文体練習。
本来上がるべきでない輩たちが中央司令塔上層階を占拠して跋扈している某国の惨状たるや、もはや目を覆いたくなるレベルで救いようなし。穏やかな選択肢は尽きてしまった。中央司令塔をまるまる爆破殲滅する以外に上層階に巣くう病巣駆除の手立てはないのかもしれない。高山堂児は、ホテルロビーのカフェの大きなガラスに面した卓に座ってコーヒーを啜りながら、夏の朝特有の花火だまのような熱と明るみを帯び始めた外を眺めた。目の前の港では、ちょうどフェリーが着くところだった。
警察司法が少なくとも健全に機能していることを信じられる前提でストーリーテリングするのを松本清張氏風、警察司法が政権や有力者に買収されて健全に機能しておらず庶民目線でさっぱり信用できない前提でストーリーテリングするのを大藪春彦氏風と仮定して、いま自分が物語りたいのは、大藪春彦氏風。