駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

書斎の一時

2010年04月24日 | 身辺記
 夜、書斎で本を閉じ、眠気がさすまで音楽を聴きながらボーとするのがこの数年の日課になった。若い時はただ横になれば眠れ、翌朝は疲れが取れた。もう綿のように眠ることができなくなって久しい。
 例えば村上ゆきを聞きながら、時には河合優子のショパンを聴きながら、机の上の時計を眺め、本棚の蔵書の背表紙を眺め、思い浮かぶまま考えることなしに連想に遊んでいると、だんだん巻かれた捻子が緩んでゆき、眠気が訪れる。
 これが見知らぬ老いの訪れなのかも知れないが、驚き恐れることはなくなった。古参兵も前に進むだけ、新しいことにも挑戦する、行き止まりなぞないと思いなしている。
 昨晩も高血圧の新薬の講演会でYと話した。彼はIT乗り遅れ組で、一年前電子カルテを導入したのだが、私の助言に逆らい複雑機種を購入、いまだ使いこなせないでいる。
「どうしてる」。
「だんだんさ」。
「変えたら」。
「いや、俺はこれでいいんだ」。と天の邪鬼なことを言っている。
「辞めるまでにできればいいんだ」。
「ほー、いつまで」。
「70だ」。
「頑張るね」。
「お前は」。
「俺か、俺はそんなに・・69だ」。
「なんだ、変わんないじゃないじゃないか」と背中をどつかれた。
 もはやテイストオブハニーはないかも知れないが、テイストオブセピアを楽しむことができる。
コメント
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