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河原に謎の木組み、その正体は 戦国期から伝わる「中聖牛」、京都で設置取り組み

2021年01月29日 | 京都ニュース

(2021年1月29日 京都新聞)

・丸太を組み上げ、竹蛇籠を重りにして流されないようにした中聖牛。姿が牛に似ていることから名付けられたとされている(井手町多賀・木津川河川敷)



独力で作り上げた中聖牛の完成を祝う関係者ら(昨年12月6日)



川の流れを自然素材でせき止めずに変える伝統的な木組みの構造物「中聖牛(ちゅうせいぎゅう)」を、京都府井手町多賀の木津川右岸に設置する取り組みが4年目を迎えた。これまでに12基が設置され、京都大防災研究所などが流れや砂のたまり方、川の生物への影響などを調査してきた。昨年は初めて業者の手を借りず、市民グループの会員だけで設置でき、技術の普及にも期待が寄せられている。

 中聖牛は、丸太を三角すい状に組み合わせて川に設置し、増水時の流れを変えたり、緩やかにする伝統的な河川工法。戦国時代ごろに東海地方で誕生し、江戸後期に全国へ広まったとされる。大きさや形状によって「大聖牛(だいせいぎゅう)」や「菱牛(ひしうし)」と呼ばれる物もある。

 木津川では2017年から、京大防災研の提案を受けたNPO法人「やましろ里山の会」(京田辺市)など地元の3団体が、伝統的な河川工法に詳しい静岡県の土木業者や、国などの協力を得て毎年3基ずつ設置してきた。

 調査では、砂の堆積を促したり、洪水時に水の流れを弱めたりする効果が見られた。ほかにも、聖牛の周辺にできる水たまりが昆虫類の新しい生息場所になるといった変化もあるという。

 4年目の昨年は、里山の会の会員らが3基の設置に向けて9月から作業を開始。週末を中心に、竹で編んだ細長いかごに石を詰めて重りにした「竹蛇籠(たけじゃかご)」を作ったり、高さ約4メートルになる木組みを立ち上げるなどしてきた。12月には、研究に携わる学生も含め、関係者約60人が集まって完成を祝った。

 今回は会員らが独力で中聖牛を作り上げた。京大防災研水資源環境研究センターの竹門康弘准教授は「材料の確保から設置まで独自でできるようになり、会のみなさんが講師として各地で指導できるようになった」と今回の意義を強調する。

 里山の会理事の有田勉さん(75)は「大変な作業もあったが、自分たちの手で作り上げられ感激している」と喜んだ。有田さんによると、木津川での活動を知って、遠方から見学に訪れる人の姿も見え始めたという。

 竹門准教授は「絶えず水筋が変わる日本の河川では、木と竹、石で作り、壊れれば作り直す方法が適している。聖牛にはどういう役割があるのか、どこに置けば効果があるのかなどを今後も確認していきたい」と展望を語った。

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