カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

太古の朝に。

2015-11-11 07:05:16 | Weblog


昨日は、ジブリの無料配布冊子『熱風』2015年11月号が書店に並ぶ日だったので、しごとのあと、雨に降られながら神保町の三省堂書店へ。11月号の特集は〈オリジナルって何?〉。目次にはなかなか興味深いラインナップが並んでいます。そのあと、池袋のジュンク堂書店へも足を伸ばし、『永井陽子全歌集』(青幻舎)など。全歌集の最初には、永井さんの若き日の句歌集『葦牙(あしかび)』が収められています。永井さんの俳句作品から。


果樹におう太古の朝に濡れて立つ  永井陽子


死ぬかもしれず覗く鏡の底に野火  永井陽子


塔は祈りのように飛鳥に灯がともる  永井陽子



そして、永井さんの短歌作品。歌集『なよたけ拾遺』より。


時守りの氷の杖が地を突けばあまたの弔旗天に流るる  永井陽子

 

永井さんの言葉選び、抜群に上手いです。どの作品にも惹かれます。

 

ところで、永井さんの〈時守り(ときもり)〉という一語から、作曲家武満徹氏が好んでいたという〈時間(とき)の園丁〉の詩のことが思い出されます。


『時間(とき)の園丁』は、武満氏の没後に刊行された第六エッセイ集のタイトル。


以下は船山隆氏の『武満徹 響きの海へ』より:

「時間(とき)は生命(いのち)の木の葉/そして、私はその園丁だ。/時間は、緩(ゆ)っくりと、落ちてゆく。(Hours are leaves of life/and I am their gardener.../Each hour falls down slow)」
「武満はこの十一歳の少女の詩を特に好んでいたようで、『時間の園丁』というタイトルを、最晩年の『毎日新聞』の音楽時評のタイトル、そして病床で校正刷に目を通した最後の著書のタイトルとしても用いたのである。」

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