大福 りす の 隠れ家

小説を書いたり 気になったことなど を書いています。
お暇な時にお寄りください。

僕と僕の母様 第138回

2011年07月29日 13時35分31秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
第21回第22回第23回第24回第25回第26回第27回第28回第29回第30回
第31回第32回第33回第34回第35回第36回第37回第38回第39回第40回
第41回第42回第43回第44回第45回第46回第47回第48回第49回第50回
第51回第52回第53回第54回第55回第56回第57回第58回第59回第60回
第61回第62回第63回第64回第65回第66回第67回第68回第69回第70回
第71回第72回第73回第74回第75回第76回第77回第78回第79回第80回
第81回第82回第83回第84回第85回第86回第87回第88回第89回第90回
第91回第92回第93回第94回第95回第96回第97回第98回第99回第100回
第101回第102回第103回第104回第105回第106回第107回第108回第109回第110回
第111回第112回第113回第114回第115回第116回第117回第118回第119回第120回
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第131回第132回第133回第134回第135回

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僕と僕の母様 第138回



「一応ピアノは 高校になるまで 習っていたので 何とかなるかなといった 感じなんです」 またまた母様だ。

「そうですか 僕も例年殆どが 3年生を受け持ってたんですが この三年間だけが 全く受け持ってないと 言った状況なんです。 でも音楽関係というのは 僕も始めてで・・・何をするんですか?」 

そう言えば 僕等を担任する前は どの学年も受け持ってなかった と聞いていたし 僕らを1、2年と 担任を受け持っているから それで三年間3年生を 受け持っていない といことか。 例年他の先生が 1、2年を受け持っていても 3年でこの先生が 担任になると言った話も 聞いたことがある。 3年生の担任に 適任なのか? でも一つ気になる 僕らを受け持つ前に どうして何処の担任も 受け持たなかったんだろう。 干されてたのかぁ? ・・・そんなことは無いか。 

「音楽制作の方を 今見ているんですが」 第一声は 僕のほうを見て 話していた先生だが もう僕の方を見ない 完全に先生と母様の世界だ。

「ほおー、それはいったい どんなことを するんですか?」 身を乗り出した。 ああ、二人とも完全に僕を無視だ。

「一応、ミキシング作業とかを やってみたいと 思っているのですが・・・」 そうそう。

「ミキシング? それは何ですか?」 そりゃ、知らないだろ。

「あの、なんて言ったら いいのかな ミキサーって分かりません?」 手を動かして 説明しようとする母様・・それは無理だろう。

「ああ、ミキサーですか。 アレは大変だな。 でもやり甲斐はあるな」 ウソでしょ、何で分かるの? 勘違いしてない? ミキサーカーじゃないよ。

「色々お家の方で 調べて下さっているんですか? 僕は全然分からないから 今日具体的に 僕の意見が話せないな」 この先生にも 知らない大学のことが あるんだ・・・いつも偉そうに 言ってるのに。 何か勝った気分だ。 続けて先生が

「具体的に 何処の大学とか、どんな入試方法なのかって言うのは 調べてますか?」 そんなこんなで 母様と先生の会話が続いた。

そして今度は あの隣の市の大学のことに 話が移った。

「え? そんなところに 大学なんてありましたか? それにその学校名は 女子大じゃなかったですか?」 資料を探し出した。

「私も女子大の頃は 知っているのですが どうも二年前に 共学になったみたいで その時をきっかけに 新しくこの学部が出来て この学部だけの 新キャンパスとして ここに建ったみたいなんです」 よく調べたね、褒めてあげよう。

「そうなんですか、新設学部か・・・それは狙い目ですよ。 そこはその気があるんなら 受けといた方がいいな」 先生ご推薦だ。

そして最後に先生が
「ではその方向で 固めていきましょうか、それでいいか?」 僕に聞いてきた 僕の存在を 覚えていたようだ。

「はい」 三者懇談で 最初で最後の僕の言葉だった。

すると先生が 母様にこう言った。

「いや、勉強になりました。 三年離れてただけで かなり大学の方も 変わってきているので 僕も大変だったんです。 ありがとうございました。」 どういたしまして。





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僕と僕の母様 第137回

2011年07月28日 13時27分16秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
第21回第22回第23回第24回第25回第26回第27回第28回第29回第30回
第31回第32回第33回第34回第35回第36回第37回第38回第39回第40回
第41回第42回第43回第44回第45回第46回第47回第48回第49回第50回
第51回第52回第53回第54回第55回第56回第57回第58回第59回第60回
第61回第62回第63回第64回第65回第66回第67回第68回第69回第70回
第71回第72回第73回第74回第75回第76回第77回第78回第79回第80回
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僕と僕の母様 第137回


