『僕と僕の母様』 目次
第 1 回・第 2 回・第 3 回・第 4回・第 5 回・第 6 回・第 7回・第 8 回・第 9 回・第10回
第11回・第12回・第13回・第14回・第15回・第16回・第17回・第18回・第19回・第20回
第21回・第22回・第23回・第24回・第25回・第26回・第27回・第28回・第29回・第30回
第31回・第32回・第33回・第34回・第35回・第36回・第37回・第38回・第39回・第40回
第41回・第42回・第43回・第44回・第45回・第46回・第47回・第48回・第49回・第50回
第51回・第52回・第53回・第54回・第55回・第56回・第57回・第58回・第59回・第60回
第61回・第62回・第63回・第64回・第65回・第66回・第67回・第68回・第69回・第70回
第71回・第72回・第73回・第74回・第75回・第76回・第77回・第78回・第79回・第80回
第81回・第82回・第83回・第84回・第85回・第86回・第87回・第88回・第89回・第90回
第91回・第92回・第93回・第94回・第95回・第96回・第97回・第98回・第99回・第100回
第101回・第102回・第103回・第104回・第105回・第106回・第107回・第108回・第109回・第110回
第111回・第112回・第113回・第114回・第115回・第116回・第117回・第118回・第119回・第120回
第121回・第122回・第123回・第124回・第125回・第126回・第127回・第128回・第129回・第130回
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僕と僕の母様 第140回
もう一つの方は 僕一人で行った。
「市内だから 一人で行けるでしょう はい、これ」 そう言って ネットから アウトプットした地図を 差し出した。
確かに簡単だ。 いつも高校に行く方と 反対方向の電車に 乗るだけだ。 そして駅を降りると 目の前に その大学があるのだ。 確かに第一希望の所と比べれば 簡単に行ける。
でも実際に行ってみて この大学に 何も心を惹かれなかった。 チラッと見て それからすぐに学校を出た。
家に帰ってから どうだったと聞かれたが
「何一つ良いと思わなかった。 狭いし、校舎も古そうだったし。 あそこには行かない」
「広い、狭いとか 新しい、古いで 決めるもんじゃないでしょ。 それに駅を降りて すぐでしょ 傘もいらないくらいでしょ いいじゃない」 駅を降りて すぐでしょって 僕の狭い、古いと言ってる事と 変わんないじゃないか。
「とにかく あの大学は受けない。 今日の感想はそれだけ」 もともと 史学をやりたいわけじゃないんだし。
この夏休みの間 1、2年の時の 夏休みと同じように 正太と殆ど毎日遊ぶ ということはなかった。 正太も受験生なのだ。 塾に行かず 自己流で勉強しているのを 母様はとても褒めていた。 そして僕に対して
「正太君を見習って ちゃんと勉強しなさいよ」 僕の受験科目は 本命も、滑り止めも 小論文なのだ。
「ちゃんとやってるよ、お母さんが知らないだけだよ」
「先生が言ってたでしょ 自分でテーマを決めて その論文を書いて 先生の所に 持ってきなさいって そしたら 添削してあげるからって、国語の先生なんだから 見て貰いなさいよ」
「自分で添削する。 先生の世話にはならない」 本当に母様が 知らないだけで 僕はちゃんとやってるんだ。
そんな 長い退屈な夏休みを過ごして 二学期が始まった。
学校から帰ると 電話が鳴った。 何気なく僕が出ると なんと消防署からの 電話だった。
急に電話の向こうで 消防署と名乗られその上で「陵也さんとおっしゃる方は いらっしゃいますか」 なんて言われたもんだから 僕の受け答えが どうも不自然だったみたいで 母様がこっちを見ている。 そのまま話を聞いて 電話を切った途端
「どうしたの? 誰から?」 何か疑ってるような目で 僕を見てる。 ちょっと驚かす 言い方をしよう。
「消防署」 ウソじゃないもん。
「は?!」 やった かなりビックリした顔だ。 そりゃ、僕もビックリしたんだから 母様も驚くだろう。
「なんか危険物の事で かかってきた」 危険物取り扱い免許のことだ。
「なんで?」 教えてあげよう。
「先生が免許の申請の仕方を 間違えたみたいで 免許がこのままでは 作れないから・・・って。 先生が「丙」 の免許は 持ってこなくてもいいから 証明写真だけを 持ってこいって言ったのに「丙」 の免許もいるんだって」 この説明で分かった?
