駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

町医者もプロ

2008年04月18日 | 医者
 町医者といっても内科(自分が内科医で他科の経験はないので)の話だが、そんな簡単な診察でちゃんとわかるんだろうかと訝しげな患者さんが時々居る。もちろん、わかるとも。
 プロの棋士が盤面を一瞥して、この一手ですねと指摘すれば驚くのに、町医者がちょいちょいと診察して、これは・・・ですねというと本当ですかと言う人まで居る。この辺りが町医者の辛いところで、だめ押しの検査を追加したり、病院を紹介したりしなければならないこともある。もしプロ棋士が考え込んだら、それはわからないからで、それは町医者も一緒なのだが、棋士と違い、町医者の場合は時間をかけて診察し、しばらく考えて結論(あまり自信のない)にたどり着くと高く評価される。どうしても医療には接遇の要素があるので、丁寧に時間をかけると三つ星***が付いたりする。やっかみで言えば、実力はそこそこなのに患者さんの多い医院もあるし、納得できないことに、実力はあるのにもう一つ患者さんが伸びない医院もある。まあ、そうしたことはどちらかというと例外のようだが。
 プロ棋士もそうらしいのだが、町医者はコレではないアレではないという省く思考過程(ほとんど無意識)が速いので、直ぐ二、三の可能性に絞り込め、早く結論にたどり着ける。省くと言っても、町医者のよく遭遇する病気はせいぜい三、四十で、知っている病気も万病の内、四、五百と言ったところだから、驚くことはないかも知れない。ただ経験を積んで、それぞれの疾患のバリエイションを把握しているから、もう少し鑑別している数は多いかも知れない。それと、これが肝なのだが、正常範囲が掴めているのが大きい。新米の医者は人三化け七に惑わされてしまう。
 しかしまあ、プロを任じていても、残念ながら直ぐわからないことも結構ある。
コメント
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