54分01秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
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僕と僕の母様 第143回



十月下旬。 とうとう一つ目の入試が 明日という日が やってきた。 第一希望の方だ。

「なんか二、三日前から 頭が痛いんだけど」 段々酷くなってきた。

「え? なんで早く言わないのよ それにこんな夜遅くに」 寝ようとしたのだが 頭が痛くて 寝られない時間だった。

母様は頭痛持ちだから その薬は必ず家にある。 しかしその薬を きついからと言って 僕には決して 飲ませないのだ。

「うわー、風邪薬きらしてる・・・待ってて コンビニに行って来る」 そう言ってすぐに バイクで出て行った。

帰ってきてすぐに コンビニの袋から 風邪に効くという 栄養ドリンクを取り出した。

「お母さん 飲んだことがないから 分からないけど 何もしないより ましなんじゃないかな。 それによく効くっていう話を 聞いたことがあるから 飲んですぐに寝なさい」 そう言われて 美味しくもない 変な味のする ドリンクを飲んで 僕はベッドに入った。

朝、母様の声で 起こされた。 あのドリンク剤が 効いたのか 僕は寝ていたようだ。

早い時間だ。 

平日なので 母様はこの日 仕事がある。

「頭の痛いのどう?」

「まだ痛いけど ちょっとましかな」

「いける?」

「うん 大丈夫」 朝のトーストを 食べながら そんな会話をしていた。

トーストも食べ終わり 母様は僕の食べた後の 片付けをしている。 その洗い物の音を聞きながら 目はテレビをボーっと見ていた。

そろそろ時間か。

頭痛のせいか 単にいつもと同じなのか かったるい気持ちで 制服に着替え 前日に用意しておいた鞄を持って リビングを出ようとすると 僕の後ろに 母様がついてきて

「ちゃんと 行き方覚えてる?」 「取りあえず 最後の駅に着いたら 電話を入れて」 そう言われながら 僕は玄関に向かった。

いつもならここで 母様お得意の チアガールが あるんだろうけど どうもかなり心配しているようで それどころではないといった感じで 玄関の外まで出てきて

「分からなくなったら 駅員さんに聞くのよ」 「忘れないで電話してよ」 「頭痛くするんじゃないわよ」 等とずっと言っていて 何かを思いだしたように

「あ、そうじゃない 試験頑張るのよ。 これ言わないで どうするのよ」 僕のせい? それに好きで頭痛を 招いてるんじゃないし。

「はい、はい」 と返事をして 自転車に乗った。

長い時間 一人で電車に乗るのは初めてだし 見慣れない窓の外の風景、乗り慣れない電車、入試という緊張感、僕の頭痛は ピークに達した。

電車の中で 頭を抱えながらも 何とか人に聞くことなく 目的の駅に着いた。

駅前には 僕と同じような年齢の人間が うじゃうじゃ居る。 みんな受験生なのだろうか? 

そんな沢山の人間から 隠れるように 母様に電話を入れた。

「今駅に着いたから。 後はスクールバスに 乗るだけだから」

「良かった。 ちゃんと お母さんが書いてた通りに 乗れたのね。 一時間以上は ゆっくり出来るだろうから 気持ちを落ち着かせて 頑張るのよ。 頭痛はどう?」 前日に 何時何分のこの電車に乗って 電鉄乗り換えの移動時間が 何分だから 次にこの電車に乗る といった事が書かれたメモを 渡されていたのだ。

このメモ通りに 行かなければ 一時間近く到着予定が 変わってくるらしいのだ。 そんなことになったら 試験ギリギリに ついてしまい 落ち着く時間もなくなる と言った具合だ。

「うん、何かましになってきた」 そう言われれば ましになってきた気がする。

「よかった じゃ、お母さんも もう仕事に行くから」

「うん、行ってらっしゃい」 そう言って お互いが電話を切った。





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僕と僕の母様 第142回

2011年08月04日 14時27分44秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
第21回第22回第23回第24回第25回第26回第27回第28回第29回第30回
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僕と僕の母様 第142回



学校のグラウンドを 一周して 中庭を抜け 正門から堤防に出て そのまま堤防を走る。

そして折り返し地点で Uターンをして 堤防を走ってきて また今度は反対に 正門から中庭を抜け グラウンドに入って そのままグラウンドを 一周するのだが 前にも言ったように ここの高校は バカほど広いから グラウンドを走るのも 単にトラックを走る分には 200メートルで済むところを フェンスに沿って 走らなければいけないから もう最後は足が棒を通り越して 鉄の固まりのように なっている。

