カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

幸子さん。

2018-06-12 18:21:44 | Weblog
幸子さんは〈ゆきこさん〉と誤読しがちだが、〈さちこさん〉が正しい。先日立ち寄ったジュンク堂書店で、詩歌ご担当のTさんと大好きな詩人吉原さんの話をしていたとき、どういうわけだかそのフルネームの正しい読みを瞬間分からなくなって〈よしはらゆきこさん〉と口に出し恥ずかしい思いをした。吉原さんの名前は〈よしはらさちこさん〉が正しい。その吉原さん、高畑勲さんよりも三つほど歳上でおなじ東大仏文で学ばれているから、もしかしたらおふたりはお知り合い同士だったかもしれないなどと思いつつ、今宵は吉原さんの詩集『樹たち・猫たち・こどもたち』のなかの一編『その日』を寝床でぶつぶつ読んでいる。


〈その日〉 吉原幸子

山奥の小さな村にも 点々と
まあたらしい墓標があって
赤い野の花が供えてあった
蝉しぐれにまじって とぎれとぎれに
"正午の放送"が流れた

おとなたちは たぶん 複雑な思いで泣き
こどものわたしは 何もわからず泣いた

(その日 まだ
遠い都市(まち)では 数え切れない母が 子が
地上に横たわって うめいていた)

墓の中で ひっそりと
死者たちの爪はのびつづける

ふたたび この国に
地下からのラジオが重くひびくとき
こんどの放送をきく 蝉しぐれもなく
こんどの墓には 花を供える者もいない
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今朝。

2018-06-12 10:47:39 | Weblog


仕事場はいろいろ忙しくて、明日水曜日に頂く予定だった休みが急遽今日に変更になって、とにかく体を休めている今朝。


ギターがひとりで弾いているのか、オーケストラ伴奏でオペラ歌手が歌っているのか定かならねど、今朝どこからか胸に聴こえてきたのは、哀切な思いを帯びたワルツ風のメロディだった。

 

悲しみは中空にあり ひとつ雲を駅の真上に浮かべる夕べ 

 

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仮説。

2018-06-12 05:12:14 | Weblog
一つの仮説。前田斉泰は16歳のときに将軍家斉息女の溶姫と婚礼を挙げ、3年後、斉泰19歳のとき、将軍家斉の孫でもある長男慶寧が誕生。斉泰は大事な世子である慶寧の教育係に当時43歳の山崎範古を当てた。その6年後、江戸在住の女性波通の許に泰明誕生。多分、波通は産まれたばかりの泰明を抱えて加賀屋敷に駆け込むかなにかして斉泰からの何らかの証拠の品を示して相応の待遇を求めて訴え出、屋敷の者に赤子の泰明を預けたと思われる。応対責任者の山崎範古がさんざん知恵を絞り、斉泰の名前を貶めぬよう、将軍家斉にも角が立たぬよう、泰明の実父を範古として泰明を加賀藩ゆかりの江戸のどこかのお寺に預けることにしたのかもしれぬ。
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