大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第107回

2011年06月16日 13時54分38秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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僕と僕の母様 第107回



時間も過ぎていって 今度は夕食の時間になったようだ。

何人かが「ご飯、ご飯」 とか「メシー!」 と言って 廊下を歩いている。

僕も退屈になってきていたので 廊下に出てみた。

食堂の方に みんな歩いて行ってる。 僕も同じように 歩いていった。

すると 何処からどう見ても ヤンキーの塊りのような奴が 民宿の娘さんと お近づきにでもなろうと思ってか 配膳のお手伝いを しているではないか。 それもすこぶる ニコニコ顔でだ。

「君たち遅いよ、早く席について。 せっかくのお料理が 冷めちゃうからね」 今までに聞いたこともない口振りで 後にゾロゾロとやってきた僕達に そう言った。

「気持ち悪いこと 言ってんじゃないよ」 冷やかすように 誰かがそう言った。

「何を言ってるんだい。 いつもの僕だよ」 白々しく そう返事をしながら 相手の足を踏んだ。

 先生が笑いながら

「お前いつもそんなんだと 嬉しいんだがなぁ」 気を利かして 娘さんに聞かれないように 小さな声でそう言うと

「先生、バラしたら 卒業式の日に 返り討ちにしてやるからな」 これもまた小さな声で言った。

「ははは、卒業式に 出席できればいいなぁ」

「どういう意味だよ 先生来ないのかよ」

「俺は出席するよ、当たり前だろう。 お前が卒業式に 出席できるかどうかだよ」

「どういう意味だよ。 こう見えても俺は あんまり学校サボったことはないぜ」

「だから早い話が お前が赤点無く、卒業できるかどうかって言うことだよ」 コイツの時間が しばらくの間止まったようだった。

 最初のうちは 小さな声だったが 段々とそうでなくなったのと 娘さんが近くに歩いてきたのとで この会話が全部聞かれていたようで

「ちゃんと勉強しなくちゃね、卒業式には 出席できるように頑張るのよ」 そう言い残して 調理場に入っていった。

全員で大爆笑だ。 本人はこの日の夕飯は あまり喉を通らなかったようだ。

わいわいと賑やかしく 夕飯も終わり 後は就寝の時間がくるまでは自由だ。

少しの間 くだらない話をして 時間を潰していたが 合間を見計らって 僕はそっとお風呂場を覗いた。 誰もいない。

部屋に帰って お風呂の用意をして お風呂場に向かった。 

お風呂場の戸を開けると 何やら中でお湯の音がする。

「あれ、さっきは誰もいなかったのに・・・」 先生だったらバツが悪いし どうしようと思いながら 脱衣所に脱いである服を見た。

僕と同じ体育のジャージだ。 少なくとも先生ではないだろう。 まあ、一人くらい 入っていても良いかと思い 僕も服を脱いで 奥の戸を開けた。

ボケーっとした顔で クラスで一番頭の良い奴が お湯に浸かっていた。






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