大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第41回

2011年03月17日 14時14分46秒 | 小説
僕と僕の母様 第41回



「今はまだ調子がいいみたいですけど まだ一週間も経ってませんから よくは分かりません」 と母様が答えていた。
 
電話を切って母様が

「修理の人が明日から ちょっと遠くの方に仕事で行くらしいから また調子が悪くなったら 会社に電話して下さいだって。 もう何回も電話するのイヤだ~」 と言っていたが しっかりそれから一週間後くらいに またすごい雑音が出てきた。

仕方なく電話をしたようだがさすがに母様も

「あの、もう直らないようでしたら 何度も来ていただくのは申し訳ないので 新しいのを買いますが」 と言っていたが あちらもプロだ。 直します、行かせますと 電話の向こうで応対しているようだ。

次の日 僕はたまたまその日もどこにも寄らないで家に帰ってきた。

すると家の前に XYZの車がまた止まっていた。

玄関に入るとまた男の人の靴だ。 この間のムカムカが蘇ってきた。

キッチンに行くと 一回目に僕が見た人と違う人が修理をしていた。 

母様はこの間と同じように 立ったままでずっと作業を見ていた。

僕もこの間と一緒だ、母様の横に立った。 でも今度は黙っていない。

母様に「ちゃんと修理出来てないって言ったの?」 そう聞いた。

「うん、この前は、基盤も替えてくれたけど また駄目だったって言ったよ」 この位の少ない会話だけどしていた。

少しして作業が終わったようだったので

「これでまた駄目だったらどうするんですか。」 僕は言った。

「今、基盤を替えたのでこれで駄目だったら 新しい商品とお取替えします。」

「でも前も替えたのに駄目だったんだから 同じじゃないんですか」 僕はくいさがった。

「ご迷惑をかけて申し訳ありません、後一回様子を見て下さい。」 これ以上僕も何かを言う勇気も 情けないが 知恵もない。 

母様が僕の方を見て ニッと笑った。 そして修理の人に向かって

「分かりました。 これで様子を見て駄目だったら その時にまたお願いします」 と言って この前みたいに書類にハンコを押して 修理の人を玄関まで送りに行った。

今度は僕もついて行った。

修理の人が出て行き 玄関のドアが閉まったので 僕がリビングに帰ろうとすると 母様が僕の腕を持って制した。

車のエンジンがかかるのを 耳を澄まして確認するまで なぜか母様がその場を動かない。

腕をもたれている僕も動けない。 不愉快な僕は余計にムカムカした。

母様に話しかけもしたくない。

エンジンの音がして 車が出ていくのを確認できてからようやく 母様がまたニッと笑って腕を離し 回り込んで僕の前に立った。

「陵ちゃーん、何顔真っ赤にしてるの~?」 おちょくったように言う。

「何?」 ムカムカしているだけの僕は 意味が分からない。

「お顔がまっ赤だよ~」 

嘘だ、全然顔なんか赤くないし熱くない。「そんなことない!」

「さっき修理の人に思い切って言ったもんだから 顔が赤くなってるんだ。」

「そんなことない!」 今度は自分でも顔が熱くなってきたのが分かる。

「わーまたいっそう赤くなってきた。」

「今は自分でも分かるけど さっきまでは赤くなんかなかった!」 

顔が火事になったみたいに熱い。





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