カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

寺山修司と堀辰雄

2008-05-24 15:04:49 | Weblog
 昨夜は、19時半過ぎから学生会館5階会議室で大学短歌会の相聞歌勉強会がありました。レポーターはHさん。与謝野晶子から花山周子までの短歌作品からHさんの選んだ30首が配布資料に一覧になっていて、その中から参加者は好きなうたを三首ずつ選びコメントしていくというもの。いろいろな発言が出ていつもながらに面白い勉強会でした。
 さて、こんかいの勉強会のレジュメには、寺山修司の夏美シリーズの一首も引かれていました。

麦藁帽子を野に忘れきし夏美ゆえ平らに胸に手をのせ眠る  寺山修司

 まずはご参考までに・・・引かせていただきます。

 画家志望の少女と少年期を終えたばかりの詩人の初恋の話。

+++++以下引用です+++++

初恋叙情(ブログ「ちょっと一休み」より)
http://bokura-go.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_470e.html

 (前略)
 それで地下鉄から名鉄電車に乗り換えて、ほんの少しの時間なのに本を開いていたら、周りの景色が飛んでしまいました。
 (中略)
 景色が飛んだ、その時のページには寺山修司の初恋の様子が書かれていたんです。画家を志望する夏美(来生奈津子)という女性との初恋なんです。寺山修司がネフローゼで入院していたときに出会った女性なんですね。そして、この二人についてこんな紹介記事が1960年9月の「女性自身」という雑誌に載ったそうです。。。

  ***以下引用部分***

 十八歳の画家志望の少女と、二つ年上の詩人との恋はすぐに燃えた。難病に伏す彼をはげまし、毎週水曜日と土曜日に必ず会いにきて、塩分はだめだという、むつかしい食事も作ってくれた。
 電話は、毎日六時に彼女からかかった。六時が近づくと、彼は起きだし、廊下のすみに設けられた電話ボックスにたどりついてベルを待った。
 会えない日には、白い封筒で手紙が届いた-。
 ・・・・詩人さん・・・・夏美の目、一重か二重かわかる? 夏美、両方になれることよ。詩人さんのこと考えて、寝不足すると一重になるの。このごろずっと二重です。
 夏美もききたい。
 ”詩人さん、夏美のこと好き?”詩人さんが夏美のこときらいになったら、夏美、十和田湖で自殺するの・・・・

  ***以上引用部分***

 純愛というかロマン小説というか、特にそんなのが好きなわけではありません。
 むしろ、そうした物語にはどことなく辟易したものを感じるのであまり読んだことはないんです。

 ですが、寺山修司という人の初恋というものが、とても叙情的な情景を思い起こさせてくれるのですね。
 この夏美という人が、どんなに寺山修司を想っていたか・・・詩人さん・・・いい響きですね。
 寺山修司自身は「さよなら」を告げたと言って、こう書いているようです。

  ***以下引用部分***

 そしてぼくは、この現実の生活へ帰って来なければならず、純粋すぎた夏美との恋も、そこで捨てなければならなかったのです。

  ***以上引用部分***

 まあ、そんなあれやこれやを思っているうちに、私の目の前の風景は下車駅とは違うプラットホームだったわけです。
 はぁ~まったく、この現実には叙情もくそもあったもんではないのですね。(笑)
 (後略)

+++++以上で引用終ります+++++

 寺山修司には、

海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手をひろげていたり  寺山修司(歌集『空には本』所収)

という有名な歌もあります。昨夜の勉強会でいろいろな意見を聞きながら、私の脳裏には、ぱっと灯がともるように堀辰雄の作品と寺山の数々の麦藁帽子のうたとの関連のことが浮かんできました。

ご参考:堀辰雄「麦藁帽子」全文(青空文庫サイトより)
http://www.aozora.gr.jp/cards/001030/files/4813_14371.html

 寺山修司が堀辰雄を読んでいなかったとは思えません。当然、読んでいたはずです。寺山は「麦藁帽子」関連の作品を作るに当たって、堀辰雄の「麦藁帽子」「風立ちぬ」などからいろいろとヒントを得たのかもしれません。。。
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