その堅くて思い 鉄の足を引きずって グラウンドに入ってきたときに 先生に「後5分」 とかって言われるのだ。

それは 地獄の魔王のセリフにしか 聞こえない。

そこで僕と順平は 必死でダッシュを かけるのだが 他からみていたら 決してダッシュには 見えないだろう。

そんな感じでの 時間ギリギリなんだから これで往復距離を増やされたり 制限時間の短縮を 言い渡されたら 一気に脱落だ。

このパターンになってからは 毎回クラスの半分近くは 脱落している。

でも奴らは 今までにちゃんと出席を していたから 単位不足にはならない 放課後に同じ距離を走れば それで良いのだ。

放課後に また同じ距離を走るのも しんどいが 単位を落とすといった 窮地に立つよりは ましだろう。

今になって サボったことへの 後悔はないが 自分の計算ミスに 後悔をしてしまう。

それからというもの グラウンドを走るのを 毎回一周ずつ 増やされていき 最後には グラウンドは 一周で良くなったものの 今度は堤防の一往復が 二往復、三往復へとかわっていった。

堤防を二往復と4分の1を 走った頃だろうか 順平のペースが 急に落ちた。

「どうしたの 早く走んないと」 殆ど言葉にならない声で そう言って 順平を急かした。

「ダメ、無理」 無理ってどうすんの。

「今走んなきゃ 放課後やり直しになるじゃん、せっかくここまで走ったのに 頑張れよ」 息も切れ切れに そう言って 順平の手を引っ張ったが とうとう止まってしまった。

僕は放課後の居残りでは 済まない。 順平もその事は 知っている。

順平に悪いと思いながらも

「先に行くよ、いい?」 早く行けと言わんばかりに 手で「行け」 と合図した。

「ごめん・・・頑張れよ」 こんな時僕は 友情を取った方が 良かったのだろうかと 考えるが こんなしんどいことを また居残りでやって その上に赤点なんて 僕に友情は取れなかった。

一人でそのまま走り続けて 折り返し地点で Uターンをして どこかで順平と すれ違わないかと ひたすら前を見ていた。

すると大分走った頃に 順平の姿が遠くに見えた。 すれ違いざまに

「頑張れ」 そう一言いうと

「無理」 と返事をしてきた。

とうとうこの日順平は 放課後残されてしまった。

しかし 僕もいつそんな目に遭うか 分からない。

いや、それだけでは すまされない。

入試の日が どんどんと近づく中、マラソンの授業を 何とかギリギリに こなしていった。






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僕と僕の母様 第141回

2011年08月03日 14時13分04秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
第21回第22回第23回第24回第25回第26回第27回第28回第29回第30回
第31回第32回第33回第34回第35回第36回第37回第38回第39回第40回
第41回第42回第43回第44回第45回第46回第47回第48回第49回第50回
第51回第52回第53回第54回第55回第56回第57回第58回第59回第60回
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僕と僕の母様 第141回



二学期も 半分ほど過ぎようかという 時期に入った。 そして もう少しで 入試だというときに 僕の誤算が発覚した。

前にも言ったように 毎回とまでは言わないが 1、2時間目が体育の時は 授業がイヤで 適当に学校を遅刻して 授業を受けなくしていたのだが キチンと出席日数も 考えてしていたつもり だったのに 何処でどうやって ミスってしまったのか あと1回でも休めば 二学期の通知票に 赤点がついてしまうだ。

その上実技テストに 合格しなければ 単位不合格で これも赤点になってしまう。

それなのに 二学期最後の種目が 最悪なマラソンである。

サッカーや柔道の授業も 今までにあったが これまでに体育の授業で やろうという気になったのは 卓球だけだった。

卓球は自分一人か せいぜい二人でやるし 第一怪我の心配もない その上息も切れない。

サッカーやバスケなんて 団体行動だし 柔道なんて野蛮なものは 危険だ。

そして今回のマラソンは 特にやる気や技術が 必要とは思わないが ただひたすらに しんどいのだ。

だからといって 卓球のほかに 何の種目が 良かったのかと聞かれれば 返事に困るのだが こんなとんでもない種目を 残してしまったなんて 気が遠くなりそうだ。

取りあえず 赤点にならないように その日から体育の授業は 毎回出席をしたのだが 今までが今までだっただけに 先生も甘い顔はしてくれない。 特に陸上、ましてや マラソン選手だっただけに この種目には 厳しいようだ。 僕の横にきて こう言うのだ

