大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第150回

2011年08月17日 12時57分32秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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僕と僕の母様 第150回



僕の計算の中では 電子回路は いつ赤点になっても おかしくないのだ。 この一つだけは 体育のように 何とかなるものではない。 全く分からないのだ。

一年の時から 何とか赤点を逃れる といった点数だけに その積み重ねで 完全に全く分からない状態だ。

ただ、相手が若造だけに 赤点に対しての 緊張はそんなにない。

そして体育の計算ミスと違って この電子回路の計算は 見事に的中した。

一学期の成績が 見事なものだった。 中間で5点、期末で0点、評定「1」 だ。 しかしこの時には これでは評価で 赤点になってしまうと思う 焦る気持ちがあったから 二学期に頑張って 中間で79点を マークした。 これで二学期は 期末が0点でも 平均が30点以上なので 評定が確実に「2」 だ。 頑張る必要のない期末で6点。 赤点は免れた。

だがその後の授業が 今まで以上に全く分からない。 頑張ろうに頑張れない とうとうこの時に 三学期にどれだけ勉強しようが 絶対に分からないと思い 赤点で評価「1」 を覚悟したのだ。 母様にも赤点と評価「1」 を宣言をしておいた。 何故なら

「赤点は取るなって 言ったじゃないの。 何なのこの点数は」 一学期の点数表と通知票が 学校から母様宛に 送られてきた時に 鬼の形相で言われた。 

早い話が テストの結果を見せなくても 母様にバレるという仕組みである。

「二学期に盛り返すよ。 それに最終的には 三学期で赤点を取らなきゃ 追認にはならないんだから 大丈夫だよ」 その時には そう言ったものの 二学期は中間、期末合わせての評定になるので あくまでも「2」 で終わったのだが しっかり三学期には 評価で「1」 になりそうなのである。 この評価で追認をし 不合格なら 留年が決まってしまうのだ。 だから二学期の点数表と 通知票が送られてきたときに 母様に宣言をしておいたのである。

「中間は頑張ったからそれで 二学期の赤点は逃れたけど その後の授業が全く分からない。 したがって三学期の電子回路は 赤点決定ですので そこの所の覚悟をよろしく」 開き直りに 威張って言ってみた。

「バカじゃない!」 怒ってます。



二学期も終わり 年が明けた。

指の関節は 一向に良くならず 何かを持とうとすると 激痛、そしてすぐに外れる。 旅行の話も お流れになってしまって いい幕開けではない 年始めだ。

遊び相手の正太は まだ受験を控えている。 遊びに誘うことは出来ない。 バイトだけの一日を過ごしていた 冬休みだった。

そして 冬休みなんて 短いものだ。 すぐに学校が始まった。

まだ 就職の決まらないやつが 何人かいたが 殆どはもう決まっていた。 授業も2学期の終わりのように あってない様なもの それだけに お気楽な学校生活だ。

バイトはずっと続けていた。 年末年始も休みなしで働いた。 最初入ったときに マネージャーから 年末年始と5月の連休は 必ず入って欲しいと 言われていたのだ。 既婚のパートさん達だけなので みんな家庭の都合で 大型の連休は なかなか出勤が 出来ないらしい。 でもそのお陰で 指の痛みは置いといて お給料が沢山入ってきた。

それに店長代理は 好きにはなれなかったが マネージャーと居るのが 相変わらず とても楽しかった。 

店長代理とマネージャーは 午前から深夜にかけて 交互に出勤してきて 重なるということはなかった。 だから 僕の時間帯が マネージャーの日は 良かったのだが 店長代理の日は 面白くない時間だった。

だが 毎回と言っていいほどの 仕事あとの マネージャーとの話が 楽しくもあった。 マネージャーも 自分が休みにもかかわらず わざわざ 僕の上がるのに 時間を合わせて お店までやって来たりと 少し馴れすぎて 敬語という言葉の壁を 忘れてしまっている時が 時々あったほどだ。

だが そんな楽しさと裏腹に 指の痛みは酷くなる一方だ。

もう限界か 鍋も丼も何も 片手で持てない。 何とか左手でカバーをしながら 持ったりはしていたのだが お皿を洗うことさえ まともに出来なくなってきていた。

丁度そんなときに マネージャーから 2月いっぱいで 移動になるという話を聞いた。 そして今の店長代理が 店長代理兼マネージャーに なるというのだ。

あの好きになれない店長代理と これから毎日一緒だなんて 面白くも楽しくもない。

痛みのことも 勿論あったが マネージャーの 移動の話を切っ掛けに とうとう2月 僕はアルバイトを辞めた。  結局三ヶ月ほどしか働かなかったが、お金はそこそこ貯まったので 原付免許は ギブスが取れてから 正太と取りに行くことにした。



その頃学校はというと 期末テストに突入だった。

そしてとうとう 三学期の電子回路のテストで とんでもない点を打ちだした。 僕はしっかりと 追認テストを 受けなくてはならなくなった。 その報告が 学校から母様に 手紙で知らせてきた。

「ちょっと、この手紙は何よ」 僕に手紙を 突き出してきた。

「ああ、それ。 追認のお知らせじゃない?」 当たり前のように 答えた僕に向かって

「はぁ?! 何言ってんの? 追認って どういう事よ、何なのよ」 ちゃんと前に宣言したのに 覚えてないわけだ。

「言ったじゃない、三学期は赤点になるって」 話した事は 覚えておいてよ。

「聞いたわよ、だから何なのよ」 覚えてるんだ・・・でも何なのよって 何なのよ。 こっちが聞きたいわよ。 あ、女言葉を 心で言ってしまった。 うっかり口から出ないように 気をつけよう。

「赤点だから 追認じゃないか」 母様は何を聞きたいんだ?






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