学会誌や医学雑誌に目を通すと新知見が幾つか目に入ってくる。もうよく分かっているつもりの分野でも、そういうことがあるのかとか成る程といった学びがある。新しいことが見つかれば、それに伴って未知のことが増えるという側面もあるし、日常気が付かない誰も注意してくれない分野は本を読んだり講演を聴いたりして初めて気が付くわけだ。
何万人もの患者さんを診てきたから、トラブルに対する対応や要注意人物を見分ける能力は身に付いていると思っていたが、最近読んだ心因性の愁訴を解説した本で指摘されている、言わない方が良いことしない方が良いこと、には知らなかったことが数多くある。指摘してくれる人がいないので、自分ではきちんとやっているつもりになっていたのだ。
鬱の人を励まさない方が良いというのは知っていたが、他にも心因性と言われる愁訴に対する対応では、幾つか避けるべき言動があるのを知った。まあ、そうした適切な対応を患者を甘やかしていると感じたり、不適切な対応で受診されなくなれば、その方が楽という感想を持つ医師も居るだろう。
数十年前、社会現象にまでなった甘えの構造も関係している分野だと思うが、甘えの構造の咀嚼深化は不十分なまま忘れ去られている?ように感じる。残念ながら、一般内科は精神科と連携がさほど良くなく、相互理解が不十分なせいもあるかもしれない。