駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

サプリメントの正体

2013年11月26日 | 

              

 昨夜は時ならぬ初冬の嵐だった。枯れ葉落つること多少ということで、今朝はいつもに倍するレレレのレーおじさんが忙しなく道端を掃いていた。

 市中で患者を診ているとしばしばこれを飲んでもよいかと、サプリメントを見せられる。分厚い判定書を購入してあるが、間に合わないこともある。無理に飲む必要はありません、それを飲んだら止めていいですと申し上げることが多い。東洋経済から「サプリメントの正体」田村忠司著という本が出た。日頃サプリメントには悩まされているので読んでみた。そうではないかと思っていたが、それ以上に問題の多い業界なのが明かされている。昔、薬九層倍と言われたが、今は薬価収載されている医師の使う薬は、厚労省によって薬効薬価が厳しく管理されており、安心信用して服用できる。勿論、副作用が皆無というわけではないが、重大な副作用はきわめて稀で救済の手立てが用意されている。

 そこへゆくとサプリメントの多くは怪しげな内容で、誇大な宣伝に依って売り上げを伸ばし利潤を得ているのが、内部の人間である田村氏に依って明らかにされている。飲んでも吸収されなかったり分解されてしまって効果が出ない成分、中国人の髪の毛が原料のアミノ酸など、サプリメント業界の実態は想像していた以上に出鱈目のようである。まあ、言葉ばかりが立派で美しいのはサプリメント業界に限らないので、日本**界の正体と銘打っても通じる内容である。

 言葉の力は大したもので、内容が伴わなくても、それに酔う人には一定の効果が出てしまう。言霊などと言って、それを首肯する心理があるから、日本人には特に効果があるのかもしれない。

 商売がうまくゆかないから、健康食品でもやろうかと思っていると言う金もうけしか考えていないオヤジ、景気が悪いから息子は公務員にしようと思っているなどと言う錯覚タコオヤジ。こうした考え方も見破らなければならない正体と思う。田村さんには本意ではないだろうが、**正体シリーズを書いていただきたいなどと思ってしまった。

 

コメント (8)
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