歌誌『塔』2019年8月号より。
〈新樹集〉から金田さんと数又さん。
電車にて流れては花に触れる旅さみどり色のハンカチ持って 金田光世
この一首の眼目は〈流れては〉の辺りと思う。旅の移動の醍醐味はたしかに〈流れ〉にあるも、凡手にはなかなかこのように〈流れては〉とすんなり掬い上げられない気がする。巧い。
祖父はもう故郷のほたるときどきを胸に点りて消えてゆくなり 数又みはる
亡くなった〈祖父〉の把握を、具体的な〈ほたる〉の様子に語らせているところがじつに巧いと思う。
そして、156ページの右上欄、石川休塵さんの一連。じつにじつに巧い。
〈新樹集〉から金田さんと数又さん。
電車にて流れては花に触れる旅さみどり色のハンカチ持って 金田光世
この一首の眼目は〈流れては〉の辺りと思う。旅の移動の醍醐味はたしかに〈流れ〉にあるも、凡手にはなかなかこのように〈流れては〉とすんなり掬い上げられない気がする。巧い。
祖父はもう故郷のほたるときどきを胸に点りて消えてゆくなり 数又みはる
亡くなった〈祖父〉の把握を、具体的な〈ほたる〉の様子に語らせているところがじつに巧いと思う。
そして、156ページの右上欄、石川休塵さんの一連。じつにじつに巧い。