大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第33回

2011年03月04日 14時17分52秒 | 小説
僕と僕の母様 第33回



三学期も終わろうかとする時期に入った頃 ブラスバンドの先輩たちが 全員希望大学に合格をしたらしい。

その頃の僕は公立だとか、私立だとか、レベルがどうなんだとか 全く知らなかった。

唯一知っていたのが 東大ってすごいっていうことだけで 東大が国立で本当は東京大学ということすら 知らなかった。

だから 先輩たちがどこの大学に行ったのかということが どんなに大切なことなのかということも分からず 合否もあまり気にすることもなかったが 部室に行くとみんなが「何々先輩、どこどこに合格だって」 と話しているのを何度か聞いていた。

二年生も一年生も僕を除けば みんな普通科、特進科だから 大学のことには かなりアンテナが立っているし 大学自体のことについても 僕なんかとは 比べ物にならないくらい詳しいようだ。 ついでにいうと 部長だけが唯一僕と同じ工業科だった。

部長は卒業式の日までずっと クラブを気にしてくれていて 比較的早くに大学合格をしていたので その後の練習日は いつも顔を出してくれた。

この時に かなり集中的に 教えてもらうことが出来た。

本当ならここで 一番面倒を見てもらった僕が卒業式の日までに 部長にきちんとお礼を言わなくてはならなかったのだろうけど その時にはまだそういうことを考える事が 出来なかった。

今にして思えば あの時部長が僕をブラスバンドに 入部させてくれたから 楽器に触れることも出来たし ブラスバンドという部員たちとも 知り合うことが出来たんだから「ありがとうございました」 は言っておきたかった。



年度が替わり 僕たちは二年生になった。

僕はこの一年で 身長が十センチ以上伸びた。 声変わりも大分収まってきて 男の声になったようだ。

しかし身長と声以外は何の変哲もない。

クラスも担任も 教科担任も 何もかも今までと同じだ。 あ、予想もしないところで変わっていたのが クラスの人数だ。 二人減っていた。

どうも進級出来なかったらしい。

そういう噂は聞いていたし 本人たちも「ヤベー」 とかってわめいていたけど 本当に進級出来ないとは 思ってもいなかったから 始業式の日に担任の先生が

「あいつら二人は、もう学校には来ません。 もう一度一年をするように勧めたんだけど どうも、もうやる気がないみたいだ。」 と言っているのを聞いて驚いた。



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