モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

水の記憶

2014-07-06 13:45:18 | 大人 水彩
Uenovenisu_3上野 透明水彩

京谷です。私のアトリエ・ミオスでの初作品紹介は、土曜大人クラスの上野さんの水彩画です。
ベネチアに魅せられる方数多しと存じますが、 この街の「不思議」は、それぞれの記憶に訴えかけてくるところではないかと思っています。
静かな水面に並ぶゴンドラのシルエットと、遠景に描かれているサン・マルコの鐘楼などの建造物の儚げな佇まい。更に、上空に広がる空の感傷的なオレンジと青のハーモニー。どこか寂しげなのですが、なんとも言えない優しさを感じます。
上野さんの繊細な描写に、水彩絵の具という画材がぴったりマッチしていると言えるのではないでしょうか。

構図としては、やや単調になりがちな近景・遠景の構成が少し窮屈な気もしますが、カタチに変化をもたせたゴンドラと、停泊用の木の杭がリズムを生み出しています。
色数を絞って、全体的に紫がかった色調で整えるこ とで、画面のなかの統一感も高まります。

上野さんの制作では前回の油絵もそうであるように、水辺や海、波などのテーマが繰り返されていて、そこに沢山の記憶が込められているように感じます。
上野さんの内面にあるもの静かな部分を、少しだけ垣間見た気がします。

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溢れるパワー☆

2014-07-04 23:52:04 | 小学生 絵画
2014_7_4
上段左より 賢 3年 / 慶悟 2年 / 和芭 2年
下段左より 梢 1年 / 凛人 2年 / 昆 1年
 
さて、小学生クラスの油絵が着々と完成していっております。アトリエの壁中ずらりと並ぶと壮観ですね!
本日は低学年の作品を中心にご紹介します。

賢 ー 愛犬をモチーフに選び、格好良く描きたい!と意気込んでいた賢。画面からも暖かい眼差しが伝わってきます。触り心地思い出して描きなさい!とさんざん言っただけあり、毛の柔らかさやツヤもしっかり表現されています。身体に青や赤をほんの少し入れたり、ヒマワリは下地をちらりと残したりと、色を使いこなしていますね!いつもは一二年生と団子になって走り回っている彼ですが、この安定感はやはり年上の面目躍如!?

慶悟 ー よくぞここまで、と唸ってしまいます。遠近感が素晴らしい!手前と奥の山々を見ていくと、色とタッチの違いなどに、よくよく気を付けて描かれているのが分かりますよね。山の緑をこれだけ表現するには、どれくらい色を作ったでしょうか?稜線と山肌や草木がこうまでしっかりと描けたのは、観察眼が優れていて、更にそれを表現しようと作品と向き合ったからこそ!2年生でここまでとは末恐ろしい!?

和芭 ー 海辺に立つ自分をモチーフに出来上がった作品はなんとも叙情的です。穏やかでいて憂いを秘めたようにも見える横顔のラインから和田誠の作品を思い出してしまいました。詩集や小説の表紙にしたら素敵かも!彩度の高い服の赤が画面をぐっと力強いものにしています。オシャレ!曇り空の色も、汚くならないように色が重ねられ、光る海と濃い影。うーん、これは中々に想像力を刺激する一枚です!

梢 ー 桜と水に映り込む草木など、難しいところ盛りだくさんでしたが、しかしどうでしょう!よくこれだけ描き上げたと拍手です!桜は筆を立てて、空は寝かせて、などのタッチの使い分けや、水面に映る景色は色を暗く…と、言われたことを丁寧に守りながら細やかに描いています。いつもニコニコしている彼女、何事も好奇心を持って取り組む姿勢でどんどん吸収していくのでしょう…、楽しみです!

凛人 ー 青一色の海中のイルカというモチーフですから、色を塗る段階に入った途端、全部青で塗ればいいの?と悩んだ凛人。青にも種類がある、海の底の方が暗い、水面は少し緑っぽい…など、写真をじっくりと見つめて色を作って行きました。その甲斐あって、綺麗なだけじゃない海の荒々しさやイルカの野生まで感じられます。水しぶきがアクセントに、生き生きとした作品になりました。しかもこれからの季節にピッタリ!ぜひ飾って涼を取ってくださいね。

昆 ー 黄金色の畑がなんとも美しい!空のグラデーションも綺麗で清々しい空気が伝わってきます。並木の遠近感も絶妙で、遠くに行くだけ小さく淡くという基本を大胆なタッチで見事表しています。こうまで素直に描けるのはこの年頃の特権ですね。透けるような雲も拘りどころです!今回のカリキュラムから水曜クラスに入って初めは大人しかった彼ですが、毎週どんどん周りのうるさーい低学年男子たちに馴染んでいき、今ではもうすっかりやんちゃに…。


賑やかで騒々しく怒号(!?)飛び交う制作風景からうまれた画伯たちの作品は、彼らの溢れるエネルギーが叩きつけられています。刺激的で楽しい、そんな小学生クラスの油絵、まだまだお楽しみに!

