大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第72回

2011年04月27日 13時33分07秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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僕と僕の母様 第72回



家に帰るとすぐに 母様に 申込書は出したのかと 聞かれて 「出した」 と答えたが 夕飯を食べ始めた時 僕の前に座った母様に

「今日先生に 申込書を渡した時 参考書は持ってるのか って聞かれて 持ってないって言ったのね そしたら もう少ししたら 他のコースクラスが まとめて参考書を買うから その時に一緒に申し込める って言ってたんだけど 申し込んでいい?」 自分で買うより 学校で申し込む方が 何となく安心だ。

「じゃあ、それはそれで 申し込んでおいて それまでの勉強は 教科書でやっとく?」

「教科書って?」 そんな物持っていない。

「教科書って 教科書でしょ。 授業で使ってるでしょ」

「危険物の授業なんて無いよ」 ご飯を口に入れて モゴモゴさせながら答えた。

「えっ? 工業科でしょ、何で危険物の 授業がないのよ」

「工業科でも電子だから そんなの習わないよ。 多分機械とか 自動車のコースが 習うんじゃない?」

「えー、授業がないなんて どうすんのよ。 何も分かるわけ無いじゃない」

「だから 僕には関係ない って言ったじゃない」 今日はお茄子のお味噌汁だ。 僕の好物の一つである。

「今頃言っても遅いわよ」 最初に言ったよ。

「ちゃんと言ったのに」 お味噌汁に免じて許そう。

「その学校からの参考書とかは 何時手元にくるわけ?」 話をすり替えた。

「分かんない。 そこまで聞いてない」 そう返事をすると 早速夕飯の後 本屋に参考書と 問題集を見に行かされた。 

家の近くの本屋を 車でいくつか廻ったけれど どこもまともにはなかった。

「仕方ないわね。 特殊な本だから その辺の本屋さんにはないのね。 週末 電車で大きな本屋さんに行きましょ。 予定はないでしょ?」

予定があっても 無視されるだろうな 殆ど強制である。

そしてその週末 僕と母様は電車に乗って 母様の言う 大きな本屋さんに行った。

始めて来たが 本当に大きい うかつに歩いていると 完全に迷子になってしまう。

広い本屋の中を歩いたが どこに何があるか分からない。 店員さんに聞き やっと危険物のコーナーを見つけた。

家の近くの本屋と違い 沢山ありすぎてどれを見ても 僕自身何の知識もないから 何を買っていいのか 分からない。

「どれを買っていいのか 分からない」 それにみんな値段が高い。

「陵也が読みやすいと 思ったもので いいんじゃない?」 こんなに多くちゃ 何がなんだか 分からない。 悩んだ末

「うん。 じゃあ、参考書がダブるのは もったいないから 参考書は学校の物で それまでは この問題集にしとこうかな」 小さなポケットサイズくらいの物で 値段もそんなに高くない。

「問題集を解く前に 参考書で勉強しなくちゃ 分からないでしょ?」 色んな本を手に取りながら 母様が言った。

「これ見て 問題ばっかりじゃなくて 色々参考書みたいにも 書いてあるでしょ」 その小さなポケットサイズの本を パラパラとめくり 母様に見せた。

「あら、本当ね。 じゃあそれにしておく? でもあんまりにも 小さくない? もう一つ買えば?」

「いいよ これだけで。 学校の参考書があるんだから」

「う・・・ん、これもおまけに買おう」 どれでもいいから という感じで 手に取った本を見せた。

「なんでよ これでいいって」 その本は分厚すぎる。 いくらすると思ってんだ。

「何か小さすぎると 不安じゃない」 こんな時に大きさで勝負して どうするんだよ。

「これ一つで充分。 ほらレジに行こう」 そう言って母様を 引っ張って行った。

その日帰って 早速問題集を見てみたが やっぱり危険物は危険だ。





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