母様はそれから そこの大学をネットで調べて 僕に報告をしてきた。 

どうも 音楽関係と言うよりかは 映像関係のようだ。 美術の腕が 必要みたいなのだが 美術は嫌いな方ではない。 それに ほんのちょっとの カリキュラムと言っても 音響ということに 興味がある。 どんなことをするかは 分からないが やってみたいという気持ちだ。

その上で 母様ご推薦の 音楽関係の大学を 本命にして ここの大学を 滑り止めにしよう ということに 決まったのだ。



後一週間で 夏休みというときに 三者懇談があった。

一年の時に 一度車で来てからは「もう二度と この学校には車で行きません」 と言っていた母様は 電車でちんたらとやって来て 教室の前で待つ 僕の前に現れた。

いつもの如く 懇談時間より大分前に 待ち合わせを していたので 僕の前の奴と その前の奴は まだ来ていない。

その時には 僕の順番の3人前が 懇談をしていたのだが 時間が予定より 随分とオーバーしていて 待ち時間が長い。

僕はあまり 母様と並んで 座っている姿を 人に見られたくないものだから

「ちょと向こうで 友達と話してくる」 と言ってその場を立った。

20分位経っただろうか もう良いだろうと 教室に戻ってくると さっきの奴は終わっていて 次の奴は 来なかったらしいので その次の クラスで一番成績のいい奴の 懇談に入っていた。

それにしても 話が丸聞こえだ。 母様も

「さっきから 話し丸聞こえなんだけど・・・先生声が大きすぎる。 でもこの子偉いわよ、お母さんの声 一言も聞こえないの 先生の受け答えを 全部自分で してるみたいなの」 感心している。

「そりゃ、こいつは クラスで一番の秀才だもん」 でもどうも 会話の風向きが 怪しいようだ。

奴の行きたいとしている大学に 先生が猛反対しているのだ。



「お前何を言ってるんだ お前は数3を 習ってないんだぞ。 ここの大学の入試には 数3が必要となるのに 受かるわけないだろうが。 お前の成績なら 他の大学でも 充分行けるんだから 他を探せ」 怒鳴っている 先生の声だ。

「分かってます。 でも一年の時から ここの大学に行きたくて 自分なりにちゃんと 数3の勉強はしてきました」 奴のこんなに大きな声は 初めて聞いた。

「自分なりって、そんなことで 合格できると思ってるのか。 塾へ行くなり なんなりして 勉強しているのならともかく お前が勉強しただけで 行けるような そんな簡単なものじゃないんだぞ」 奴の勉強姿は 休み時間にも良く見ていた。

「一日六時間は 勉強してきたんです」 そんな感じで 終わることのない会話が 続いていた。

何十分待っただろう、ようやく話が終わったようで 奴と奴のお母さんが出てきた。

見ると 奴のお母さんは 母様より年上の感じだったし どこかの優しい おばさんといった感じで あんな話の後なのに ニコニコしている。 母様と奴のお母さんが 軽く会釈をしていたが 奴は半分泣きかけになっていた。



僕の順番だ。 先生の前に 母様と二人座った。

「えっと、お前は確か進学だったな。 具体的に 何か決まってるのか?」 まださっきの奴との バトルの熱が 冷めない感じで 書類をめくりながら そう聞いてきた。

「音楽関係に 行こうかと 話してるんですが」 母様が割って入った。

「音楽ですか? 何かやっていたとか そう言うことですか?」 書類をめくる手が止まり 熱も急冷といった感じで そう聞いてきた。





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僕と僕の母様 第136回

2011年07月27日 14時48分24秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
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僕と僕の母様 第136回



帰りの電車の中では 母様の前に座っていた 見た目ミュージシャンの 男の人の話で 盛り上がった。

「受けた回数が 多い方が有利なんですか? とかって聞いてたね」 さっきの光景を 思い出しながら言った。

「うん、二回も受けて ダメだったみたいね。 それで今度三回目の チャレンジみたいじゃない すごい決心だわね。 そうまでしても あの大学に 入りたいわけよね。 陵也もそこまで思えてる?」 見た目ミュージシャンの話が こっちに振られてきた。

「そこまではどうかな。 でもあんな感じじゃあ 僕、無理なんじゃないかな」 2回も受けてる人が 居るなんて 僕は無理だよな。

「さっきの男の人とは 学科が違うから また違うわよ。 あの人の 受けようとしてる所は 陵也が受ける学科より 倍率が高いしね 陵也の受ける方は 倍率としては あの学部では低い方だから 分からないわよ」 学科とか学部とか 意味分かんないんですけど。