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シュンソウがいっぱい

2014-07-03 23:35:43 | 幼児
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幼児クラス
こちらのポスターは、皆さんご存知の明治期を代表する名画『黒き猫』ですね。
菱田春草生誕140周年大回顧展が9月末より東京国立近代美術館にて催されるようです。
今回何故この黒き猫を描くことになったかというと、いつも授業の最初に描くスケッチブックお絵描き(15分位で描くお絵描きの基本練習)のテーマを最近描いていない木と動物をテーマにしたいと考えていたところ、前夜に小原先生からタイムリーなことに「春草のポスターがあったよ!」と連絡が!!
「木と動物」⇒「木と猫」⇒「黒き猫」という流れで、幼稚園生が描く名画模写の授業となりました!
Youji
上段中段の作品8点は年長さん。下段は年中年少さんの作品です。
メイン制作のテーマにしても良かったと思う程ドキッとさせられた魅力ある作品ばかりです。
木と猫に対して一人一人が感じとる直観的な表現が非常に興味深いですね。
3歳から6歳の幼稚園生も名画模写がここまでできると今回分かったので、また折りを見てぜひやってみたいです。(伊藤)






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オバラ作品展

2014-07-02 00:32:00 | スタッフ講師
Obara1_2小原京美 『ひと日の幸』 水彩・顔彩/絹本

オバラです。来週より京橋・あらかわ画廊にて展覧会を開きます。
今回の展覧会は京橋界隈というイベントの一部です。
ギャラリーのオーナーより『京橋界隈 Final』に呼んで頂き、参加させて頂けることとなりました。
以下はHPより抜粋です。

京橋界隈 20年の感謝をこめて
東京都中央区の京橋エリアは、戦後から古美術・工芸・日本画・近代絵画・彫刻・版画など約150の専門店が多岐に わたり集積する、東京でも銀座に次ぐ個性豊かなアート密集地です。
近年幅広い世代で絵画や工芸への興味と関心が高まり、愛好家も増えております。しかし実際に作品に触れる日常的機会は少なくまた興味はあるけどどこにいけばいいか分からない、あるいは敷居の高そうな美術店・画廊に入るのは気後れしてしまうという人が圧倒的ではないでしょうか。
この「京橋界隈」は京橋・銀座一丁目地域の画廊十数件により1995年から開催されているイベントです。初夏7月に各画廊が一斉に企画展を開催し展覧会巡りをしていただくという、現在では各地で行われているアート散策の先駆けでもあり、毎年多くの方が楽しみにしてくださっています。
今年は記念すべき第20回目、そして最終回となります。17軒のギャラリーがそれぞれ個性あふれる展覧会で皆さまのお越しをお待ちしております。

画廊巡りをしたことのない方、このようなチャンスにぜひ経験してみませんか?
素敵な作品との出会いが待っているかもしれませんよ!
もちろん私の意外な一面(作品は自分で言うのもなんですが、精神世界を繊細に表現してございます。)もお楽しみに、ご高覧いただければ幸いです。
尚それに伴い、7月10・15・16・17・19日は授業がお休みとなります。(7月9日は大人クラスのみあり)お間違えのないようお願い致します。

2014年7月7日(月)から19日(土)
AM11:00からPM6:00 (日曜休廊 / 最終日4時終了)
月と星 静と動 同じ洋画でも2人の選ぶ画材でこんなにも異次元の世界を繰り広げられる。眼に見えないかたちや色彩を作家の五感を通して表現のなかに反映させようと日々もがき続ける。
作家たちの創る(生み出す)物質性を超えた領域をご堪能ください。  荒川みはる

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遥かなる絵画と歌の旅

2014-07-01 01:29:00 | 小学生 絵画
放課後のお絵描き教室で、少年少女が徒然なるままに描いた小さな油絵を、徒然なるままに選んだテキストと共に鑑賞いたしましょう。(火曜小学生クラス)
                                 編集/南澤孝見
Abura14ka左上から 晴菜 5年 / 慶徳 4年 / 美釉 4年
日和 3年 / 栞里 4年 / 渉太 3年

晴菜-しとやかな薔薇は刺を出し
   おとなしい羊は角でおどす
   白ゆりの花はただ愛をよろこび
   輝く美をそこなう刺もおどしもない。(ウィリアム ブレイク) 

慶徳-「ぼくはもう、すっかり天の野原に来た。」ジョバンニは云いました。
「それにこの汽車石炭をたいていないねえ。」ジョバンニが左手をつき出して窓から前の方を見ながら云いました。
「アルコールか電気だろう。」カムパネルラが云いました。
ごとごとごとごと、その小さなきれいな汽車は、そらのすすきの風にひるがえる中を、天の川の水や、三角点の青じろい微光びこうの中を、どこまでもどこまでもと、走って行くのでした。(宮沢賢治/銀河鉄道の夜)

美釉-自然の美しさ それは記念碑のように大切にそっとしまっておくべきもの 恋人よ、目先のことだけで自分を安く売るなよ さもないとそのうち君の魂ってやつが危険にさらされてしまうから 自然の美しさ それは記念碑のように大切にそっとしまっておくべきもの(ニール ヤング)

日和-完全なものは、自由をもって表現される場合には、すぐに美しいものに変ずる。物の自然が、その技巧と一致して現れる場合には、すなわちあたかも技巧が物自身から自発的に流れ出るかのように見える場合には、完全なものは自由をもって表現される。(フレデリック シラー/美と芸術の理論)

栞里-朝起きると悲しくもないのに涙が出てきます。いつも世界が揺れているようで、悲しくもないのに涙が溢れてきます。なんとか治らないでしょうか。(東京都 44歳 男性)

渉太-人類は、さまざまな美しい花を咲かせる無数の芽というより、むしろ一本の道をひと続きになって走る幌馬車の長い隊列に似てくるだろう。馬車の何台かはインディアンに襲われ、火をかけられて道端に置き去りにされるだろう。戦いで気が動転し、一時とんでもない方向に向かうものもいれば、道のどこかまで引き返して定住地を探そうとする人々もいるはずだ。主街道をはずれたあとで、最後の山々を超えるにはみんなと同じ道を辿るべきだったと気づく一行もある。だが、ほとんどの幌馬車隊はのんびりと旅を続け、最後にはそこへ到着するだろう。(フランシス フクヤマ/歴史の終り)

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