大福 りす の 隠れ家

小説を書いたり 気になったことなど を書いています。
お暇な時にお寄りください。

僕と僕の母様 第95回

2011年05月31日 13時44分22秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

第 1 回第 2 回第 3 回第 4回第 5 回第 6 回第 7回第 8 回第 9 回第10回
第11回第12回第13回第14回第15回第16回第17回第18回第19回第20回
第21回第22回第23回第24回第25回第26回第27回第28回第29回第30回
第31回第32回第33回第34回第35回第36回第37回第38回第39回第40回
第41回第42回第43回第44回第45回第46回第47回第48回第49回第50回
第51回第52回第53回第54回第55回第56回第57回第58回第59回第60回
第61回第62回第63回第64回第65回第66回第67回第68回第69回第70回
第71回第72回第73回第74回第75回第76回第77回第78回第79回第80回
第81回第82回第83回第84回第85回第86回第87回第88回第89回第90回

以降は カテゴリ 又は 最近記事より お入り下さるようお願い致します。

************************************************************************


僕と僕の母様 第95回



その日の部活 思った通りヤツは 僕一人に絡んできた。

無視を決めていたのだが とてつもなくうっとうしい。

同級生フルートが

「あんたうるさいんだよ、練習にもなんないじゃないよ」 と何度か怒っていたけど ヤツは何とも思っていないようで ずっとうるさいままだった。

さすがにそんな日が何日も続くと 楽器をやりたいとか、先生に褒められた嬉しさっていうものが 段々と薄れてきた。

そして とうとう僕は同級生達と一緒に ブラバンを辞めたのだ。

思ったより簡単に 踏ん切りがついた。

でもブラバンを辞めたことを すぐには母様に言わなかった。 言えなかった。



それから何日経っただろう 危険物の試験の事なんて すっかり忘れていた頃に先生が

「危険物合格者の名前を言うから 呼ばれた者は 放課後職員室まで来るように」 と言って名前を呼びだした。

ちゃんと僕の名前があった。 合格したのだ。 

もしかしてあの時話していたように 運が良かったのかもしれないが まあ、あの内容で 合格していない人間は いないだろうし・・・そう思っていたら 先生が最後に

「今回落ちた者、次回は頑張るように」 こう付け足した。

えっ? 落ちた奴がいるんだ。 誰だ? 

僕が試験を受けた教室で 同じクラスの奴は 一人だけだったから 多分他の教室で受けていたんだろうけど アレで落ちるか? でも声には出せない。 この言葉は心の中にしまっておこう。

その日の放課後、職員室に行った。 

免許に貼る写真を 撮ってくるように言われた。

そしてそれから数日後の放課後に 免許が僕の手に渡ってきたのだ。

生まれて始めての免許だ。 すごく嬉しい。 

帰ってすぐに母様に免許を見せた。

「へー、これが危険物の免許なんだ」 しげしげと眺めている。

「うん、生まれて始めての免許」 嬉しくてたまらない。

「良かったね」 そう言って僕に返してきた。

「でも危険物のことすっかり忘れてたわ。 ずいぶん暇がかかるものなのね」

「うん、僕も今日先生が危険物・・・って言うのを聞いて 思い出したんだ。 すっかり忘れてたよ」



それから数日後

いつ言おうと迷っていた ブラバンを辞めたことを 言わなくてはならなくなった理由が 舞い込んできた。

部費のことだ。 部活の女の先生から 部費の請求書が回ってきた。

三ヶ月に一度の部費の支払いだ。 その請求書を母様に渡しながら

「その書いてある三分の二だけ 払えばいいから」 残りの三分の一は 部活を辞めていたから 払わなくていいのだ。

「どう言うこと?」 何の疑いも無く 母様が聞いてきた。




最後まで読んで頂きまして有難う御座います。

参加しております。クリックのご協力をお願い致します。

にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へにほんブログ村


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 僕と僕の母様 第94回 | トップ | 僕と僕の母様 第96回 »
最新の画像もっと見る

小説」カテゴリの最新記事