そんな事を話しながら 家に向かって 電車は走っていた。

家に帰ってから 持って帰ってきた パンフレット数冊を母様が見て 貰って帰った赤本を 僕が見ていたのだが 到底受かりそうもない 内容だ。

「これは無理だよ。 何がなんだか分からない」 ページを パラパラしながら言った。

「見せて」 そう言って 母様が赤本を見たのだが

「陵也の受ける学科は ここのページよ。 他の所は関係のない学科だから 難しくても関係がないわよ」 そう言って 赤本を開けて こっちに差し出した。

見てみると さっき見たものとは 全然違う内容だった。

「ああ、こういう試験なんだ」 これなら僕でもOKだ。

「そう、ちゃんと勉強をしなくても 良いところを選んだでしょ」 母様偉い。

「でももし合格したら もう一度ピアノを始めなくちゃあ いけないわね」 僕を見ながら そう言ったのだが

「え、そうなの? もう無理だよ 指なんて動かないよ」 『猫踏んじゃった』 すら怪しい。

「何言ってんの さっきも説明受けたでしょ。 最低でも ソナチネの二、三十番くらいは 出来てるようにって」 母様が質問して それに答えて 言ってたな。

「言ってたのは聞いたけど」 遠くの話だった。 我が身とは考えなかった。

「でしょ、でもあくまでも 合格したらの話だけどね」 そう言いながら母様は パンフレットを またパラパラと見だしたのだが

「あれ? ここの大学の カリキュラムの中に 音響ってあるわよ」 例の隣の市の大学だ。

「え、何処?」 ほんの少しの カリキュラムのようだが 確かに音響って書いてある。

「音響ってどんなことを するんだろう」

「多分色んな音を 作るんじゃない?」

「へーそんな授業があるんだ」

「一応ここもネットで見てみようか? 興味ある?」

「うん、何か今まで 音を作るなんて 考えたことなかったしな どんな感じなんだろうかな」

「そうね、お母さんも 考えてもいなかったけど・・・一応候補にあげておこうか」 僕は頷いた。






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僕と僕の母様 第135回

2011年07月26日 14時12分53秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
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僕と僕の母様 第135回



母様が質問している先生は この3人の中では 一番若そうで 通称赤本と大学のパンフレット、説明のプリントを持って 座っていた。

母様が込み入った質問をすると その若い先生は 隣の髭面のお爺さん先生に ちょこちょこと聞いていた。

その髭面のお爺さんが 僕に気付いたようで 若い男の人に 指先で僕を見ろ という合図をしたようだ。 

一番端だったので 僕は母様の横に 立っていたのだが さっきの若い男の人は この大学の 多分使い走りの先生なのだろう 僕に椅子を持ってきてくれた。

「あ、すいません」 と言いながら 僕も椅子に座って 母様の質問を 聞いていた。

「音楽の経験なんかは 具体的にどれくらい 必要なのでしょうか?」 「入試の内容は?」 等々、イヤがってた割には 結構幾つか質問している。

問答のやりとりが 幾つかあって そして 母様にとって重要なことを 聞き出した。

「あの、失礼かとは思うのですが こういう風なことを 教えていらっしゃる大学は 他にどこかあるのでしょうか?」 え? 直球? うん、失礼だと思うよ。

「あー・・・そんなに無いですよ。 本州では 後、遠方に1校か2校くらいですし 九州にも1、2校くらいだったでしょか」 へぇ、少ないんだ。

「そうですか 家から通える所を 探していたんですけれど 探しても無いはずですね」 僕は遠方の学校でもいい。 良いどころか 一人住まいが したいんだけど。

「今度夏休みの間にですが オープンキャンパスが ありますので 来てみて下さい。 これパンフレットです。 それと・・・」 といいながら 後ろに置いてあった 段ボールの箱を ゴソゴソと捜し始めた。

「あ、あった。 これもどうぞ」 と言って 通称赤本を差し出した。

「え、いいんですか? いくら本屋を探しても なかったものですから どうしようと思っていたんです」 うん、このホテルにつく前にも 危険物の本を見に行った 大きい本屋さんに寄って探したけど 無かったよね。