「お前一回でも 脱落したら その場で単位を 落とすからな」 その時は 脱落という意味が 良く分からなかった。

マラソンの授業になってからは その体育の時間中 学校の外周を走らされるのだが 僕も順平も 取りあえず 走っていればいいといった感じで 二人並んで 喋りながら走っていた。

それでも次の日には 筋肉痛で 歩けなくなってしまうっていうのに 次の授業のときに 先生はとんでもないことを 言い出した。

「よーし、今日は時間制限付きだ。 その制限内に 走れなかった者は 脱落とみなして 放課後同じ距離を走らせる。 いいかー、分かったなー。 早く並べ」 と言って みんなが並んだ途端に「スタート」 と言って ストップウオッチを押した。

その時に やっと先生の言った 脱落という言葉が 理解できた。 

僕と順平は 前回より少しペースをあげて 走り出した。 その日は何とか ギリギリセーフで 二人とも時間内に走れたが その日から 毎回そのパターンで走らされて 毎回ギリギリで 何とか乗り切っていたが 先生の言う制限は その都度条件が 厳しくなっていった。 外周周回を 増やされたり 同じ周回でも 時間制限をきつくしたり といった具合で 毎回何人かは脱落して 放課後に残されていた。

そして とうとうある日の授業で

「よーし、今日からは 外周を走るんじゃなくて 川沿いの堤防を 走っていく。 勿論時間制限は 付けるからな」 そんなことを 言いだした。

学校の横に 川が流れていて その堤防沿いに 走るというのだ。 

毎年冬の授業は マラソンだから 何度も走らされたことはあるが 相当な距離だと思う。 それを時間制限付きだなんて 嘘だろう。

それでも やらなくちゃならない 立場の低い僕たち生徒だ。

順平と僕は 何とか走って 毎回時間ギリギリだ。





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僕と僕の母様 第140回

2011年08月02日 12時41分06秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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僕と僕の母様 第140回



もう一つの方は 僕一人で行った。

「市内だから 一人で行けるでしょう はい、これ」 そう言って ネットから アウトプットした地図を 差し出した。

確かに簡単だ。 いつも高校に行く方と 反対方向の電車に 乗るだけだ。 そして駅を降りると 目の前に その大学があるのだ。 確かに第一希望の所と比べれば 簡単に行ける。

でも実際に行ってみて この大学に 何も心を惹かれなかった。 チラッと見て それからすぐに学校を出た。

家に帰ってから どうだったと聞かれたが

「何一つ良いと思わなかった。 狭いし、校舎も古そうだったし。 あそこには行かない」

「広い、狭いとか 新しい、古いで 決めるもんじゃないでしょ。 それに駅を降りて すぐでしょ 傘もいらないくらいでしょ いいじゃない」 駅を降りて すぐでしょって 僕の狭い、古いと言ってる事と 変わんないじゃないか。

「とにかく あの大学は受けない。 今日の感想はそれだけ」 もともと 史学をやりたいわけじゃないんだし。

この夏休みの間 1、2年の時の 夏休みと同じように 正太と殆ど毎日遊ぶ ということはなかった。 正太も受験生なのだ。 塾に行かず 自己流で勉強しているのを 母様はとても褒めていた。 そして僕に対して

「正太君を見習って ちゃんと勉強しなさいよ」 僕の受験科目は 本命も、滑り止めも 小論文なのだ。

「ちゃんとやってるよ、お母さんが知らないだけだよ」

「先生が言ってたでしょ 自分でテーマを決めて その論文を書いて 先生の所に 持ってきなさいって そしたら 添削してあげるからって、国語の先生なんだから 見て貰いなさいよ」

「自分で添削する。 先生の世話にはならない」 本当に母様が 知らないだけで 僕はちゃんとやってるんだ。
 


そんな 長い退屈な夏休みを過ごして 二学期が始まった。

学校から帰ると 電話が鳴った。 何気なく僕が出ると なんと消防署からの 電話だった。

急に電話の向こうで 消防署と名乗られその上で「陵也さんとおっしゃる方は いらっしゃいますか」 なんて言われたもんだから 僕の受け答えが どうも不自然だったみたいで 母様がこっちを見ている。 そのまま話を聞いて 電話を切った途端

