大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第12回

2011年02月08日 16時02分45秒 | 小説
僕と僕の母様 第12回



学校はイヤというほどの大きさがある。 土地もバカほどあり無駄に広いのだ。

前にも言ったが、この学校は部活が盛んでない。

それなのに 腐るほど広いグラウンドに 第三体育館まであるのだ。

そして校舎や教室も こんなに一杯どうするの? と言うほどの多さだ。

誰も使わないって言うの。 そんじょそこらの学校とは 大違いなのだ。

車も止めたいところに 何処にでも止めることが出来る。

駐車が苦手な母様は「きゃー、止めたい放題」 とかって言いながら 僕の教室がある校舎の 出入り口に一番近い所に車を止めた。

学校は二足制だ。 その内一足は 勿論家から学校に履いてきた靴なのだが もう一足が問題だ。

普通なら俗にいう上靴で 何処の靴屋でも 上靴とかバレーシューズとかっていった 商品名で売られているのだが、僕の高校の上靴はそうではない。

母様は 大昔のビーチサンダルのような物と言うし、母様の友達は「私の子供の学校も同じだわ。 それは俗に便所スリッパというの」 と言っていた。

この母様の友達という人は 結婚してから今もずっと田舎で暮らしていて「町内会」 とは言わない「村の寄り合い」 と言うのだ。

そんな環境の中の学校と 同じスリッパを上靴として履いているということは やっぱり僕の学校は 田舎の学校なのかなぁ。

僕はこの学校に来てこのスリッパを 初めてマジマジと見たのだが そう言われてみれば 昔の時代設定のテレビ放送なんかを見ていると トイレにはこのスリッパが あったような気がする。 悲しくなってくるスリッパだ。

その上 入学したときに母様が この悲しくなってくるスリッパに 名前を書いてくれたのはいいけれど フルネームで書いてくれて 挙句の果てに マンガ字だ。

他の皆は苗字だけだし 大人の字なのに 履いていて 恥ずかしいのなんのって。 教室に入るには そのスリッパに 履き替えなくてはならない。

母様に「ちょっと待ってて、靴を履き替えてくる」 そう言って 僕の教室の校舎とは違う校舎にある 下駄箱置き場まで行き、その悲しくなるスリッパに履き替えて 母様の所に戻っていった。

母様の性格上 かなり早くに家を出たので 三者懇談までにはまだまだ時間がある。

「喉かわいた?」 一応聞いてみた。

「すごく乾いた」 あんなに叫んでたんだから そりゃ喉も渇いてるだろう。

「自販機の所に行こうか?」

「えっ、そんな画期的な物、この学校にあるの?」 完全にド田舎だと思ってる。

「あります!」 失礼な!

食堂横に設置してある自販機に母様を案内して

「ほらそこにあるでしょ」 そう言って 自販機の方を指差すと

「どこ?」 目が悪くなったの?

「そこの奥にあるでしょ」 もう一度自販機を指さした。

「あ、えー、いつの時代の自販機?」 僕の友を馬鹿にしたな!

「失礼ね! 今の時代よ、平成よ」 何故か女言葉になってしまった。




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