『みち』 目次
『みち』 第1回から第140回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。
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『みち』 ~道~ 第146回
年末 会社の大掃除。
何とか仕事を切りよくつかせ年末を迎える事ができた。
「さぁー 大掃除、大掃除。 今年はどこをどうやろうか」 社長がみんなに声をかけると
「奥の事務所はもうしなくていいですよね?」 一人が言うと
「そうだな。 引越しのときに充分きれいにしてそれから使ってないからな。 もうこっちだけでいいか。 じゃ、こっちだけをサッと済ませようか」 朝から大掃除が始まった。
雑巾掛けをしながら様子を見ていると誰も窓を拭く様子がない。
「窓、かなり汚れてるわよね」 奥の事務所から脚立を持ってきて窓を拭こうと脚立に上がりかけると
「あ! 織倉さん何するの。 そこは危ないから。 3階から落ちたなんてシャレにならないよ。 蛍光灯を降ろしていくからそれを拭いて下さい」 社長にそう言われ次々と天井から降ろされてきた蛍光灯を雑巾で拭き始めた。 それが終わると日頃拭かないような場所の雑巾掛けをし始めた。
そして12時に近くなりそろそろ掃除をするところがなくなってきた。
「社長、もういいんじゃないですか? 下も終わったみたいですよ」
「そうか、じゃあ、全員下に集合」 全員で1階に降り社長の締めくくりの挨拶だ。
「昨年に続いて今年も酷かった。 まぁ、そんなことを言ったら昨年今年に関わらずだけどな。 と言う事で忘年会もありません。 この一年ご苦労様でした。 ってことで解散」 なんとも軽い挨拶だった。
今年は仕事が無いにも関わらず年末ギリギリまでの出勤だったので部屋の大掃除をする間がない。 このまま実家に帰るしかないのだ。
マンションに帰ると買って帰ったおにぎりをサッと食べてすぐに実家へ帰る用意を始めた。
「さ、これで準備は良しっと・・・何時に出発しようかな」 ゆっくりとお茶を飲んでいると電話が鳴った。
「もしもし」
「琴音か?」
「あ、お父さん どうしたの?」
「いや、特に何っていう事はないんだけどな何時にそっちを出るんだ?」
「どうしようかと思って、あまり早く出ても高速が混んでるだろうし」
「そうか、でもさっき天気予報を見てたら今晩は相当冷えるみたいだから道路が危ないぞ。 早目に出たらどうだ?」
「そうなの? それなら早く出るわ」
「じゃあ、気を付けて来るんだぞ」
「うん。 待っててね」 電話を切った。
「さて、どうしようかな・・・混んでてもいいか・・・急ぐわけじゃないものね」 残っていたお茶を飲んで家を出た。
実家では台所からお盆にお茶を乗せてやってきた母親が父親に話しかけている。
「お父さん今電話してた?」
「ああ、琴音に電話したよ」
「琴ちゃんに?」 お盆を机に置き座った。
「夜は冷えるみたいだから早目に出たらどうだって言ったんだよ」
「どうしてこっそり電話するんですか!」 父親の前に湯呑みをドンと置いた。
「別にこっそりじゃないだろう」
「私に一言 言ってからでもいいじゃないですか!」
「何をそんなに怒らなくちゃならないんだよ」 父親がお茶を冷ましながら軽く一口飲むと
「琴ちゃんだって向こうで色々都合があるんだから早く来いだなんて可哀想な事言わなくてもいいじゃないですか」
「冷え込んだら道路が危ないだろ。 車で来るんだから琴音の身体の方が心配だろ」
「もし今日、彼氏とデートだったらどうするんですか!」 自分の湯呑みを両手で包む。。
「いつまでも何を言ってるんだ。 琴音は結婚しないって言ってるだろ。 彼氏もいないよ」
「縁なんていつ何処にあるか分からないんですからね! 熱っ!」 熱いお茶を口に入れてしまった。
そんな話をされているとも知らず琴音は渋滞の中、車を運転していた。
