駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

腑に落ちる

2010年04月03日 | 
 池田信夫の「希望を捨てる勇気」を読んだ。普段手にしない系統の本だが、訪問するブログで面白いと高く評価されていたので買ってみた。なんというか、これほど明快な日本の政治経済の現況分析を読んだことはなく、成る程そうかと目から鱗が落ちた。
 経済学の素養が十分でないので、中程の失われた20年から景気対策の解説が全て正しく妥当なものかは私には判定できないが、筋立て論理に破綻はなく八割方正解なのだろうと思う。とにかくこの先生遠慮なくバッサリと他説を斬って捨てるので、まあ反論にも一割位の分はあるのだろうと余地を残しておきたい。それに社会科学の正しさというのは八ー九割?くらいの物だろうから、八割正しいとすれば池田信夫解説は概ね当たっていると言えるのだろう。
 ご本人も自覚し書いておられるが経済学者は書斎の探偵であって、膨大なデータを該博な知識と知能で分析し対策の処方箋を書くことは出来るが、前線で手足を動かし指揮するわけではない。奇妙なことだが、現実現世では論理的に妥当な方策が実行されるとは限らない。実社会ではいつも抵抗勢力が居て、実行可能性が問題となる。抵抗勢力は既得権を握る人々と自分の居る状況を俯瞰してオリエンテーションを付けることのできない近視眼で頑迷固陋な人達だ。
 人間の意思決定には心情が大きく関わるので、希望を捨てる勇気と題されたのはわかるが、私は必要なのは勇気よりも理解だと思う。経済をある程度理解するには少なくとも二百ぺージの解説が必要なのに、たかだか数十字の扇情的な見出しで済まし、しかもそれさえ直ぐに忘れるマスコミの情報提供が国を誤らせる。鳩山首相は丁寧な記者会見をするのもよいが地上波の八時から九時のゴールデンタイムを買い取り、毎日様々な経済学者にわかりやすい経済学の初歩を講義をさせたらどうか。ついでに政治評論家の出番を減らせればより現政権の取り組むべき問題の理解が進むと思う。
 とにかくこの本は世の中の仕組みと現況を理解するのに非常に有用で、必須と言ってもよい本だ。一読をお勧めしたい。

 
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魔が差した?

2010年04月03日 | 町医者診言
 若林正俊参議院議員がインチキ身代わり投票をしていた。そんなことをする人には見えなかった。常識人然としながら十回もインチキするとは、印象も当てにならないものだ。
 魔が差すのは一回で、十回では魔ではなく地が出たのだ。有権者を欺くにもほどがある。底の浅い軽薄な人だったのだ。そんな人が何度も大臣までしていたとは。
 これは犯罪だと思うが、何罪になるのだろう。詐欺罪か。辞職でなく剥奪追放に値する愚行だ。
 魔が差したのではなく教唆共犯で主犯格が居たという見方もあるようで、呆れるのを通り越している。単独犯と思うが。
 
コメント (2)
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