室橋 透明水彩
大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、室橋さんの水彩作品です。箱根の登山鉄道モハ2形と、線路沿いに咲いた紫陽花を描かれています。
冬に完成したこちらの作品ですが、慣れない画材は季節を先取りして描き始めたつもりでも、時間が掛かってしまうということがしばしば起こります。室橋さんも透明水彩を始めたばかり。しかも電車のようなカッチリとした乗り物を題材に選ばれたのも初めてでしたので、なかなか苦労されていました。朱色のボディと、周りの緑の色の響き合いが美しいですね。自然物はにじみを多用して柔らかく塗り、反対に人工物(電車)はムラなく均一に塗る事で質感の差も作られています。また、紫陽花は電車よりも手前にありますが、あえて細かく描かない事で、電車にピントが合う様に設定されています。ただ、細かく描かないと言っても、絵全体を見た時は小さな花の集合である紫陽花の形が伝わる程度には描かれています。そのバランスがちょうど良いですね。
水彩の柔らかな雰囲気もあり、優しく穏やかな時間が流れている様に思います。箱根という観光地ということもあり、旅行の時のウキウキした気持ちが思い起こされますね。私も友人と何度が行ったことがあったので、懐かしい気持ちになってしまいました。
水彩は慣れるまで沢山描く必要がありますが、1つ1つを楽しんで制作していって頂けたらと思います。