大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第149回

2011年08月16日 02時03分43秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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僕と僕の母様 第149回



結局様子が 分からないから 取りあえず 旅行のことは おいといて すぐに 病院へ行くことになった。

翌週の月曜日に 学校を休んで 大きな病院へ向かった。

この病院は以前にも 行った事がある病院だ。 診察内容によって 細かく曜日が決まっている。 母様が電話をして 聞いてみると 外来の手足の外科は 月曜日なのだそうだ。

そしてこの病院は そう簡単に 順番は廻ってこないから 朝早くに受付を済ませても お昼過ぎの 順番になってしまう。

朝8時、僕が先に 一人で電車に乗って 病院へ行き 受付を済ませ 母様が午前中の仕事を終えて 原付をブッ飛ばしで やってくるという予定だ。

受付を済ませて 何時間もを潰してから 診察室の前で 母様が来るのを 座って待っていた。 

母様から聞いていた 1時30分頃に病院に着く という時間を過ぎたのに なかなか母様が来ない。

そしてとうとう 僕の名前が呼ばれたが 母様はまだ来ない。

看護婦さんに 事情を説明して 最後に回して貰った。 何人かが呼ばれた後に また僕が呼ばれたのだが 母様はまだだ。 どうしようと思っているところに やっと母様がやって来た。

「ゴメン、道が凄く混んでた」 息を上げて走ってきた。

「そんなこといいから 早く、今呼ばれたから」 そう言ってすぐに 診察室に入った。

診断結果は 靱帯が切れているか 伸びきって 使い物にならないかの どちらかだと言う。

一度開いてみてからでないと そこの所は 良く分からないが 不便がないなら このままで良いんじゃないかと 医者は言うのだが とんでもない 不便の固まりだ。

もし手術をするならと 手術の話も聞いて 取りあえず その日は帰って 家で話し合ってくれ とのことだった。 そして その家での話し合いの結果を 報告するに当たり 次回の予約をして帰るようにと言われた。 

看護婦さんが 医者の予定表を見ながら 

「外来扱いに しないようにと 先生が仰っていたので 月曜日以外でも 大丈夫ですよ」 と言って 直近で空いている 3日後の予約を 取ってくれた。

家に帰り 夕飯を食べながら 母様と話した。

「お母さんも 右手の親指の靱帯が ダメになっちゃてるし その痛みのすごさは 分かるけど だんだん痛みは なくなってくるし 慣れてもくるわよ。 それに 骨もある程度固まってくるのか 分からないけど 必要以上に グニャって ならなくもなるわよ」 母様は原付で転けて その時にブレーキにかけていた親指が 変な風に曲がったらしいのだ。

一ヶ月経っても 痛みは引かないし 腫れも酷くなる一方だったらしく その時にようやく 病院へ行ったそうなのだが 医者からは 僕と全く同じ事を 言われたらしい。 僕のように 骨が外れるような事は 無かったらしいのだが 物を持とうにも 全然力が入らなく 指が変な方へ 曲がろうとする。 勿論、痛みもある。 その不便さや 痛みを我慢して 仕事をしていたらしいのだが 商品の品出しでは 持つに持てなく かなり不便だったらしい。 そして母様は 不便だけれど 手術を選ばなかったらしいのだ。

この痛みを よく一ヶ月も 我慢していたものだ。 僕には無理だ。

「どうするかは 陵也の身体なんだから 陵也が決めるといいわ」 そう言われても・・・。

この痛みを 何ヶ月も耐えたくないし もしかして一生かもしれないし 手術もイヤだし・・・それに 医者の言う手術っていうのが 二つの方法があって

一つは 普通は手首に 靱帯があるらしいのだが 僕にはその靱帯が 無いらしい。 時々そういう人が いるらしい。 そういう人は 足首から靱帯を切り取って それを使い物にならなくなった 指の靭帯として 付けるのだという。
ただ、それが上手くいかない時があるらしく そうなれば 生活上不便にはなるが もう一度手術をして 釘のようなもので 完全に指が外れないように 骨を固めてしまおうと言うのだ。 

早い話、関節を動かなく 固定するのだから 伸ばすことも 曲げることも 出来なくなるのだそうだ。 だがこれで 関節が外れることは 無いということだ。

一度手術して それでダメだったら もう一度手術なんて 簡単に言ってくれるが こっちとしては 大変なことだ。

もう一つが 切れている靭帯なら 駄目だけれど 伸びきっている靱帯なら それを短くするらしい。 しかし それもやってみないと 具合が分からないらしい。

それだったら 一度の手術で終わりたい。 僕の頭の中で 一足飛びに 骨を固める手術を選択した。

そして予約しておいた日に 最初に行った時のように 僕は電車で病院へ行き 母様は仕事を終えて 原付で病院へ来た。 今回は遅い時間の 予約をしておいたから そんなに急ぐ必要は無い。 

母様が 待合にやって来た。 間もなく僕の名前が呼ばれた。

診察室に入り 医者が 家での話し合いの結果は どうかと尋ねると 母様が 骨を固める手術を 希望すると言った。 

だが医者は すぐには 受け入れなかった。 固定してしまえば 全く関節が動かなくなる。 あとで後悔しても 元には戻らないのだから 一度開いてみてからに してみないか と言うのだ。

何度も手術をしたくない。 その気持ちにブレは無い。 僕は言い切った。 母様も「息子の身体ですから 息子が決めたことで 進めて頂きたい」 と後押しをしてくれた。

医者も 家で話し合った結果だけに 言い切る僕を 説き伏せることは 出来ないのであろう 仕方が無いといった感じで 学校を休むことのないよう 配慮してくれて 卒業式を終えてから 手術をしよう ということになった。

その間は この激痛と 不便の固まりに 付き合わなくては いけないのだ。

そして ギブスを三ヶ月は 付けていないと いけないらしい。 前回はそんな事 聞かなかったぞ。

診察が終わって 会計の待合で 待っている時に「ごめん 三ヵ月もギブスを 付けなきゃなんないなんて 行けないね。 旅行お流れだね」 悪いな。

「仕方ないじゃないの。 それより あっちの大学落ちてて正解ね。 こんなんじゃあ、ピアノどころじゃないもんね」 あっさりと言ってのけてくれた。




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