駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

似たもの夫婦

2010年04月28日 | 
 吉村昭を少し読んだので、津村節子も読んでみようと「似ない者夫婦」を手に入れた。後書きに編集者女史?嬢?に勧められた「似ない者夫婦」の題に抵抗したと告白されている通り、実はこのお二人は似たもの夫婦なのを知った。
 小説家というのは非常識人種だと思っていたのだが、吉村昭と津村節子のご夫妻は共に律儀で昔気質で、常識に溢れ市民を生きている。
 なんだかいろいろさりげなく夫の随筆に妻が、妻の随筆に夫が登場するのだが、どうもご馳走様と言いたくなるような夫婦仲なのが知れる。私的なことは面映ゆく書きにくいと思うのだが、嫌みなくそこはかとなく夫婦の心が伺われ恐れ入った。
 妻に芥川賞を先に取られ、遂に自分は縁がなかったのだが、陰で離婚を噂されながら数多くの名作を残した吉村昭も、芥川賞受賞後もこつこつと佳作を物にされた津村節子も、ご夫婦だったからこそできたのではと思ったりした。
コメント
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