11月3日の文化の日に囲碁の芝野虎丸九段(22)が、二日制七番勝負の最終局で第一人者の井山裕太名人(33)に勝ってタイトルを奪還した。これで囲碁の三大タイトルは棋聖を一力遼(25)、本因坊を井山裕太、名人を芝野虎丸で分け合うことになった。
囲碁ファンは1月は棋聖戦、5月は本因坊戦、8月は名人戦それぞれの七番勝負を楽しむことができる。優勝賞金は棋聖戦が4500万、本因坊戦が2800万、名人戦が3000万で、それぞれ読売、毎日、朝日が主催している。賞金の額は各社の発行部数の反映だろうか。
棋聖の一力は身長が184㎝あり、早稲田大学の社会科学部を卒業している。仙台の河北新報社の御曹司で同社の新聞記者でもある。棋風は序盤から意欲的に勝負を仕かけていく力戦型で早碁に強く国際棋戦で気を吐いている。井山本因坊は常に最強手で応じ、相手になにも譲らず押し切るのが井山流。
主催の朝日は今回のタイトル奪還の翌日に、芝野について大きく紙面を割いていた。AIはウサギのごとく足早にどんどん陣地を獲得する。その影響は人間が打つ現代碁にも色濃く投影され、陣取り合戦で後れをとっても手厚く構え、あとから追いこむカメのような芝野の棋風は特異だと評している。