大福 りす の 隠れ家

小説を書いたり 気になったことなど を書いています。
お暇な時にお寄りください。

僕と僕の母様 第22回

2011年02月18日 13時37分15秒 | 小説
僕と僕の母様 第22回



すると今度はさっきと違って 楽器を吹いていた全員が手を止め 僕たち二人をじっと見た。

そして今度は そこの中心に座ってサックスを吹いていた 男子生徒をみんなで見だした。

何? 何があったの? テンションが上がりすぎて僕、変な事を言ったかな? そう考えていると 部員の一人が「部長」 と言って そのサックスを吹いていた人に向かって 声をかけた。

ああ、あのサックスを吹いている人が 部長なのかと思っていたら その部長さんがこっちに向かって歩いて来る。

見学してはいけないのかな? 調子に乗りすぎた、怒られたらどうしよう と思った瞬間に

「ようこそブラバンへ、入部の希望だね、そっちの子はどうなのかな? 入部希望? 付き添い?」 ヘッ? 何の事? 僕は見学と言ったはずだ。 

「いえ、あの」 と言った僕の言葉にかぶるように順平が

「僕は違います。」 と言い出した。

「僕は」 じゃなくて「二人とも」 だろう。

何でもいい、僕もきちんと言わなくちゃあ「あの」 まで言うと今度は部長さんが 僕の言葉にかぶさって

「じゃあ、君だけだね。 経験はあるの?」 と、聞き出した。
 
つい「いいえ」 と答えてしまった。 イヤ、そういう話ではないです。 早く言わなくちゃ、でも僕の言葉を挟むスキがない。 テンションは下がっていく一方だ。

「みんなはブラバンって言ってるけど 正しくは吹奏楽部なんだ。 一応覚えといて」「どんな楽器がやりたい?」「あ、入部届けは後でいいから」 次から次へと喋ってくる。

順平のほうを見ると

「僕、今日はもう帰る」 下を向いてそう言い まだ暗いオーラを放ちながら 僕の手をほどいて帰って行った。

見放された。 さっきは心の中に秋風が吹いたけど 今度は吹雪が吹いたようだ。 どうすればいいの。 

「取りあえず教室の中に入って」 と今度は部長さんが 教室の中へ僕の腕を引っ張って行った。

すると部長さんが大きな声で ほかの部員に向かって

「はーい 待ちに待った二人目の一年生です。 これで来年度も何とかブラバンは 生き残れそうです。 君、名前は? あ、イヤ自分で 自己紹介をお願いしようか、ハイみんな拍手」

と言い出した。

ほんの数人しかいない部員で パチパチと僕のほうに手を向けて「おー」 とか「わー」 の声と共に歓迎の拍手をしだした。

何で勝手に盛り上がってるの? そう思いながらも聞かれたもんだから ついウッカリ自分の名前を言ってしまった。



最後まで読んで頂き 有難うございました。

参加しています。応援クリックをお願い致します。

にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ
にほんブログ村

有難う御座いました。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 僕と僕の母様 第21回 | トップ | ハイジさん »
最新の画像もっと見る

小説」カテゴリの最新記事