カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

大辻さん。

2013-08-29 07:37:59 | Weblog
らあらあとわが声徹りゆく森よ 応(いら)へなきゆゑ癒ゆるこころは 大辻隆弘



大辻さんの第1歌集『水廊』所収の一首。「らあらあ」のオノマトペと、「声徹りゆく」の「徹」の字がまず目を引く作品。誰もいない森に向かって「らあらあ」と叫ぶ作中主体。その声はすうっと徹って、戻ることなく深い森の奥に吸い込まれて行くのだが、とくべつ何も「応へなきゆゑ」、作中主体のこころはしずまってゆく。そういう一首。
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