大福 りす の 隠れ家

小説を書いたり 気になったことなど を書いています。
お暇な時にお寄りください。

僕と僕の母様 第35回

2011年03月07日 14時26分10秒 | 小説
僕と僕の母様 第35回



相変わらずフルートは フルート希望の 一年女の子の新入部員を迎え マタマタ三人になった。 他には僕と同級生の男子が 五人入部してきた。

この男子達は 僕と同じ工業科ではあるが コースが違うので全く喋ったこともなく 存在すら知らなかったのだが 楽器は完全に初心者のようだ。

そして僕の方と言うか、サックスにも 新しく一年生を迎えた。 女の子である。

一年サックスのこの女の子は 中学時代に吹奏楽部で フルートをやっていたそうなのだが 本当はサックスをやりたかったらしい。 人数の関係で断念したそうだ。

この学校のブラスバンドは大丈夫 人数の関係でやりたいパートを 諦めなくちゃならないなんて絶対にない。 しいて言うなら やりたいという楽器が この学校にあるかどうかだ まあ、そこも問題なのだが。

一年サックスは 特にアルトをしたいらしい。

僕は部長が辞めたら テナーに移るつもりだったのだが もうこのアルトサックス君で ずっとやっていきたいと思ってたし テナーに転向するのも邪魔くさいな というのがありアルトのままだ。

とは言っても 僕のサックス君以外にアルトは見当たらないし どうしたら良いものかと悩んでいた。 そこに男の顧問の先生がやってきた。

「どうだ、新入部員は大分増えたか?」 と部室を見渡して聞いてきた。

「あともう少し入ると そこそこの 形になりそうでーす」 と、三年男子新部長。

その声に続いて 僕も先輩らしく先生に聞いてみた。 

「先生、一年の女の子が アルトサックスをしたいそうなんですけど この他にアルトありますか?」 僕のサックス君を見せながら聞いてみた。

「おお、まだあるぞ。 それよりすごいのがあるぞ、待ってろよ」 そう言って先生は 音楽準備室のほうに歩いて行った。

音楽準備室は 廊下からも入れるが 僕たちの部室となっている 音楽室とつながっているので 音楽室の方にもドアが付いている。 先生はそこから入ったのだ。 少しして 開けっ放しのドアの向こうから ガタゴトと大きな音が聞こえたかと思うと

「おーい、手伝ってくれ」 と先生の声がしたので 僕は準備室のほうへ向かって行った。

ドアからヒョイと顔をのぞかすと 先生がこっちにお尻を向けて 四つんばい状態で 背はあまり高くなく 奥行きのあるロッカーのような所から いろんな楽器やガラクタを 次から次へと出している。 

「何をしてるんですか?」 聞いてみた。 

「何って、アルト出してるんだろが。」 お尻を見せたまま そう言い、続けて

「ホイ、これ持って。 確かこの奥にあったはずだから・・・ほら、これも持って・・・」 そう言って色んな物を次々と渡してくる。

すごく不細工な格好に 思わず噴出しそうになりながらも 渡された楽器を僕の横に置いていき 先生の様子を見ながら 初めて入った 音楽準備室を見渡した。

そんなに広くないスペースだ。 もしかしたら 理科準備室の方が 広いんじゃないかな。 机があって本棚がある。 その本棚には 音楽に関する本や 音楽辞典のようなもの 沢山の楽譜が並べてある。 それ以外は今先生が 頭隠して尻隠さず状態の ロッカーのような物意外は特に何もない。 音楽室のように こわ~い肖像画などもなかった。

「あ、あった、あった。 ホイこれ持って」 手渡されたのは確かに サックスのケースだ。 こんなところにあったのか。

いかに歴代部員が少ないかよく分かる。



最後まで読んでいただきまして有難う御座います。

参加しております。ご協力のクリックをお願いいたします。

にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へにほんブログ村

有難う御座いました。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 僕と僕の母様 第34回 | トップ | 僕と僕の母様 第36回 »
最新の画像もっと見る

小説」カテゴリの最新記事