「それは良かった。 あまり出していないので 皆さん持ってらっしゃらないと 思いますよ。 今日3冊ほど持ってきてたんです。 最後の1冊なんです」

「そんなものを 貰っても 良いんでしょうか?」 喉から手が出るくらい 欲しいくせに 一応遠慮してみせてるようだ。

「どうぞ、どうぞ ねぇ、先生良いですよね」 隣の髭面のお爺さん先生に 話しかけた。

「どうぞ、去年のものは 今は要りませんから いいですよ」 ニコッと笑って そう返事をした。

「それじゃあ、頂いて帰ります。 有難うございました」 そう言って 母様が席を立ったので 僕も一言「有難うございました」 と小さな声で言って 席を立った。

僕の立った後 使い走りらしき先生が 僕の座っていた椅子を 片付けにやってきた。

それを見た母様が

「あ、すいませんでした。 有難うございます」 と言っていた。

二人でその部屋を出て もう一度 今日来ている全大学の パンフレットが 長い机の上に ズラッと並んでいる所に行き 端から見ていった。 すると

「あれ? ここの大学 さっき隣の部屋ですよ って教えてくれた大学よね」 僕は母様の見ている所を 覗き込んだ。

「ああ、確かそんな名前の 大学だったよね」 パンフレットを 手に取ってみてみた。

「ここ、住所見てみて」 そう言って 僕の持っているパンフレットに 書かれてある 住所を指さした。

「え、ここって あそこ?」 僕の家の隣の市なのだ。 隣と言っても お互いが その市の境目にあるために 自転車で3、40分くらいの所なのだ。

「そうよね、あそこよね。 あそこの辺り 昔良く通ったけど 大学なんて 無かったけどなぁ」 母様は何年か前 いや、20年程前になるらしいが 会社勤めをしている時に そこの近くを通って 毎日出勤していたようなのだ。

「これも一応持って帰ろうか?」 僕がそう言うと

「うん、タダだもんね」 え? タダだからなの?

それから 気になる大学のパンフレットを 幾つか手に取って ホテルを出た。





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僕と僕の母様 第134回

2011年07月25日 13時45分44秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
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僕と僕の母様 第134回



「何処の大学を お探しですか?」 ブティックの店員のような 感じではなく どちらかと言うと 店内を教えてくれる 案内係りのように 話しかけて来た。

「あ、何処ということは まだないんですけど・・・あの、こちらの大学は 音楽関係を 教えていらっしゃるんですか?」 突然話しかけられたのに 慌てることなく 人見知りの母様が答えた。 僕だったら 「あ、いや、その」 で終わってしまうだろう。

「残念ながら うちでは音楽は やっていないのですが 隣の部屋に 音楽関係の大学が ありますよ」 言ってしまえば 生徒の取り合いに なるだろうに 自分の所の大学の 話をするどころか 丁寧に笑顔で 教えてくれた。

「そうですか、行ってみます。 ありがとうございます」 そう言いながら会釈して 二人でその部屋を出た。

「どうする陵也 隣の部屋に行く?」 少し嫌そうな顔で 聞いてきた。

「なんか面接みたいだよね」 僕もこういうシチュエーションは苦手だ。

「うん お母さんこういう風なのは苦手だわ」 だよね。 

「じゃ、帰る?」 さぁ、母様は どう答えるだろうか。

「せっかく来たのに 帰るのもなぁ、うーん・・・どうしようか。 ・・・勇気出して 行ってみようか?」 そう来たか。

「話しするんなら お母さんがしてよ。 僕はイヤだよ 黙ってるからね」 絶対に嫌だぞ。

「分かってるわよ、お母さんは大人だもん。 ちゃんと出来るわよ」 今の状態、セリフ殆ど子供です。

そして二人して 隣の部屋に 入っていった。

この部屋も 色んな大学の 看板があった。

一応母様としては 説明を聞きたい大学は あったみたいなのだが その大学以外に 音楽関係の大学がないのかも 見に来たのだ。

そして 母様の目当ての学校の看板が そこにあったので

「陵也、あそこの学校なんだけど 説明聞きに行こうか?」 見てみると ズラッと何人も 説明を受けようと並んでいる。

「僕知らない」 上を向いた。

「無責任・・・どうしようかな・・・あんなに並んでるのか・・・あ、待ってよ 沢山並んでるっていうことは その分他の人の質問が 聞けるじゃない、って言うことは そこで誰かが何かを 聞いてくれて、その答えを聞いてれば いいだけじゃない。 そうすると 一応並んでおいて 自分で聞かなくても 色んな話が 聞けるって訳じゃない。 あとは知らない顔をして 立ち去ればいいわけだ。 あったま良い、良し行こう」 それの何処が大人だ。

僕と母様は その列の最後尾についた。 最初は立っていたが 段々と前が空き 詰めて行くと 椅子に座ることが出来た。

大学の説明をしている人が三人いて それぞれが 質問者に答えている。 一人が終わると そこの空いた席に 次の人が座るといった具合で その時になるまで どの人の説明を聞くのかは分からない。