「どうしたの? 誰から?」 何か疑ってるような目で 僕を見てる。 ちょっと驚かす 言い方をしよう。

「消防署」 ウソじゃないもん。

「は?!」 やった かなりビックリした顔だ。 そりゃ、僕もビックリしたんだから 母様も驚くだろう。

「なんか危険物の事で かかってきた」 危険物取り扱い免許のことだ。

「なんで?」 教えてあげよう。

「先生が免許の申請の仕方を 間違えたみたいで 免許がこのままでは 作れないから・・・って。 先生が「丙」 の免許は 持ってこなくてもいいから 証明写真だけを 持ってこいって言ったのに「丙」 の免許もいるんだって」 この説明で分かった?

「どうするの」 どうするか ちゃんと聞いたよ。

「消防署に持ってきてだって」 

「それで良いの?」

「そうみたい。 やっぱり国語の先生は 国語だな。 工業のことは 分かってないね」 それから数日後 キチンと交付されてきた。





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僕と僕の母様 第139回

2011年08月01日 13時36分54秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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僕と僕の母様 第139回



帰りの電車で

「一応、本命と滑り止めが決定ね。 後どうする? 普通に文学部とかも受ける?」

「二つで充分だよ」 何回も入試を受けるなんて 考えたくもない。

「もったいないじゃない。 せっかくの機会なんだし 幾つか受ければ? 歴史の成績が 良かったんだから 史学の方面も受けてみない? ちゃんと 探してあるわよ」 それは誤解です。

「成績って言っても 単にその時は 先生をからかうための レポートを書くのが 面白かったり クラスの奴と 点数競争のゲーム感覚で 試験を受けるのが 楽しかったからであって 歴史が好きな訳じゃないから もういいの」

「センター受けないの?」 何だそれ?

「もう何も話さないで」 携帯を出して ゲームをし始めた。



夏休みに突入。

順平は最後の一教科の追認を 残したままだ。 

かろうじて 他の教科は夏休み前に 合格をしたようなのだが この最後の教科だけは 残ってしまったのだ。

何度も 補習についてきてと メールがあるのだが 何でこの暑い中 自転車こいで 学校に行かなきゃなんないんだと思い その都度断りメールを 送り返していた。

そして一週間も過ぎた頃に やっと最後の教科が合格 というメールが入ってきた。 夏休みに入ってから やっとの事で「仮」 が取れたようだ。 仮進級の三年生ではなく 二学期からは 本当の三年生になるのだ・・・幾ら何でも遅いだろ。

僕の方も 夏休みに入ってから 二つの大学の オープンキャンパスに行った。

一つは第一希望の 音楽関係の大学。 もう一つは 結局母様に押し切られて 史学科のある大学だ。 隣の市にあった大学は 夏休み前にオープンキャンパスは 終わっていたから 行けなかったのだ。

音楽関係の大学は 家から電車を 3つも乗換えなくてはならないし 今までに全く行った事のない所、乗ったことのない電鉄なので、電車の乗り継ぎも 何も分からない。 

母様と二人で行ったのだが 行きはネットで調べて 無駄な時間もなく 最短時間で行けたのだが それでも 電車を乗っている時間だけでも 一時間半かかった。 そして駅からは スクールバスだ。 これで乗り継ぎが悪い時間帯とか 普通電車しか出ない 時間帯なんかになってしまうと ヘタをすれば 電車に乗っている時間だけでも 二時間以上は軽くかかるだろう。 その上、家から駅までは 自転車で20分だ。

母様は 下宿をさす気はない と言っているが これはもし受かってしまうと 通うのが大変だ。

ギュウギュウ詰めの バスを降りて 学校内を見学して 回ったのだが 僕は大変気に入った。 とても広いし スタジオとか 今の僕の世界で 見ることのない教室が いっぱいあるのだ。

そしてミキサー室。 見学する気 ムンムンで行ったのだが あいにくと 僕の他に見学者がいない。

母様は 教室の中にいる 説明をしてくれる人に 声をかけようかというのだが 一人は目立つ。 やめておいた。





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