大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第40回

2011年03月16日 13時41分39秒 | 小説
僕と僕の母様 第40回



今日 部活は休みだ。

順平はギターのレッスンだから 他の友達と一緒に電車で帰った。 僕は別にどこに寄る事もなく まっすぐ家に帰った。

家の前まで帰ると 車が家に横付けして止めてある。 

自転車を家のガレージに入れて その車をよく見てみると XYZ と書いてある。

XYZ・・・電話機のメーカーだ。 

あ、そう言えば電話の調子が悪いから 修理に来てもらうと言ってたな、と思い出し 玄関のドアを開けて 家の中に入った。

玄関に見覚えのない男物の靴がある。

「ただいま」 と言って リビングから電話の置いてあるキッチンを見てみた。

男の人がいる。 その後ろに母様が立っている。

当たり前の光景なのだが しっくりこない 僕は無言で母様の横に立った。 

「お帰り、やっぱり調子悪いみたいなんだけど 微妙。 今日は調子良い方みたい。 これじゃあ 悪い度合いが伝わらないわ。 いつもみたいに 雑音が出るには出るけど 音が小さいの、このくらいの音なら我慢できるけど・・・。」

電話の調子の悪い内容は すごい雑音で 紙をクシャクシャにした時に出るような シャッシャという音と キーンという金属音がするのだ。 どちらもすごい音量で 相手の声も聞き取れないし 金属音に関しては 受話器に耳を付ると 耳をツンザクくような痛みが走り すぐに電話を耳から離してしまう。

「ふーん」と、僕は不愉快そうに答えた。

今日 誰かが電話の修理に来ることは分かっていたし その修理をする人が 普通男の人だということも 考えれば分かることだし 玄関で靴を見たときにも 十分分かっていたはずなのに イヤその時からか すごく心の中が不愉快という思いでいっぱいになったんだ。

何がどうしてかは分からない。 でもあの玄関で靴を見た時から 心の中がムカムカする。 キッチンで一緒に立っていても 余計にムカムカする。

でも作業が終わるまでは 絶対にこの場を動かない 動くもんか、そう思って立っていた。

少しして作業が終わった。 母様がいろんな書類の説明を受けながら 確認のハンコを押している。

僕はその時にも母様の隣に無言で立っていた。

全部が終わり 母様が玄関まで見送りに出た時に 僕は母様から離れ 制服を脱いで着替えを始めた。

リビングにあるクローゼットの中に制服を掛け そして着替えは 毎日洗濯するわけではないので 昨日着ていた物を 大抵ソファーの上に置きっぱなしにしている。

玄関で母様と修理をしていた人が少し話をしていたが すぐに終わって母様がリビングに入ってきた。

いつもの僕ならここで「どうだった?」 とか「ちゃんと直ったみたい?」 とかって何かしら話をするのに 僕は着替え終わるとすぐに 無言で二階に上がって行った。

そしてベッドに潜り込みそのまま寝てしまった。

部活をしてきたわけでもないし どこかに寄ってきたわけでもない 体育の授業で疲れて帰ってきたわけでもないのに さっきのムカムカのおかげで 凄く精神的に疲れてすぐに眠りに入れた。

しかし修理はこの一回では終わらなかった。

一週間位して 電話の調子の悪さがまた出てきたらしく もう一度来てもらうように母様が電話をしていた。

その時の修理は 僕が部活に行っていた時だったらしく その時のことを僕は見ていないが 当日その修理の人が来る前に 電話が完全に不通状態になったらしく 「プー」 という音もしなくなったらしい。

そんなもんだから 修理の人も気になったのだろう、通話できる状態にしてはくれたものの 例の雑音は確認する事が出来なかったし、大体一週間から二週間位して 症状がまた現れるみたいなので 一週間後にまた電話をして 様子を伺うと言っていたそうだ。

そしてそれから3,4日して 2回目に来た修理の人から夜電話があった。

調子の方はどうかという電話だった。





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