母様は他の人の質問に 聞き耳を立てている。 僕はただボーっと 座っているだけだった。 

ふと気付くと 母様の前の人は どう見ても僕より年上だ。 それに一人で 来ているみたいだし なんか素人のミュージシャンっぽいと言えば それっぽい。

母様は必死になりすぎているようで 次の次は母様の順番になっているのに 気付いているのだろうか 立ち上がる気配がない。

そうしていると とうとう母様の前の 見た目ミュージシャンの男の人の 順番になった。 

僕はいったいどんな人なのだろうと 興味があったので 聞き耳を立てて聞いてみた。 

すると この大学志望の 二浪生のようなのだ。 二浪と言うことは 少なくとも僕より 二歳年上な訳で もしかしてそれ以上かもしれないのだ。 そこまでして この大学に入りたいのかと、感心してしまった。

そして質問の内容も すごく具体的だ。 その男の人も 気が済むまで 質問していたようだが とうとう隣の席が空いた。

早い話が 次は母様なのだが いったいどうするのだろうと思っていると しっかり説明者の前に座って 質問を始めたのだ。





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僕と僕の母様 第133回

2011年07月22日 13時33分40秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
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僕と僕の母様 第133回



翌日、順平と自転車置き場で会った。

「おう、お早う 昨日の結果 どうだろうね、今日分かるんだよね」 すると順平も 「お早う」 と言い 続いて

「うん。 きっと大丈夫だろう」 その自信は どこから来るの? と聞いてみたい。

駅に向かって 歩きながら 色んな会話をしていた時に あ、そう言えば 危険物の時の バタフリーのことを 順平に話すのを すっかり忘れていた。 その事を思い出し 改札を通過して 電車に乗り込んだ後 あの時のことを 詳しく順平に話した。 大ウケした。

そしてその日の放課後 順平は先生に呼び出され 昨日の試験が ギリギリセーフで 合格したことを 聞いてきた。

まだ残っている教科があるので 完全に「仮」 が取れた訳じゃないが これで一歩前に 進めたというわけだ。


 
母様が新聞を持って 話しかけてきた。

「ねぇ、ここ見て 色んな大学の 説明会があるって 書いてあるんだけど 行かない? ちょうどお母さんが 考えている大学も 参加するみたいだから 色々話を聞けるだろうし 他にどんなところがあるか 探せるんじゃない?」 新聞の一部を 指差しながら 僕に見せてきた。

「へー、こんなのがあるんだ・・・今週の日曜か うん、行ってみていいかな」 勿論 多少説明も聞きたかったが その日は正太と遊ぶ約束がなかったから 暇つぶしにでもなるかと思い そう言った。

「じゃ、そうしようか。 行って聞いてみないと 分からないものね。 それに正太君と 約束もないんだろうから 暇でしょ」 見破られてる。

そうして その週の日曜日に 母様と二人で 電車に乗って 会場になっている ホテルに向かった。

指示されてあった 階に行ってみると そのフロアー全部を 使っているみたいで 大きな部屋と 小さな部屋がいくつかあり 小さな部屋のいくつかには 色んな大学のパンフレットや 作品などが 並べられていた。

僕はてっきり 一つの大きなスペースで 来た者がみんな椅子にでも座って 大学関係者が 壇上にでも上がって 大学の説明を順次していくのかと 思っていたのだが どうもそうじゃないみたいだ。 大きな部屋では あちらこちらで 大学の看板が立ててあり そこに幾つかの椅子が 置いてある。 説明を受けたい者は そこに座って いってみれば その大学の説明者から マンツーマンで 話を聞くようなのだ。

僕の想像と あまりに違っていたので その事を母様に伝えようと

「思ってたのと 違うんだけど・・・」 そこまで言うと

「うん、違う。 みんなで説明を聞くのかと 思ってた。 こんなパターンだとは 思っていなかったわ」 母様も僕と同じ想像を していたようだ。

「面と向かって 説明受けたり 話を聞くのって 苦手だなぁ。 それにこんなのだと思ってなかったから 質問の用意もしてないし どうしよう」 僕には結構色々言うくせに 母様自身 人見知りが激しいのだ。

そう言いながら 二人で大きな部屋を ウロウロとしていると どこかの大学関係者らしき人に 呼び止められた。





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僕と僕の母様 第132回

2011年07月21日 13時19分31秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
第21回第22回第23回第24回第25回第26回第27回第28回第29回第30回
第31回第32回第33回第34回第35回第36回第37回第38回第39回第40回
第41回第42回第43回第44回第45回第46回第47回第48回第49回第50回
第51回第52回第53回第54回第55回第56回第57回第58回第59回第60回
第61回第62回第63回第64回第65回第66回第67回第68回第69回第70回
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第111回第112回第113回第114回第115回第116回第117回第118回第119回第120回
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僕と僕の母様 第132回



