大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第39回

2011年03月11日 14時25分05秒 | 小説
僕と僕の母様 第39回



「コンクール予選どうするの?何かやりたい曲ないの?」 先輩から話しかけてきた。

「全然分からない」

「ま、そんな事はいいか。 一緒に駅まで歩くの久しぶりだね。」 そう言って 何ヶ月か振りに一緒に帰った。



この旧三年フルート先輩とは 学校の休みの日に 何度か遊びに出掛けた事がある。

最初は チケットが手に入ったから 一緒に展覧会を見に 連いてきて欲しいと言うものだった。

電車に乗ってどこかへ出掛ける事の出来ない僕は 僕の乗る駅で先輩と待ち合わせて そのまま先輩に連れて行ってもらったようなものだった。

先輩からしてみると 先輩の乗った駅から 僕の駅を通過して まだその先の駅に向かうのだが 考えて見ると目的地までは僕の方が近いことになる。

それに その間に乗換えがあったりしたのだが 先輩の住んでいる所からは かなり遠い所にあるのに どうして先輩は知っているのだろうか? それとも知らない僕が オカシイのだろうか。

何の展覧会かは 教えてもらっていなかった。 

いざ、その展覧会とやらに行くと テディーベアが 所狭しとイッパイ並んでいた。

電車の行き方は知らないが テディーベアは知っている。

そういえば先輩の 鞄や携帯、フルートのケースに付けてあるストラップは 色々付けてはいるが テディーベアが必ず付いていた。

「テディーベアが好きなの?」

「あ、何? 陵也クン テディーベア知ってるの?」
  
「誰でも知ってるんじゃない?」

「そんなこと無いわよ、女の子じゃないんだから。 あ、もしかして陵也クンも テディーベア好きなの?」 どうして嬉しそうな顔で聞くんですか?

「え!?」 突拍子も無い質問をしてくれて 驚いてしまった。 いくらなんでもそんな趣味はありません。

「ビンゴ?」 僕の驚いた顔を見て そんなことを言ってきた。

「ハズレ。 思いもしない質問をするから ビックリしただけです。 クマさんのお人形の趣味はありません。」 笑いながら言った。

「なんだー、 一瞬お揃いで持とうかと思ったのに。 でも良かった、もし最初にテディーベアの展覧会って言って そんなもの知らないとか、興味が無いって言われたら嫌だから 何を見に行くのか教えなかったのね。 でも そんな風でも無さそうだし、ずっと見て回るの付き合ってくれる?」

「いいよ。 そんなこと気にしなくて良かったのに。」

そんな話で始まって ずっとテディーベアを見て歩いていた。

テディベアを見て回るのはいいんだけど それより僕はお金をそんなに持ってないから 電車代だけで大変で こっちの方に困ってしまっていた。

結局、おごることもなく、おごられることも無く 自分の分のジュースだけを 自販機で買って飲んでいた。

その後も 数える程だけど お金のかからない所へ出掛けたことがあった。



この日は 大学の話しや友達の話しをしているうちに駅に着き 先輩が在学中の時のように 改札を入った所で 長話をしてから別れた。



帰って母様に「お帰り、遅かったわね」 と言われた。

「うん、部活が長引いて」 と、申告しておいた。 そう言うといつもの如く

「今日、学校どうだった?」 とか「部活どうだった?」 とかって聞いてきたので

「何か コンクールの予選があるみたい」・・・そんな会話に導いて行った。

心の中でほんの少し引っかかりがある。



数日後、例の教室の前をウロウロしていた 一年生の女の子が 廊下で僕のクラスの奴に 手紙を渡しているのを見た。

その相手というのは ラグビー部で結構体格のいい奴だ。

この場面を僕一人が見たというのではなくて みんなの面前で渡していたのだ。

みんなからヒューヒューと 冷やかされながら そいつは手紙を受け取っていたが あまりいい顔はしていないようだった。

女の子がいなくなってから クラスの奴らが「手紙早く見ろよ」 と、はやし立てていて その中に順平もしっかりと混じっていたから 僕は後で順平に聞こうと思い その時は知らぬ顔をしていた。

そしてその後 順平に聞くと 熱烈なラブレターだったらしく「鳥肌ものよ」 と言っていた。

最後に自分のメルアドを書いてあって 尚且つ、こちら側のアドレスも教えてほしいと 書いてあったそうだ。

そして渡されたヤツは 速攻断るといってメールを打ちかけたが これでメールを打ってしまうと 自分のアドレスがバレてしまうという事に気づき 次の休み時間に何人か引き連れて教室を出ていった。

可哀相に速攻振られたようだ。



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有難う御座いました。

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