駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

神様は勉強しないか?

2011年04月17日 | 小考

 神はサイコロを振るかどうか、科学者の間で随分討議された。どうもサイコロを振っているらしいというのが最近の見解である。では神は勉強しているだろうか。若い人や関東の方には分からないかも知れないが、割安に値引きすることを勉強していますと関西では表現する。もう少し安くして欲しい時に「もうちょっと勉強して」。などと言った。今も言うかな?

 さてこの勉強だが、神は勉強するだろうか。これは議論するまでもなく、神は勉強しないのだ。

 ところが、どうも神様も勉強してくれると政治家や経営者は誤解?しているようだ。つまり自分たちの日頃の仕事のように、原発の事故でも駆け引きが成立し、勉強させる(値引かせる)ことができると錯覚?しているのだ。確かに人間相手なら、脅したり賺したり、場合によっては泣き落としで有利にものが運べるかもしれない。ところが神様は勉強してくれない。半径20キロで取り敢えず何とかとか、海水で薄まるからいいことにしてくれとはいかない。甘めの見通しで非難を交わそうとしても、物理化学の反応には金輪際なんのおまけも値引きもない。

 この辺りの事情は前線の臨床医には痛いほどわかる。中小企業の部長クラスの患者さんに多いのだが、「先生、今日入院はかなわん。明後日なら都合つきますわ」。と仰せになる。医者はたじたじとなるかも知れないが、病気は待ってくれない。

 その場しのぎの時間稼ぎは、しばしば手痛い、時に取り返しのつかない惨事を引き起こす。過去の過ちから学ばない人間こそ、本来の意味での勉強をしないのかも知れない。

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