「どうするの」 どうするか ちゃんと聞いたよ。
「消防署に持ってきてだって」
「それで良いの?」
「そうみたい。 やっぱり国語の先生は 国語だな。 工業のことは 分かってないね」 それから数日後 キチンと交付されてきた。
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「市内だから 一人で行けるでしょう はい、これ」 そう言って ネットから アウトプットした地図を 差し出した。
確かに簡単だ。 いつも高校に行く方と 反対方向の電車に 乗るだけだ。 そして駅を降りると 目の前に その大学があるのだ。 確かに第一希望の所と比べれば 簡単に行ける。
でも実際に行ってみて この大学に 何も心を惹かれなかった。 チラッと見て それからすぐに学校を出た。
家に帰ってから どうだったと聞かれたが
「何一つ良いと思わなかった。 狭いし、校舎も古そうだったし。 あそこには行かない」
「広い、狭いとか 新しい、古いで 決めるもんじゃないでしょ。 それに駅を降りて すぐでしょ 傘もいらないくらいでしょ いいじゃない」 駅を降りて すぐでしょって 僕の狭い、古いと言ってる事と 変わんないじゃないか。
「とにかく あの大学は受けない。 今日の感想はそれだけ」 もともと 史学をやりたいわけじゃないんだし。
この夏休みの間 1、2年の時の 夏休みと同じように 正太と殆ど毎日遊ぶ ということはなかった。 正太も受験生なのだ。 塾に行かず 自己流で勉強しているのを 母様はとても褒めていた。 そして僕に対して
「正太君を見習って ちゃんと勉強しなさいよ」 僕の受験科目は 本命も、滑り止めも 小論文なのだ。
「ちゃんとやってるよ、お母さんが知らないだけだよ」
「先生が言ってたでしょ 自分でテーマを決めて その論文を書いて 先生の所に 持ってきなさいって そしたら 添削してあげるからって、国語の先生なんだから 見て貰いなさいよ」
「自分で添削する。 先生の世話にはならない」 本当に母様が 知らないだけで 僕はちゃんとやってるんだ。
そんな 長い退屈な夏休みを過ごして 二学期が始まった。
学校から帰ると 電話が鳴った。 何気なく僕が出ると なんと消防署からの 電話だった。
急に電話の向こうで 消防署と名乗られその上で「陵也さんとおっしゃる方は いらっしゃいますか」 なんて言われたもんだから 僕の受け答えが どうも不自然だったみたいで 母様がこっちを見ている。 そのまま話を聞いて 電話を切った途端
「どうしたの? 誰から?」 何か疑ってるような目で 僕を見てる。 ちょっと驚かす 言い方をしよう。
「消防署」 ウソじゃないもん。
「は?!」 やった かなりビックリした顔だ。 そりゃ、僕もビックリしたんだから 母様も驚くだろう。
「なんか危険物の事で かかってきた」 危険物取り扱い免許のことだ。
「なんで?」 教えてあげよう。
「先生が免許の申請の仕方を 間違えたみたいで 免許がこのままでは 作れないから・・・って。 先生が「丙」 の免許は 持ってこなくてもいいから 証明写真だけを 持ってこいって言ったのに「丙」 の免許もいるんだって」 この説明で分かった?
「どうするの」 どうするか ちゃんと聞いたよ。
「消防署に持ってきてだって」
「それで良いの?」
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