増村 油彩
大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、増村さんの油彩作品です。
どこかのお店のテラス席なのでしょうか、水平線を臨む美しい景観ですね。お客さんの姿は見えず、朧げな黄昏時の空も相まってか寂しい印象を与えます。奥には観葉植物が置いてあり、ランプも点灯している事から、お店自体は営業しているのでしょう。人気のない寂れたお店というよりも、この時勢ですから休業を余儀なくされている様にも思えます。かつては人が賑わい、ここのテラスも客さんでいっぱいだったのでしょうね。椅子やテーブルがお客さんを恋しがっているようにも見えてきます。
灰色の雲の中からほんのりと青やオレンジが透ける様な空、青い海に落ちる夕日の光はモネの『印象 日の出』を思い起こさせます。鮮やかな色だけが美しい色ではないと改めて実感しますね。抜けた空間(あまり沢山描き込まない部分)の空にもマチエールを効かせる事で、単調にならず見所にもなっています。
夕焼けの光を受けて浮かび上がる手摺りの色合いや、陽が落ちて暗くなっている床やテーブルの風合いも美しいですね。暗い部分は特に色作りが難しくなりますので、色選びには苦労されたかと思います。試行錯誤の積み重ねもあり、味わい深い陰の色に仕上がっていますね。
主役となる様な人物もいない風景ですので、どこに観た人の視線を集めるかが需要になっていきます。この作品ですと、真ん中の球体のライトですね。ここをハッキリと描き、奥に行くにつれて輪郭をぼかしています。また奥の手摺りや観葉植物などはかなり思い切って曖昧に描かれて、それにより画面にメリハリが生まれ自然と目線が奥へ導かれるようになっています。
増村さんのこれまでの作品を見てみますと、多くが鮮やかな赤やオレンジが印象的なものとなっています。今回の作品も赤と青の対比が美しい仕上がりとなっていますね次の作品ではどのような赤が見れるのか、または全く違った色合いになるのでしょうか?今から楽しみにしております。
コメントありがとうございます。頭の中のイメージをそのまま再現するのは難しいですよね。絵を描く人全ての課題だと思います。次回作で増村さんのイメージを見せてもらえるのを楽しみにしております!
今回は色の置き方·構成をちょっと意識しながら描いてみました。
描きたい情景、その空気感を色彩で表現できたらどんなに楽しいだろと思ってますが、なかなか難しいですね。気に入った箇所もありましたが、イメージしていたものとはちょっと違ってしまいました。
次の絵で、また別のイメージを膨らませたいと思います。