モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

終末…?希望…?

2024-08-06 22:54:29 | 学生


香那 高1

サヤカです。小学生クラスで行なっている油絵で、他のスタッフの方々に比べて私の洋服の汚れ方が異常なことが最近の謎です…今回は、学生クラスの香那の油絵をご紹介します。

前々回は点描で表情豊かな自然を、前回は写実的な夏の景色を描きましたが、今回はそれらの作品とは打って変わって創作の世界を表現しました。「見た人によって解釈が分かれる作品にしたいと思って描いた」そうですが、風刺的な意味が込められているのかな…と深読みしたくなる作品です。

香那からは、手前にいる竜のような生き物は水の神様的なものというヒントを貰ったのですが、私なりの解釈をしてみようと思います。画面は、高層ビルと水辺に2分され、近代化と自然の対立を表現しているのではないでしょうか。無機質なビルとは対照的に大きくうねっている竜のような生き物は、守ってきた自然が破壊されていることに対して苦しんでいるようにも、怒っているようにも見えます。怒っているのだとしたら、神の怒りに触れたこのビル群は、報いとして自然の大きな力に飲み込まれているようにも解釈できます。

また、注目したいのは夕焼けとも取れるオレンジ色の明るい空です。ビル群や水辺の生き物にも光として黄色を入れることで全体にまとまった印象が生んでいますね。ドラクエでも、大規模な天変地異が起きて空が真っ赤になるように、赤い空から「世界の終末」を連想する人が多いかと思います。香那は、水のデザインでも、オレンジ色の空を描いています。そちらの作品のテーマは、水の海面上昇といった環境破壊問題で、香那にとってオレンシ色の空は退廃した世界の象徴だと捉えられます。しかし、私は、このオレンジ色の空にどこか希望を感じてしまいます。沈んでしまう夕日ではなく、破壊によって新たに創造されるという意味を持った朝日なのかもしれない。ダークな印象だった作品が、空の色によって明るい印象になったと感じたため、このように感じるのでしょうか…?

長々と考察を書いてしまいましたが、とにかくいろんな描き方に挑戦する香那のポテンシャルの高さに毎回驚かされますね!このような退廃した世界観の作品を多く描くそうですが、普段から様々な問題に対して懐疑的な視点を持ち、考えているからこそ生まれる作品です。その思考力が存分に現れた香那の作品をこれからも楽しみにしています!


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