そして 数分間のその場面が終わると

「どう? これがミキシング作業なんだけど 興味ある? あるならやってみない?」 そう言いながら もう一度その場面の最初に戻して 流し始めた。 僕ももう一度画面を見ながら 気もそぞろに

「いや、興味があるっていえば あるけど」 やはり 画面から目が離せない。

話そうと、返事をしようとする 口を動かす動作なんて事が 今僕の頭の中に無い。 全神経が 目に集中しているようだった。 画面をずっと見続けていると 二度目も終わってしまった。 もう一度母様が 最初に戻しながら

「どう?」 僕の顔を覗き込んで 聞いてるようだが 僕は呆然としていた。

「やってみたい気はするけど・・・」 また目は画面を 追っているが さっきとは違う。 会話が出来る。 少し考えて

「これは無理だよ 僕には出来ない。 こんなのって 持って生まれた才能だよ」 そう言いながらも きっとこの時の僕は まるで順平のキラキラ目のように なっていただろう。 それ以上だっただろう。 いや、それ以上だったに違いない。

「無理って やる前から誰が決めるのよ。 それに そんなことはどうでも良いの 無理でも何でも良いの やってみたいか どうかを聞いてるの。 見てみてどう?」 僕は自分の思ったことを 頭の中で考えようとした。

その画面を見ながら 何度も何度も 考えてみたのだが 考えというものが 出てこない。 その代わりに

「やってみたいかもしれない」 そんな言葉が 小さく口から出てきた。

すると その言葉がきっかけのように 自分の感じたことが 見えだしてきた。 考えではないのだ。 感じたのだ。

「やりたい、やってみたい。 出来ないかもしれないけど やってみたい」 心がワクワクとしてきた。

「じゃ 決定ね」 そう言って 母様はDVDを止めた。

「何が?」 ワクワクしたままの顔で聞く。

「音楽制作のある大学を探すわ」 大切な宝石でも 片付けるかのように DVDを片付けながら そう言った。 

「そんなところあるの?」 大学のことを 何も知らない僕が ここに居た。

「もう幾つかは ピックアップしてるけど もっと細かく探すわ。 その方向で良い?  他にやりたいことある?」

「いや、無いけど」 他のことと言われても 今までと同じように何もない。 ただこの音楽制作を やりたいという 心のワクワクはあるものの 順平と違って 本当に出来るだろうかという 不安があるだけだ。

「でも僕に本当に出来るかな」 そのセリフに反するように 顔はワクワクの感情が モロに出て ニヤついてる。

「何ニヤついてんのよ。 合格するかしないか わかんないのに 落ちるかもしれないのよ」 やらせたいのか やらせたくないのか どっちなんだ。



取り合えず 僕の方向は音楽関係に 決まったようだ。

そしてその日から また母様は インターネット漬けに なったようだった。






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僕と僕の母様 第131回

2011年07月20日 13時33分13秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
第21回第22回第23回第24回第25回第26回第27回第28回第29回第30回
第31回第32回第33回第34回第35回第36回第37回第38回第39回第40回
第41回第42回第43回第44回第45回第46回第47回第48回第49回第50回
第51回第52回第53回第54回第55回第56回第57回第58回第59回第60回
第61回第62回第63回第64回第65回第66回第67回第68回第69回第70回
第71回第72回第73回第74回第75回第76回第77回第78回第79回第80回
第81回第82回第83回第84回第85回第86回第87回第88回第89回第90回
第91回第92回第93回第94回第95回第96回第97回第98回第99回第100回
第101回第102回第103回第104回第105回第106回第107回第108回第109回第110回
第111回第112回第113回第114回第115回第116回第117回第118回第119回第120回
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僕と僕の母様 第131回



翌日からは 順平の家庭教師だ。 補習のある教室に 僕も一緒に入った。

先生も 何度も追認を失敗している 順平に呆れているのか 最初ある程度 先生が説明をしてから プリントを渡されるのだが それからは 自習のようなものだ。

その時間に 僕が順平に教えるのだが いったい 何教科落としてるんだ といった感じで 僕は殆どの 教科の先生になってしまった。 電子回路以外なのだが・・・僕も電子回路は 赤点すれすれなのだ。

僕が必死で 説明しても 順平は半分ふざけているし 本当に やる気があるんだろうか と思ってしまうほどだ。 それでも 憎めない奴なのが いつもながら不思議だ。

「ふざけてても良いから 意味分かんなくても良いから 取り合えず このプリントの ここの所を丸暗記して」 プリントの一部を 指差して言った。

「えー、無理無理 覚えられない」 この期に及んで 工業化的 無理無理発言を するんじゃない。

「これと同じ問題が出るって 今先生が言ってたでしょ 意味分かんなけりゃ 丸々覚えるしかないでしょ」 頑張ってよ。

「ひえー、スパルター」 こんな感じで 真剣にする様子が見えない。

そんなことを 毎日繰り返し 一週間が経ち 一教科目の追認の日を迎えた。 放課後、順平はケロッとした顔で

「じゃ、追認に行って来るね。 帰らないで待っててね」 そう言って 教室を出ていった。

緊張とか、どうしようといった 不安はないようだ。 

僕はボーっと 教室で順平の帰りを待っていた。 

何教科もあったから 試験は今日一日では 終わらないだろう。 後何日こうして つき合うんだろうか。 退屈で特に考えることも無いから そんなことが 頭をよぎった。



学校から帰ると 母様が急に

「ねえ、陵也 音楽制作に興味ない?」 そう聞いてきた。

「何それ?」

「ミキシングとかって 興味ない?」 なんだそりゃ?

「ミックスジュースの歌なら 知ってる」 幼稚園で習った。

「ばか・・・「ミ」しか 合ってないじゃないの。 そうか、ミキシングって知らないか。 お母さんは 中学から知ってたけどな」 そう言いながら パソコンの電源を入れ 母様お気に入りの バンドのCDを出してきた。

するとそのCDを パソコンに入れて 母様の隣をトントンと叩き「ここに座りなさい」 と言って その方向にパソコンを向けた。

言われたところに僕は座って 画面を見ていると 映像が映し出された。 CDではなく DVDだったようだ。

その画面に 母様お気に入りのバンドメンバーが 映し出された。

「ちょっと待ってね、何処だったかな」 母様が 僕に見せようとしている場面を 探しているようだ。

そのDVDというのは 何日か前に買ってきた CDに一緒に入っていたようで 曲を譜面に起こしたりしている場面や お互いの考えを話している場面や レコーディング場面が 入っているということだった。

「あった ここ、ここ 見ててね」 その画面には 母様の言うミキシング作業の場面が 映し出された。

少し見て驚いた。 音楽にこんな作業があるなんて 全く知らなかった。 すごく新鮮だった。

僕が見ているその間に 母様に話しかけられたかどうかも 記憶にないほど 僕の目はくいいったままだった。






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僕と僕の母様 第130回

2011年07月19日 14時26分18秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
第21回第22回第23回第24回第25回第26回第27回第28回第29回第30回
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僕と僕の母様 第130回



「そうかもしれないけど どうなんだろうかな」 自慢してるみたいになるのはイヤだから 誤魔化しておこう。 

「一人だけって 凄いじゃん、やったじゃん」 僕の代わりに かなり喜びを 表現してくれてる。

「そうかもしれないってだけで 分かんないよ。 それに他のクラスは みんな合格してるかもしれないし 別にすごい事じゃないよ」 ああ、顔が平静を 装えなくなってくる。

「それより 順平は追認どうなったの? 合格したの?」 話を変えなくては これ以上顔が緩んできちゃ どうにもならなくなる。

「何でその話しに なるんだよ。 まだに決まってるじゃん」 決めてどうすんだよ。

「まだって どうするのさ 後少しで夏休みに 突入してしまうじゃない」 いったいどうすんだよ。

「そうなんだよな でも大丈夫。 学校は生徒を落とすために あるんじゃないから 生徒を卒業させるために あるんだから」 なんて幸せな奴なんだ。

「大学受験するんだろう ちょっと焦らなきゃ なんないでしょ」 だんだん母様になってきた。

「来週また追認があるから その時に合格するさ」

「合格できるの?」

「無理かな? どうだろう? でも今度が最後とかって 言ってたかな」 おいおいどうすんだよ。

「補習のプリント持ってる?」

「うん、いっぱいあるよ。 明日からまた補習があるしさ プリントだらけだよ」

「見せて」 順平は鞄の中を ゴソゴソと探して 僕に見せた。 この程度なら僕にも分かる。

「明日から 僕が補習の補習をするから 今までもらった全部のプリントを 持ってきて」

「ウソ、つき合ってくれるの? やった よし、頑張ろうな」 馬鹿、お前が頑張るんだよ。

と言うことで 翌日から僕は順平の勉強に つき合うことになった。

幾ら何でも 夏休みになってもまだ「仮」 が取れないなんて 順平も困るだろうし これが最後のチャンスだったら大変だ。 それに僕ももし 順平が留年なんかになったら 面白くない。 卒業式に興味がある訳じゃないけど やっぱり順平とその日を迎えたい。 