「ああ、やっぱり混んでるー」 車の流れが完全にストップした。。
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『みち』 ~道~ 第146回
年末 会社の大掃除。
何とか仕事を切りよくつかせ年末を迎える事ができた。
「さぁー 大掃除、大掃除。 今年はどこをどうやろうか」 社長がみんなに声をかけると
「奥の事務所はもうしなくていいですよね?」 一人が言うと
「そうだな。 引越しのときに充分きれいにしてそれから使ってないからな。 もうこっちだけでいいか。 じゃ、こっちだけをサッと済ませようか」 朝から大掃除が始まった。
雑巾掛けをしながら様子を見ていると誰も窓を拭く様子がない。
「窓、かなり汚れてるわよね」 奥の事務所から脚立を持ってきて窓を拭こうと脚立に上がりかけると
「あ! 織倉さん何するの。 そこは危ないから。 3階から落ちたなんてシャレにならないよ。 蛍光灯を降ろしていくからそれを拭いて下さい」 社長にそう言われ次々と天井から降ろされてきた蛍光灯を雑巾で拭き始めた。 それが終わると日頃拭かないような場所の雑巾掛けをし始めた。
そして12時に近くなりそろそろ掃除をするところがなくなってきた。
「社長、もういいんじゃないですか? 下も終わったみたいですよ」
「そうか、じゃあ、全員下に集合」 全員で1階に降り社長の締めくくりの挨拶だ。
「昨年に続いて今年も酷かった。 まぁ、そんなことを言ったら昨年今年に関わらずだけどな。 と言う事で忘年会もありません。 この一年ご苦労様でした。 ってことで解散」 なんとも軽い挨拶だった。
今年は仕事が無いにも関わらず年末ギリギリまでの出勤だったので部屋の大掃除をする間がない。 このまま実家に帰るしかないのだ。
マンションに帰ると買って帰ったおにぎりをサッと食べてすぐに実家へ帰る用意を始めた。
「さ、これで準備は良しっと・・・何時に出発しようかな」 ゆっくりとお茶を飲んでいると電話が鳴った。
「もしもし」
「琴音か?」
「あ、お父さん どうしたの?」
「いや、特に何っていう事はないんだけどな何時にそっちを出るんだ?」
「どうしようかと思って、あまり早く出ても高速が混んでるだろうし」
「そうか、でもさっき天気予報を見てたら今晩は相当冷えるみたいだから道路が危ないぞ。 早目に出たらどうだ?」
「そうなの? それなら早く出るわ」
「じゃあ、気を付けて来るんだぞ」
「うん。 待っててね」 電話を切った。
「さて、どうしようかな・・・混んでてもいいか・・・急ぐわけじゃないものね」 残っていたお茶を飲んで家を出た。
実家では台所からお盆にお茶を乗せてやってきた母親が父親に話しかけている。
「お父さん今電話してた?」
「ああ、琴音に電話したよ」
「琴ちゃんに?」 お盆を机に置き座った。
「夜は冷えるみたいだから早目に出たらどうだって言ったんだよ」
「どうしてこっそり電話するんですか!」 父親の前に湯呑みをドンと置いた。
「別にこっそりじゃないだろう」
「私に一言 言ってからでもいいじゃないですか!」
「何をそんなに怒らなくちゃならないんだよ」 父親がお茶を冷ましながら軽く一口飲むと
「琴ちゃんだって向こうで色々都合があるんだから早く来いだなんて可哀想な事言わなくてもいいじゃないですか」
「冷え込んだら道路が危ないだろ。 車で来るんだから琴音の身体の方が心配だろ」
「もし今日、彼氏とデートだったらどうするんですか!」 自分の湯呑みを両手で包む。。
「いつまでも何を言ってるんだ。 琴音は結婚しないって言ってるだろ。 彼氏もいないよ」
「縁なんていつ何処にあるか分からないんですからね! 熱っ!」 熱いお茶を口に入れてしまった。
そんな話をされているとも知らず琴音は渋滞の中、車を運転していた。
「ああ、やっぱり混んでるー」 車の流れが完全にストップした。。