大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第80回

2011年05月10日 13時55分44秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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僕と僕の母様 第80回



その日の部活も いつも通り3階の渡り廊下で 基礎から練習していった。

中庭に見える 同級生達も 頑張って吹いているようだ。

トランペット二人に、トロンボーン二人 そしてヤツはユーフォだ。

僕は今まで コンクールのことで 頭が一杯だったのと 同級生達の 色んな事を知らなかったのとで 誰が何を吹いているのかさえ 気にならなかった。 でもこうやって 今回いきさつを聞くと そう言えば ヤツだけ一人違う楽器だし みんなと離れて吹いている。 

遠目にそんな様子を見ていると

「先輩、一緒に練習してもらえませんか?」 一年サックスが 声をかけてきた。

ああ そうだった。 コンクールとは違って 今回は僕一人で サックスを担当するんじゃないんだ。

「うん、いいよ」

「昨日、サックスを持って帰って 少し練習してきたんです。 少ししか 吹けませんけど 聞いてもらえます?」

「えっ、もう練習してきたの?」 遅れをとってしまった。

「少しだけです。」 本当に真面目なお子さまだ。 ほんの少しだけだったが 吹いて聞かせてくれた。

「どうですか?」

「ここのところは もう少し音出した方が いいんじゃないかな・・・と言っても 僕はまだ何にも 練習してないから なんとも言えないけど」 そんないい加減な 返事をしていた。 ああ 不真面目な僕。

その後も 一年サックスは 僕の横を離れなかった。 相当不安だったんだろう。

しかし 僕もそんなことを 言っている余裕はない。 早く仕上げていかなくては 僕の方が 不安の固まりになってしまう。

その上 バタフリーのこともあるから しょっちゅうキョロキョロしてしまう。 集中が出来ない。

その日は バタフリーの襲撃もなく 無事に家に帰ったのだが いつバタフリーが 来るかと思うと 慌てて帰りの用意を してしまったので 譜面を部室に忘れてきていた。



昨日はバタフリーのことがあって 母様に三年生を送る会のことを 話せなかったので 家に帰ってすぐに話した。

帰って家に入るなり いつものように 制服を着替えながら 晩ご飯の支度をしている 母様に話しかけた。

「今度三年生を送る会 みたいなのがあって その時に「世界に一つだけの花」 をブラバンでやるんだ」

「スマップの?」

「うん。 部室に譜面を 忘れてきちゃったんだけどね」 そう返事をすると すかさずキッチンから ピアノの方に向かって行き 譜面を探し出したようだ。

「何してるの?」 Gパンを履きながら 聞いてみた。

「うん・・・確か譜面があったはず」

「うん あった、あった。 僕もピアノで弾いてみたもん。 ピアノソロじゃなかった?」

「ピアノソロと弾き語りと 両方ともダウンロードしたはずなのよ」 最近母様は お気に入りの曲の譜面は 大抵パソコンでダウンロードしている。

その方が安くつくらしいし、弾きたい曲が 載っている曲集を買っても 知らない曲や 興味の無い曲が 大半を占めていて ましてやそのおかげで 譜面が分厚いから 場所も取るらしく ピースを買うか パソコンに頼っているらしいのだ。

「あ、あった。 ちゃんとファイルしてた。 偉い偉い」 整理整頓が出来ている自分を 褒めているらしい。





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