大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第93回

2011年05月27日 16時39分03秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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僕と僕の母様 第93回


そんなことも色々あって ずいぶん日が過ぎていき とうとう三年生を送る会の 当日がやってきたのだ。

僕は僕なりに 精一杯練習した。

一年サックスに比べると サボっていた方かも知れないが 僕の限界までやれたつもりだ。

色んな文化系クラブが 三年生に当てて パフォーマンスをしているようだ。

僕達は最初から席に着かず ずっと体育館の外で 順番待ちをしているから 他のクラブが 何をしているのかは分からない。

ブラバンの順番が 迫ってくる。 そして幾らも経たないうちに 出番がやってきた。

体育館の袖から 舞台に出る。 幕はまだ上がっていない。 

ドタバタと 僕達の前にやっていた放送部と 入れ替わる。

放送部はいったい何をやっていたのだろう。 大道具まで持って 片づけている。

放送部が中央からズレていった後から 僕達小さな楽器を持つ者が 椅子の用意をし、大きな楽器の者は 椅子の準備が整うのを 楽器を支えながら待っている。

椅子の準備が出来た。 それぞれが楽器を持って席に着く。 先生が

「校内のことなんだから 緊張する必要はないぞ。 ただ、三年生のブラバン先輩が 聞いてるってだけだから」 そう言って ニヤっと笑った。

わざと僕達を 変な緊張に誘っているようだ。

でもあいにくと 全員その手には乗らない。 外にいるときから お喋りをしていて みんなリラックスしていたみたいなのだ。

先生には悪いが みんな緊張なんてしていない。 先生の残念そうな顔を 想像しながら 僕は最前列なので 先生の誘いに乗っていない みんなの顔を見ようと 後ろを振り返り みんなを見渡した。 

するととんでもない ヤツ以外の同級生達四人の顔が 引きつっているのだ。

うわ! どうしよう。 何とかしなきゃと思う気持ちと 先生の思う壺に させたくなかったのとで どうにかしたかったが 大丈夫だよと 声をかけようにも なんか変にステージ経験を 自慢しているような気がして 何も言う事が出来なかった。

でも同級生フルートも 四人の異変に気付いたようで

「なに顔引きつらせてんの? 男でしょ、しっかりしなさいよ」 と言った。

相変わらず厳しい。 そして僕の方を見て

「陵也君」 同級生フルートが僕を呼んだ。

怒られるのかと思って

「はい」 とビビリながら返事をした。

「なんで私が呼んだだけで 怯えてんのよ、失礼ね! 全員準備OKだよね」

「だと思います」

「だから、怯えるんじゃないってば」 この会話をみんなが聞いていて クスクスと笑われた。

「先生OKです。 お願いします」 同級生フルートが 先生にそう言った。 先生が僕の横に来て

「お前あいつに怯えてんの? ふーん、そんなんで 上手くソロやれるかな~?」 小さな声で そう言いながら 舞台の中央に歩いて行った。

完全にプレッシャーをかけられた。 ダメだ潰れる。

「よし、じゃあ始めるぞ」 そう言って 進行役に合図を送り幕が上がった。





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