goo blog サービス終了のお知らせ 

駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

それってひょっとして

2008年06月21日 | 医者
 私は特別優しくもなく親切でもない。しかし筋金入りの内科医だから、話を聞く。昔は話を聞くけど何もしない、何もできないのが内科医としたものだ。
 そうするといろんな患者さんが来て、いろんな話をする。
 お嫁さんの話。「お父さんがお酒を飲んで困る」。とお姉さんに言ったら、「男は酒を飲むもんよ、あんたが好きなように飲ませないから暴れるって、言われたんです」。と涙ぐむ。

 お兄さんの話。「この前の整腸剤飲んだら便秘したんだよ」。「普通、そういうことはないと思いますよ」。「胃腸科でもそう言われたよ。心療内科の薬のせいだって」。「下剤を出しましょうか?」。「胃腸科で貰ったから、いらない、じゃ」。とけんもほろろに席を立つ。

 60代の主婦。「頭重くって肩こって、つらいわ。90の母の世話して、そいで孫も見なきゃなんないでしょ」。「大変ですねえ、お孫さんの方は時々休ませてもらったらいいじゃないですか」。「二人とも帰りが遅くて、無理ね」。

 80代のお婆さん。「塩分は控えめにしていますか?」。「このごろ自分で作るのが億劫で、買って来ちゃうから」。「あれ、お家の人は?」。「別なの、嫁さんの方針なの」。

 なんだかどうも薬を処方しようにも、それに効く薬のないような訴え?が結構ある。性格の偏りは対処が難しいが、生活環境の問題はある程度介入によって是正可能で、介護保険を利用していればケアマネージャーなどと共同で話し合いを持つこともある。それができない場合は、結局話を聞くだけになる。
 日に数人ならいいが、こうした患者さんが続くと、こっちまで憂鬱になってきて海鼠に聞いてもらいたくなる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする