大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第74回

2011年04月29日 14時00分39秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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僕と僕の母様 第74回

 

みんなの笑い声や 口々に話している会話の隙間から 一際大きな声で

「先生も若いじゃん、こんな若い子の曲知ってんだ」 コンクールに出ていない 男子同級生の一人が言った。

「何失礼なことを言ってんだ。 先生はお前達の親世代より ずっと若いんだからな」

「へー、じゃあ何歳なの?」 また同じヤツが言った。

「何年か前に 成人式を迎えたところだ」

「その何年か前が ミソじゃん」 まただ、少ししつこ過ぎないか。 そこに部長が割って入った。

「先生、この曲でいいんじゃないですか? みんなどう?」

「うん、三年生を送るんだから 単純にクラシックなんかにするより よっぽど良いと思う」

「そうだよね、みんなの知ってる曲の方が 分かりやすいもんね」 女子先輩達がそう言いながら まるで楽器を持っているかのように 手を動かし始めた。 もうやる気十分だ。 でも先輩 先輩たちは演奏しないんですよ。

その言葉を聞いて 先生もピノキオの鼻だ。

「そうだろう、いいだろう この曲も良いし この時期にこの曲を持ってきた先生を みんな尊敬できるだろう」 ピノキオの鼻が伸びた。

「はぁー? 先生調子に乗りすぎ」 またヤツが言う。

僕はコイツのことを 良く知らないが コンクールの時にも 一番はしゃいでいて目立っていた。 あまり好きなタイプではないみたいだ。

「じゃあ、これで決まりだな。 それじゃあ次に配るのは メロ譜じゃなくて お前達の譜面を配るからな」 えっ、もうブラバン用の譜面も 用意してあるって言うの?  みんなにこの曲イヤだって 反対されたら どうするつもりだったんだろう。

「先生やること早いじゃん。 僕達がこの曲イヤだって言ったら どうするつもりだったの?」 ヤツがまた言った。 確かに僕もその疑問を持ったが あいつが言うと「ほっとけ」 って思ってしまう。

「お前さっきから しつこいんだよ」 あれ? 別の同級生男子が そう言いだした。 しつこいと思っていたのは 僕だけではなさそうだ。

「しつこいってなんだよ」

「さっきから何かと しつこいんだよ。 今はそんな話より 音楽の話の方が先だろう」 険悪になってきた。

「おいおい、もういいだろう。 話を進めるぞ」 先生が二人の会話に入って 話の続きをし始めた。

僕は先生の話より こっちの二人の方が気になる。

どっちもブスッとしていて 先生の話を聞いていそうにない。

僕は少しの間 この二人の観察をしていた。 お互いに何も話さないでいるから 観察も何もないけど この二人の雰囲気は ずっと悪いままだ。

他の同級生達は どう思っているのだろう。 何をどう聞いていいのか 分からないけど 今はみんな先生の話に 夢中みたいだし 眼は譜面を追っている。 

こんないらないことを 考えているのは僕だけだろうか。 そんなことを思っていると どこからか僕の名前を 呼ぶ声がする。

「いけるか?」 先生だ。 僕を見ている。

うわ、何のことだろう。 とっさに「はい」 と言った。 でもその後に 何の事だか分からないままでは困ると思い

「えっ、何ですか」 と聞いてみた。





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