歌誌『塔』7月号より。
もういいと君が静かに頷くと胸の砂丘の砂が鳴り止む/中森舞
〈君〉と作中主体の前に延命装置に繋がれた誰かがいるような気がする一首だ。医者から〈ご家族としてどうされますか〉と問われて、家族の代表者として〈君〉が返答している場面かもしれない。それを作中主体は傍らで見ている。〈砂丘の砂が鳴り〉続けるような苦し気な呼吸音を止めたのが誰なのかわからないけれども、その緊迫感、切実感が巧みに掬われていて、読み手をぐいぐいと引き付ける。
もういいと君が静かに頷くと胸の砂丘の砂が鳴り止む/中森舞
〈君〉と作中主体の前に延命装置に繋がれた誰かがいるような気がする一首だ。医者から〈ご家族としてどうされますか〉と問われて、家族の代表者として〈君〉が返答している場面かもしれない。それを作中主体は傍らで見ている。〈砂丘の砂が鳴り〉続けるような苦し気な呼吸音を止めたのが誰なのかわからないけれども、その緊迫感、切実感が巧みに掬われていて、読み手をぐいぐいと引き付ける。