大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第18回

2011年02月14日 13時48分33秒 | 小説
僕と僕の母様 第18回



一番最初に驚いたのは 学校からの帰り一緒に電車に乗っていると 途中の駅から小さな女の子がお母さんに手を引かれて乗ってきて 僕たちの前の席に座った。

僕ならこんな時 かわいい子だな と、頭の中で考えてそれだけで終わるのに順平は

「ネエ、あの女の子かわいいと思わない?」 と、僕に同意を求めてくる。

そして僕が「うん、そうだね」 と返事をすると その返事を待っていたかのように 女の子に「かわいいね」 「何歳?」 「どこいくの」 等と、席に座りながら少し大きな声で 話しかけるのである。

オイオイ何を言い出すんだ と思いながらもその様子を 黙って見ていることにした。

すると この世の中これだけの色々な事件が流れているのだから 普通母親も警戒するだろうけれども うまい具合に僕も順平も すごく高校生らしくない 顔に身長、声と、三つも中学生並みなのだ。

正直に言うと 小学生でも充分に通るのだ。

身長なんかにおいては 小学校六年生のクラスに入って身長順に並ぶと 真ん中より後ろくらいには行けるかな? というくらいのものだ。

それに今は学ランを着ているから 何の不思議も無く男の子なのだろうが 僕も順平も普段着でいると それでもちゃんと TシャツにGパンであるにも関わらず 時々女の子と間違えられる時があるのだ。

自分で言うのも何なのだが 僕にしろ順平にしろ 他から見れば優しい系に見えるようである。

この雰囲気を持っているから 母親も警戒したり疑ってはかからないようなのである。

その女の子にしても 順平の優しく話す口調は まるで幼稚園の先生か、近所の優しいお姉さんにでも 話しかけられてるような気持ちになるのだろう。

最初はモジモジしていても すぐに返事をしてくる。 それどころか そのうちに母親のほうが
「お兄ちゃんたちはどこの学校?」 「今、帰り?」 等と会話をしてくる。

僕は黙っているけども 順平はきちんと『です、ます』 で感じのいい高校生になりきって返事をしている。

今会ったばかり イヤ、それ以上に通りすがりの相手ではないか それなのにまるで 何年かぶりに会った親戚の人とでも 話しているかのように 何のためらいもなく 喋っている。

本当にビックリした。

ただ 何といっても順平も憎たらしい盛りの高校生だ。

そのお母さんが かわいい女の子に比べて あまりきれいでなかったのと 少し横に幅があったのを 見逃してはいなかったようだ。

この頃順平は 自転車置き場を僕と同じ所に変えていたのだが 駅を降りてから自転車置き場に行くまでの間に

「さっきの女の子は可愛いかったけど お母さんはも一つだったね、それにあの女の子も将来はお母さんのように太るのかなあ、かわいそうに」 等と、憎まれ口を言うこともあった。 

実際僕もその事に関しては 順平に言われる前に感じていたのだが・・・僕も憎らしい盛りの高校生に 間違いないという事だ。  

他に順平はバイクに興味津々だ。 何度か学校の帰りに バイク専門店に付き合わされた。

そのときの僕は 原付も二輪も区別がつかなかったような状態だったので 順平がバイク屋の店員と話している内容は チンプンカンプンだった。

ただその辺をウロウロして 訳のわからない部品なんかを見ながら 時間を潰していた。

その間に順平は店員さんとは勿論、後から入ってきたお客さんとも バイクの話で盛り上がっている。

そしてそのお客さんの中の一人が 僕たちと同じ中学の卒業生だとわかるとすぐに 携帯のメールアドレスを聞いていた。 挙句に

「今度バイク仲間とツーリングに出かけるから 後ろに乗せてあげようか?」 と言われたらしく 速攻「はい」 の返事をしたそうだ。

その話を何とも嬉しそうに バイク屋の帰りに話していた。

僕はバイク屋の中で見ていたその光景を思い出しながら 目をキラキラ輝かせて話す順平を見て あまりの決断の早さ 家の人に聞く事もなく すぐにツーリングに行くと返事をした事に驚きながらも 誰とでも話せる順平を その時から羨ましく思いだした。

その日バイク屋であった事を 家に帰ってすぐに最初から最後まで事細かに母様に話した。



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