大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第34回

2011年03月06日 00時50分34秒 | 小説
僕と僕の母様 第34回



家に帰ってこの事をすぐ母様に話した。

キッチンに居た母様が リビングにやってきて

「あらそうなの。 せっかく入学したんだから 頑張って進級すればよかったのにねぇ。 御両親悲しんでないかしら。」 そう言いながらソファーに座った。

「どうなんだろうね、でもやる気があったら補習とか 進級できるチャンスはいっぱいあったみたいだよ。 そのチャンスを ちゃんと受けなかったみたいだし そこの親もどうなんだろうね。 最近の親は・・・」 ここで口ごもってしまった。

「最近の親は 何?」 僕の方を見た。

「うん、最近の親はどうなのかなって思って。」 本当は母様みたいに 固い考えを持ってる親は少ない と言いたかったのだが そんな事を言ってしまえば それってどういう意味! 何てことになって とんでもない方向に 話が進んでいってしまう。 つい口を滑らせるところだった。 危ない危ない。

「ふーん、どうなんだろうね。 まぁ、色んな考えの親が居るからね 考え方なんて分からないもんね。」 前のめりになっていた体勢を ソファーの背もたれにもたれて 天井を見ながらそう言った。

よかった。 突っ込まれたらどうしようかと思った。

「でも、そう言えば お母さんの時にも 二年から三年に上がれなかった 友達が二人いたわ。 学校を辞めたほうの一人は 同じクラスで二年生の時 割と喋ってたりしてたけど 何で上がれなかったんだろうかなあ そんなに 成績も悪くなかったと思うんだけどなあ」 まだ天井を見ている。

そうか、突っ込まなかったのは この事がもう頭の中に あったからなのか。 母様は同時に二つのことは 考えられないタイプなのだ。

「よく喋ってたのなら それまでに何か聞かなかったの?」 母様がこっちを見た。

「よくじゃなくて 割とだから学校の中の話ししか しなかったからな・・・ ああ、そういえば 家庭が複雑とかって 聞いたことがあるなあ」

「複雑って何?」

「色々とその家庭によって 難しいことがあるんでしょ、そんなこと 本人に聞かないから お母さんはどうだったか 知らないけど 同じ中学出身の子が 何かそういう事を 言ってたような気がする」

「そうだよね、お母さんって あんまり人の奥底まで入らないよね」

「入る、入らないじゃなくて 話したいと思えば 向こうのほうから話してくるでしょうけど 触れられたくないから 話してこないんだろうから 聞くこともないでしょう」

こういう所の母様の考えは 大好きである。 そして僕自身もそうであるので 

「そういうところ 僕はお母さん似なんだよね」 僕が母様似であることを 強調して言うと

「一緒にしないでくれる 陵也みたいに性格暗くないし、悪くないし」 と言われてしまった。

心の中で 僕は母様みたいに 性格キツクないです。 と叫んでいた。 そんな僕を無視して

「後の一人は もう一度二年生をやり直すって 言ってたけど どの位だったかな、結構長い間頑張ってたみたいだけど 知らないうちに来なくなってたみたい。 その子とはクラスも違ったし 他のクラブ員だったから 顔を知っていた程度で 話しをしたこともなかったしなあ、みんなどうしているのかなあ」 また天井を見てそう言った。 思わぬ会話で 過去に懐かしさを感じていたようだ。



ブラスバンドの方は 新入部員を何人か迎える事となり 僕は少し先輩気分だ。



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