その日は二人で帰って 少し勉強の話や 危険物の話をしていた。 危険物の話になると 顔が緩みかける。



家に帰って 速攻母様に

「聞いて、危険物合格したよ」 今まで我慢してきた 顔の緩みが一気に出た。

「ウソ、無理だって 言ってたじゃない」 凄い驚きようだ。

「それが合格してたらしいだ」 嬉しくて嬉しくて 顔が溶けていく。

「やったじゃない、凄いじゃない。 おめでとう 免許は? 見せて」 次から次へと 喋ってくる。 僕にとっては それがまた嬉しい。

「それはまだみたい 先生が証明写真を 持ってくるようにって言ってたから それからみたい」 また証明写真代が かかるんだ。

「そうなんだ また新たに作るんだ。 ふーん、でもすごいじゃない 頑張ってみれば 何だってやれちゃうのよね 凄い、凄い、偉い、偉い」 思いっきり 褒め称えてくれた。

そんなこんなで この日は危険物の話で 盛り上がったのだった。

勿論 若造のことも話した。





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僕と僕の母様 第129回

2011年07月18日 15時32分45秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
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第31回第32回第33回第34回第35回第36回第37回第38回第39回第40回
第41回第42回第43回第44回第45回第46回第47回第48回第49回第50回
第51回第52回第53回第54回第55回第56回第57回第58回第59回第60回
第61回第62回第63回第64回第65回第66回第67回第68回第69回第70回
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僕と僕の母様 第129回



「腹立つなー 腹立つなー」 何度も言いながら 僕を指差し こちらに向かって歩いてくる。

「何ですか?」 意味が分からない 唐突すぎるだろう。

「危険物だよ」 怒鳴らなくてもいいじゃないか。

「は?」 分からない。

「しらばっくれんなよ」 小学生の喧嘩じゃあるまいし ちょっと落ち着いて話してよ。

「いや・・・意味が分かりません」 何を言いたいんだ。

「うちのクラスは全滅なのに・・・何でお前なんだよ」 若造は 一年工業科機械コースの担任を しているのだが このクラスは 我が校始まって依頼の 馬鹿なのだそうだ。 ちなみにその先代馬鹿は 僕のクラスだった。 早い話が この二年間ずっと 先生達から事あるごとに「我が校始まって依頼の馬鹿集団」 と生徒集会などで 言われてきたのだが この春からその言葉は 若造の担任するクラスに バトンタッチしたのだ。

「あ、危険物の結果が出たんですか?」 すっかり忘れていた。

「しらばっくれんじゃないよ」 また怒った。

「何の事か分かりません」 順番に話してよ。

「お前の合格の話しだよ」 え?

「はい? いや、僕何も聞いてませんけど」 どういうこと?

「俺は知ってんだよ、お前も聞いただろうが」

「いや、何も聞いてません」 すると若造は 職員室の中にいた 他の先生達に呼びかけるかのように 大きな声で

「ねえ、ねえ 先生達 こいつ危険物 合格しましたよね」 そう言いだした。 すると何人かの先生が

「おお、合格良かったな」 そう返事を返してきた。

「だから 僕は何も聞いてないって」 小さな声で言った。

「ほーら、俺は嘘は言ってないだろ お前受かったんだよ ムカつくけどな! 一応言っとく おめでとさん!」 歯を食いしばりながら言っている。

でも本当に合格していたのなら 朝のショートホームルームで 担任から聞くはずだ。 それを僕は聞いていないのだから 本当なら嬉しいが ぬか喜びはしたくはない。 若造のセリフを 信じないでおこう。 

そしてその日の終わりの ホームルームが始まった。 その時にも担任は 何も言わなかった。

「起立、礼」 と最後の挨拶が済んで 後は鞄を持って帰るだけだ。 すると 先生が教室のドアに手をかけたときに

「あ、忘れてた おい、お前こっちに来い」 そう指さす先に僕がいた。 先生と僕の目があった。

僕? といった感じでいると

「そう、お前だよ こっちに来い」 そういって手招きをする。

僕が先生の方に行くと

「朝言おうと思って 忘れてたんだけどな お前、危険物合格だから 良かったな。 今度証明写真もってこいよ」 そう言って 教室を出て行った。

なんか 感動のない合格発表だ。 でもどうやら僕は 本当に危険物に合格したようだ。 じわーっと喜びが沸いてくる。

順平が何の話だったのか聞いてきた。

「ああ、なんか危険物の試験に 合格してたみたい」 喜びを押さえてそう言った。

「え、そうなんだ。 良かったじゃん。 って言うことは 他の奴はダメだったってこと?」 そう言われれば・・・そうかもしれない。





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