今年は大晦日に急病センターの当直が当たってしまい、例年のように東京で正月とは行かなくなった。それに今年は、末期がんの患者さんが暮れ正月は自宅で過ごしたいと在宅治療を希望され当院に往診診療の依頼があった。多発転移で寝たきりなので、在宅での看取りも希望されている。いつもは喜んで診させていただいている。しかし今回は断りはしないが、正直困るなあいう気持ちもある。というのは私にも暮れ正月はあるからだ。
覚悟して市井の医者になり、毎年六名ほどの患者さんを自宅で看取ってきた。全く後悔していないが、近隣で往診して看取りまでする医師は限られている。皆で神輿を担いでいるわけではなく、こうした時期に頼まれるといい気分はしない。(自分が長く診ている患者さんが悪くなったのであれば、こうした感情は湧かない。)
在宅医療の重要性が指摘され行政医師会の動きもあるのだが、現場の実態把握が不十分と思う。尤も、きめ細かい指導判断は難しく、結局は国民のまっとうな意識評価が一番の方法なのかもしれん。