駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

脱原発の覚悟は?

2012年12月09日 | 世の中

     

 選挙では殆どの党がタイムスパンに多少の差があるが、脱原発を主張をしている。自民党だけが脱原発を明言しておらず、原子力発電を続ける模様である。維新は曖昧な表現で逃げており、脱原発の振りをしているだけのように思える(石原代表は標高の高いところに原発を作れと言っているから、原発推進派だ)。維新ほどではないにしても脱原発が選挙戦に有利という計算が働いている党もありそうに思える。

 では、脱原発のムードを醸し出している有権者はどの程度の覚悟があるのだろうか。高い電気料金と節電の暮らしを受け入れる用意があるのだろうか。1970年代後半ジミーカーターはエネルギー節約のために暖房温度を低めに設定するように呼びかけた。しかし、理念に賛同して厚着で低めの暖房にした家庭は少なかった。人間は一度手に入れた便利快適を理念だけでは中々捨てられないものだ。そうかといって電力料金高騰に依って節電を強いられたのでは、不平不満が出るだろう。福島を遠く感じる多くの人達が安い原発(リスクのコストを度外視した)を動かせと言い出す可能性はある。

 忘年会の帰りに乗ったタクシーの運ちゃんは、原発を止めたら企業が困るんじゃないですかと、経団連の会長顔負けの意見で、私に同意を求めてきた。福島は遠く希有の事象で、先ず自分の生活(タクシーを利用する人が減らない状況)が優先される感覚は当然かも知れない。

 選挙で候補者は信を問われ、有権者は芯を問われる。

コメント (2)
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