カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

ひたすら。

2020-12-28 06:00:49 | Weblog

日常、移動は歩きか自転車と決まっていて、電車やバスに乗ることは滅多にない。それでも数日前の昼間、所用でどうしても地下鉄に乗らざるを得なくなり、深処にある改札に向かうべく私以外に誰も見えない空いたエスカレーターを降りていった。すると、はるか下の方から隣りあった上りエスカレーターを上がってくるひとが見えた。そのひとはマスクをしていなかった。やや赤るんだ顔をして怠そうに手摺に顎を凭せて、あまりにも具合が悪そうだったので、思わず「大丈夫ですか」と声を掛けたくなったが、すんでのところで躊躇の思いが勝った。昨今巷に蔓延するコロナがやはり恐い。怖くてたまらぬ。自ら恥ずべきことながら目を伏せて通り過ぎた。そのひとがエスカレーターを上りきって病院にかかってくれることをひたすら祈った。なんて利己的だろうと、また自らを恥じた。今朝も結局、あのときのそのひとの姿が心の中から忘れられずにいる。

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