カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

音楽批評家ドビュッシーの筆致の魅力のこと

2005-12-08 18:06:42 | Weblog
 メモ。

 音楽は人柄を表すのだろうと思っています。

 ドビュッシーの音楽が好きです。いままで音楽をいろいろ聴いてそれとなくドビュッシー像を描いてきました。

 こんど、ドビュッシーが書いた『コンサート評』(杉本秀太郎訳)を読んで、びっくりしました。

 音楽からイメージしていたドビュッシー像と。。。(後は書きません)

(以下、『ドビュッシー評論集~音楽のために』白水社より、78~79ページ)

                ☆

 パリには主要なコンサート会場(コンサートホール)が六つあり、それぞれが自分を権威づけようとして、同じ日に六つの公演がかさなって開かれる。これ以上に論理的な話はないわけだが、聴く耳を一対しか持たず、会場に行く足も一対しか持っていない人々にとって、これはまことに不都合なことだ。どれを選ぶかという問題は実にむずかしいので、私はどれをも聴かない覚悟を決めたのであった。

 ただし、読者諸兄諸姉よ、ご安心頂きたいが、指揮者シュヴィヤール氏は、かのベートーヴェンの『合唱つき交響曲』(第九交響曲)を譜面無しでちゃんと指揮していました(あれ? とすると、お前はちゃんと聴きに行っているではないか、この嘘つき、とくれぐれも小生を罵ることなかれ。。。)。あの曲を暗譜で振ることは一見たやすいと思うでしょう。しかし、真似はおすすめできません。コンセール・コロンヌでは、ガブリエル・ピエルネの『ハープとオーケストラのための協奏練習曲』が初演された。これはたしかにピエルネの魅力的な繊細さにぴったりの試みであった。次の日曜日にも、この協奏曲か再演されることを、私はあえて期待する。せめてこれが、私から皆さんにお願いできる温情だろう。

 ブーローニュの動物園では、歌曲のコンサートが開かれた。『谷』(グノー)、『ギドとジネヴラ』(アレヴィ)のアリア、『ウィリアム・テル』(ロッシーニ)の三重唱。ほとんど知られていない曲ばかり。しかし、すでに立派に世に認められているこれらのお若い作曲家の面々が、これらの歌曲でも、ご連中にお似合いの成功を勝ち得たのはまちがいないことだろう。主なコンサートのうちでは、この動物園が一番魅力的だ。音楽に退屈したら、面白い動物たちを(女性歌手たちをとはいいません)ぶらぶら見て歩けるから。

《ジル・ブラス》(1903年1月26日)掲載。

                ☆

 ドビュッシーの辛口な書きぶりから、私は、彼は相当に楽しんで書いていたのだろうと感じました。痛快というのか、皮肉が利いている(効き過ぎ?)というのか、ドビュッシーの飄々とした一面がありありと見えて、面白いし興味深いです。

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