カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

8月号。

2019-08-18 23:35:26 | Weblog
歌誌『塔』2019年8月号より。

〈新樹集〉から金田さんと数又さん。

電車にて流れては花に触れる旅さみどり色のハンカチ持って 金田光世

この一首の眼目は〈流れては〉の辺りと思う。旅の移動の醍醐味はたしかに〈流れ〉にあるも、凡手にはなかなかこのように〈流れては〉とすんなり掬い上げられない気がする。巧い。

祖父はもう故郷のほたるときどきを胸に点りて消えてゆくなり 数又みはる

亡くなった〈祖父〉の把握を、具体的な〈ほたる〉の様子に語らせているところがじつに巧いと思う。

そして、156ページの右上欄、石川休塵さんの一連。じつにじつに巧い。
コメント
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