駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

PDAで生きる

2008年04月16日 | 世の中
 人間万事塞翁馬と言います。確かに振り返ればそうだなあと感じますが、生き生きと生きてゆくにはちょっと違う見方も必要と思います。
 長い臨床経験から、確率を考え、程度を見極め、結果を鑑賞する能力を養うことが、生きる知恵と見付けました。万が一よりも千が一、百が一に備える方が効果的です。万が一が柔らかな脅しや逃げ道に使われることがあります。万が一と言われたら、どれくらい万が一か聞き返すのが良いのです。日本人は白黒を付けず、灰色決着を好むと言われますが、正確には曖昧で済ますのを好んでいるのだと思います。群れて生きるための技術かもしれませんが、もう一歩踏み込んで灰色の程度を見極める必要があります。曖昧では次の一歩が踏み出せません。灰色の程度がわかれば、次の一歩の踏み台にできます。確率と程度がわかったら、その意味を鑑賞(評価、吟味)して決断し、その結果を鑑賞(味わい、感謝する)する能力が生きることを豊かにすると思います。別に医療の現場に限らないと思いますが、決断を促すために言い切り、訴訟を恐れるために可能性を並べる傾向があります。決める前に十分見極め弁えることです。
 人間の予知能力など多寡が知れているとしても、たとえ禍福があざなえる縄としても、確率と程度を把握しそれが使われる背景を考慮して決断し、結果を鑑賞する余裕を持つことが生き生きと生きる知恵のように思えます。
 角を矯めて牛を殺すと言います。ほとんどの医師は何とか役立ちたいと備え待っています。医療に(限りませんが)PROBABILITY,DEGREE、APPRECIATIONで向き合っていただければと思います。
コメント
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